表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
想造世界  作者: 玲音
第四章 種族争い
85/591

優しさの後の、辛過ぎる現実

どれくらいの時間が経ったのかわからないけれど、僕は目が覚めた。


頭がボーッとして、体を休めたはずなのに、むしろ頭が痛くなってきている。

気が滅入るけれど、仕方なく起き上がると、カーテンを開けて歩き始める。


なんだか、魔界に来てから急に体調が悪くなって来ている気がする。

きっと、ショッキングな様子を見たから、気分が悪くなってるに違いない。


早く人間界に帰りたいなぁ~と思いながら、階段を上って

みんなが集っている場所に行くと、冬眞に話しかけられる。


「大分顔色が悪くなってるな」


「・・・・はい、気分が悪いんですよね。

それも、魔界に来てからで・・・・。どうしてでしょう?」


「魔界の妖気にやられたんじゃないか?」


「そんなことないですよ。

前まで、一応、魔界で妖怪退治屋養成学校に行ってましたし、

それに、妖怪とも戦えるように、妖気に体を慣らしていますし、

そんなことはないと思うんですけど・・・・」


「・・・・なんなんだろうな?」


「どこか、いい空気の吸える場所ってありますかね?」

「・・・・今の魔界は、どこに行ったって汚い空気さ」


冬眞の言っていることが正論だと思って、ため息をついた。

今の魔界に、空気が綺麗な場所があるとは、とても思えなかったのだ。


きっと、この空気は人間の僕にも苦しいけど、

妖怪のみんなも苦しいと感じていると思う。


「なんだ、具合悪いのか?」

「ええ、まぁ。なんだか調子が出なくて・・・・」


「そうか。まぁ確かに、妖怪の俺達ですら、感覚が鈍ってきてるんだ。

いくら鍛えられていると言っても、お前は人間だからな。

俺達以上に影響を受けているんだろう。

外に出ないでそんな状態ならば、外になんか出られないか・・・・」


冬眞はそう考え込んだ後、近くにいる妖怪に耳打ちをした。

すると、その妖怪は軽くうなずくと、どこかへと走って行ってしまった。


「あの妖怪、どこに行ったんですか?」


「お前が調子悪そうだから、空気が綺麗な場所を作って、

そこに置いておこうと思ってな」


「・・・・優しいんですね、ありがとうございます」


僕がそう言うと、冬眞は顔が赤くなって、フイッと後ろを向いてしまった。


結構優しいところもあるんだなぁ~と思いながら、僕は近くにあった椅子に座る。

立っていられないほどって訳じゃないけど、疲れるんだ。物凄く。


そのまましばらく待っていると、さっき走って行った妖怪が戻って来て、

冬眞が僕に声をかける。


「なんか・・・・色々悪いな」

「は?何のことですか??」

「人間のお前を、俺達の争いに巻き込んじまってよ・・・・」


「あっ、そのことですか・・・・」


「本当はよ、俺は乗り気じゃなかったんだ。

いくら、雷光銃と波長が合っていたと言っても、

人間の奴を俺達の族長にするなんてよ」


「僕が人間だから、ムカつくんですか?

自分達よりも強くないのに上の立場にいるから・・・・」


申し訳ない気持ちになって、声が小さくなる。


僕だって、なりたくて族長になった訳じゃないけど、

族長と言う立場に立っているんだから、もっと堂々としていないといけないのに、

こんな性格だから・・・・。


「そうじゃない。

そう言うこともそうだが、お前は妖怪じゃないから周りの奴らに認めてもらえてないし

それに、種族争いにまで巻き込んで、体調を悪くさせて・・・・。

そもそも、向いてないと思った。

でも、前期族長の言うことだから、仕方なくやったんだ。本当に悪いと思ってる」


真顔で謝られ、今まで、そこまで真剣に何かをする人だとは思ってなかったから、

かなり驚いた。


「あっ、えっと・・・・。別にいいんですよ」

「でも・・・・」


「えっと、それが運命なら、受け入れるしかないんですよ。

・ ・・・じゃなくて、あの・・・・そこまで心配してもらわなくても大丈夫ですよ!

