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想造世界  作者: 玲音
第三章 一時の休息
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種族が違っても、仲がいい奴はいい

結構気まずい雰囲気だったなぁ~と、今更ながら反省する。


「あいつ・・・・」


五時になって結構暗くなった道を歩いていると、亜修羅がさっき出て来たゲームセンターを見てつぶやいた。


「どうしたのさ?」

「・・・・」


僕らも亜修羅に習ってゲームセンターを覘いてみると、悟琉君がチンピラに囲まれていた。(今日は、なんでこんなにもチンピラや、不良に会うんだろうか。そんな運勢なのかな?)


「だから、もう少し待ってくれって言ってるだろう?親父も母親も倒れ込んでいるんだから、それしか払えないんだ。だから帰ってくれ」

「・・・・」

「足が使えない僕は雇ってもらえないんだ。もうちょっと待ってくれ」

「・・・・」


「何だかまずい様子じゃない?もしかして、借金抱えてるのかな?」

「ああ、そんな感じだな」

「助けなくてもいいの?」

「だからって、あいつがいくら借金してるのかわからないと、払う分にも払えないだろう」

「えっ!?まさか、払うつもりなの?」

「乱闘は、もううんざりだ。なら、金を削った方がいい」


「貧乏になっちゃうよ。そしたら、今度は僕らが借金を抱えることになるんだよ」

「気にするな」


気にするよ、思い切り。貧乏になったら食べられないんだしさ。そんなの嫌だよ。


「僕が言った助けって言うのは、襲われてるのを助けてあげなよってこと」

「そんなことしたって、また戻って来るだけだ」

「あっ、こっちに来る!」


チンピラ達がそろってこっちに向かって来る為、寸でのところで近くの電信柱に身を潜めてやり過ごす。


「ふぅ、何とかやり過ごしたね。ちょっと事情を聞いて来ようよ」

「貧乏になりたくないんじゃないのか?」

「まぁ、一応ね」


ゲームセンターの中に入ると、悟琉君がガバッと振り返ったけど、僕らだと気づくと表情が緩んだ。


「どうしたのかな?」

「あのさ・・・・」

「お前、借金取りに追われてんだろ?」


僕は順序を立てて聞こうとしたのに、亜修羅がいきなり本題を切り出したから、逆に何も言えなくなってしまう。


「見てたのか?」

「まあな。いくらなんだよ?」

「一億。父さんと母さんは過労で倒れて病院に行っている。僕はこの通り、足も使えないし、まだ働ける年じゃないからね。毎日うんざりだってこと」


「・・・・そうか。大変だな」

「まあ、それでも生きているだけで幸せだと思うから」

「そうか。また来る」

「もうダメだよ、君達は未成年者だからね」

「じゃあな!」


悟琉君の言葉を無視して、無理矢理さよならを言うと、僕達を引き連れてゲームセンターから出た。


「どうしたのさ?」

「いや、王族の奴に烈火闘刃を渡す」

「えっ、何か・・・・それってまずくない?」


「いいんだ」

「そのお金を上げるの?」

「嫌、さっきのは嘘だ。家計は苦しいからな」


どっ、どっちなんだろう?貧乏じゃないのか。それとも貧乏なのか?


よくわからないけど、一応亜修羅に従うことにした。(何を従うんだろう?)


とにかく家に帰ってみると、三人仲良くそろって待っている人達がいた。無論、僕らを連れ戻しに来た模様だ。


「勝手に帰られちゃ困るよ、君達」

「だって、こっちの世界が家だからさ、仕方ないんだよ」

「いや、そうじゃなくてさ。帰って来てよ、族長。いきなり帰っちゃったからみんな大騒ぎなんだ!」


敵同士のはずなのに、そんなことを言って言いものか。相手にそこを突かれるとは思ってないのかな?僕達は結構長い間友達だったから相手のことは信用してるけどさ、この人達はお互いが敵同士だし。


「関係ない。もう、うんざりだ」

「じゃあ、出直して来る」


そして、三人は仲良くそろって出て行った。本当に三人同時に。


「あの三人、敵方同士なのに仲がいいよね?」

「敵方同士だからって仲が悪い訳じゃない。仲がいい奴だっているさ」

「それって僕らのこと?」

「とは言ってないぞ!」

「へへん」


あまり言うと怒られるので、取りあえず黙っておく事にしたが、絶対に僕の勘は当たっていると思うことにした。だって、違ったらあんなにムキにならないもん。


「ちょっと、出て来る」


怒らせちゃったのかと思ったけど、そうじゃないらしい。取りあえずはほっとした。

しかし、それが最後の微笑みになることに、まだ俺達は気づいていなかった。

魔界では、本当に恐ろしいことが起こり始めていたことを。


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