はい。あの・・・・楽しんでるとは言えませんけど、

最近はあまりそう言うことに関わっていなかったので

自分が平凡な人間に思えていたんですけど、

今、自分は普通の人間じゃないんだって実感出来て、よかったです」


自分でも、言っている言葉がゴチャゴチャしてるのはわかってる。

でも、上手く言葉を話すことが出来ない。

頭があんまり働かないから、自分が何を言いたいのかすらわからなかった。

ただ、これが精一杯考えて出した言葉だと思ってくれると嬉しいな。


「・・・・あんまり訳がわからないが、そう言ってもらえるならよかったぜ」


そう言ってホッとした表情を見せる冬眞を見て、

僕の言葉は冬眞を傷つけてないんだなってわかって、とてもよかったと思った。


「あいつらも、本当は心配してるところがあるんだ。

ただ、お前が人間だから認められない部分もあってな。

結構キツく当たる部分もあるかもしれないが、どうか許してやってくれ。

複雑な気持ちなんだと思う。

妖怪じゃない奴が族長になるなんて、前例がないからな」


「・・・・はい」


僕は、冬眞の話を聞いていて、とても嬉しく思った。


冬眞だけじゃなくて、周りのみんなも僕のことを気遣ってくれていたのかと思うと、

認めてもらえたような気がして、嬉しかったんだ。


「ほら、ここだ」


そう言って案内された部屋は狭かったけど、空気が他の場所と違って綺麗だったから、

思わず深呼吸をしてしまった。

とりあえず、なぜ、ここの場所だけ空気が綺麗なのかと言う疑問は一端置いておこう。

今は、そんなことを聞けるような感じゃなかった。


「じゃ、俺は向こうに行くから、また何かあったら呼んでくれ。

それから、非常時の場合は、そこの赤いボタンを押してくれ。

非常用ベルが鳴って、みんなが駆けつける」


「はい、わかりました!」


僕は、大きく息を吐くと、部屋の隅に置いてある椅子に座った。

そこから外の様子を覗いてみるけれど、とんでもないことになっていた。

思わずため息をついてしまうほどに。


しかし、空気が綺麗になったからか、自然と心に余裕が出て来て、


凛君や、修さんは大丈夫なのだろうか?と思うようになった。


自分だって安全な立場じゃないけど、少しは安全だと思う。

二人だって族長なんだから、同種族の人達に守られてると思うけど、

あの二人は僕みたいに大人しくしてるとは思えないんだ。


修さんの場合は、何か上手く理由を見つけて外に出たりするだろうし、

凛君の場合は、妖怪に喧嘩を売りそうだし・・・・。


段々不安になって来て、僕は、偶々ポケットに入れていたケータイを握り締める。


もしかしたら通じるかもしれないと思ったけど、

戦っている間だったらどうしようと思った。

そもそも、凛君はケータイを持っているのかもわからないけど、一応かけてみる。


修さんの場合は、戦場に立つと思うけど、あんまり無謀なことはしないと思う。

でも、凛君は、かなり無茶をする性格だから、とても心配だったんだ。


僕はケータイを開くと、凛君のケータイに電話をかける。

なぜか、番号を押している間、指が震えるのを感じた。

まるで、よくない出来事を予知するかのように。


三回ぐらいコールがなってから、声が聞こえた。


「もしもし」

「誰・・・・ですか?」

「俺は、戦闘種族族長の護衛の者だ。お前こそ何者だ」

「あっ、えっと・・・・、凛君はどうしたんですか?」


僕は、自分が転生種族の族長であることを伏せる為に上手く話を受け流したのだが、

そう聞いた時、急に護衛の人が黙り込んでしまったから、

僕は、自然と手を握り締めていた。


その手には汗が出てきて、なんとも言えない緊張が走る。


「族長は、死んだ・・・・」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