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想造世界  作者: 玲音
第三章 一時の休息
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恋のキューピット役は、思った以上に大変です

亜修羅が空を見上げて何を思っているのかわからないけれど、ほおっておいて、隣で雪を眺めている桜っちに話しかける。


「ほら、頼まれたじゃん。それを実行する時だよ、桜っち!」

「そうですか?いいんでしょうか?何かイベントの時とかの方がいいと思うのですが・・・・」


僕らが話していることとは、時が遡ること約一ヶ月前の話。僕と桜っちが、亜修羅の通ってる高校でいつも通りに待ち伏せをしている時のことだ。










「君達さ、いつも伊織君と一緒に帰ってるけどさ・・・・お友達?」

「いえ、居候させてもらってます」

「凛君!あっ、宗介君!」


この不自然な態度を怪しいと思ったのか、話しかけて来た人の友達らしい人二人と一緒に、僕らを校門の隅の茂みまで追い詰めて行った。


「頼みたいことがあるんだけど、いいかしら?」

「なんでしょう?」

「この子のことなんだけど・・・・」


そう言って出て来たのは、何回か会ったことのある女の子だったが、名前を忘れてしまった。


「あの、何回か会いましたよね?」

「ええ」

「頼みって言うのは、どうにか上手くこの子にチャンスをあげて欲しいんだよ」


「チャンス?」

「うん。多分、あの様子だと両親とかいなさそうだし、二人だけが家族みたいだと思うしさ。だから頼んでるんだ」

「了解しました!その任務、僕らが請け負いましょう!」

「ありがとう」










と言うことなんだよね。でも時期を見ると、一番いいのがクリスマスだと思うけど、どうやっても亜修羅が石村さん(女の子の名前ね。ちゃんと聞いておいたんだ)とデートをするはずもない。どう導いたところで意図がばれたら、すぐ終わりだ。


「今ならさ、そんなに気にしないんじゃないかな?」

「そうですね。ちょっと電話してみます」


何かのスパイをやっているようで面白みもあるが、一応頼まれたことなので、真剣にやっている。


その為、連絡まで取れるようになっている。僕らに番号を教えるよりも、亜修羅に教えた方が早いと思うのは僕だけかな?


「あっ、えっとスパイの桜木です。これからそっちに行ってもいいでしょうか・・・・。はい、はい。

わかりました」


桜っちは相槌をうった後にケータイ電話を切ると、僕に向き直って言った。


「これから行っても大丈夫みたいです。お友達もいるそうなので。じゃあ、上手く修さんを誘導しましょう」

「うん。これが至難の業。お堅いくせにモテるんだから。こっちがめんどくさいよ」


「凛君、抑えて抑えて。ここでどうにか二人だけで出かけさせましょう。そのままクリスマスに繋げるように」

「いい!その考え!!」

「何を話してるんだ?」

「いっ、いや!委員会のこと」

「さっさとどこか行くぞ。このまま立ち往生してたら凍え死ぬからな」


「そっ、そっか。じゃあもう少し頑張ってよ。友達のうちまで行くから」

「変な奴じゃないだろうな?」

「大丈夫。絶対大丈夫!」


中々進まない亜修羅の背中を押して、目的の家にたどり着く。しかし、ここからが問題だった。


「ここだよ」

「おい、なんだか嫌な予感しかしないぞ。俺は」

「大丈夫だって!」


「お前、俺をはめるつもりだろう?」

「何を大げさな♪」


何とか笑顔を作りながら必死に背中を押すも、亜修羅も負けじと両足を踏ん張って入らない。


「そのノリだと、どうせろくなことがないんだ!」

「だから大丈夫だって!ほら、桜っちもなんか言って!」

「あっ、あの。大丈夫です。だから入って下さい」


「やっぱり何かおかしいって!なぜそこまでお願いをする必要があるんだ?それ、嫌なこととかを押し付ける時の方法だろう?」

「いんや、大丈夫!!」


気合一発で亜修羅を押し倒し、インターホンを押す。これで第一段階クリア。頭脳種族は、その回転の速い頭と良すぎる勘が長所だ。現在、良すぎる勘で嫌がってたけど、無理強いをすれば大丈夫。


「俺は帰る!」

「だから、何をそんなに嫌がってるの?」

「感じるんだよ、よからぬことが起こるって本能が言ってるんだ!」

「ほら、もう遅い!」


ドアが開けられたので、その中に亜修羅を無理矢理押し込み、自分達も中に入る。色んなお話とかで、恋のキューピッド役をする人が出て来るけど、その人の苦労が、今しみじみとしみて来るようだよ。


「おい、ここはあのクラスの女のにおいがぷんぷんするぞ。明らかにあいつの家だろう。だからあまり来たくなかったんだ・・・・」

「どうしてさ?」

「色々事情があるんだよ」


わからない事情を言われても困る。でも、こっちもちゃんと事情があるんだから、強行させてもらうよ。


「こんにちはー!」

「あっ、丘本君、桜木君。伊織君!」

「すみません、突然お邪魔してしまって」

「・・・・」


亜修羅はブスッとした顔のままソファにドカッと座り込んでしまった。これじゃ、どこかの不良みたいじゃないか。と思うけれど、石村さんにはキザなポーズに見えるのだろうか?顔が真っ赤になっている。うん、恋する乙女はいいね。恋は青春だよ。


「凛君、変なことを考えるよりも、何とか考えて下さい。こっちの方を」

「そう言われてもな・・・・。よし、僕らが考えている間、代わりをよろしくお願い!バトンタッチ!石村さん!!」

「えっ、お願いって何を?」

「話しの状況を実況するように話して!」

「あっ、あの・・・・」


そう言ったまま、自分達の話しに暴騰してしまった丘本君達。(これでいいのかな?あんまりよくわからないんだけどな。バトンタッチって言われてもね)


それにしても、学校意外で伊織君と会えるのは、幸運以上の何かがあるのかもしれない。いつも、なんとか話しかけようとしてもうざがられちゃうし、一緒に帰ろうと思っても、もう先に帰っちゃった後だしね。滅多に会えないんだもん。せめて、授業中だけはずっと隣だけどね。


それにしてもうらやましい。私も伊織君と一つ屋根の下で暮らしてみたい。一泊でもいいから。でも、それは話しを上手く出来るようにならない限り無理だからね。頑張れ、私よ!


「別にさ、いいことないよ。亜修羅といったって。いっつも意地張ってるしさ、冷たいし」

「あっ、あの・・・・私の心の中を見ないで!」

「そんなこと言ってもさ、全国ネットで放映されてるんだよ?」

「えっ、本当ですか?知らなかったです。自分の気持ちをベラベラと、恥ずかしい・・・・」


「あっ、あの、嘘ですよ、石村さん。多分ですけど、多分違うと思います。なので、そのまま・・・・」

「でも、何を話したらいいのか」

「気持ちです。気持ちだけで大丈夫です」


気持ち、気持ち。無理に意識をしないで、チラッと伊織君の方を見ると、みんなの騒ぎを一人だけの傍観者として見ている。よし、話しかけてみよう。頑張れ!


「伊織君、あの・・・・えっと・・・・どうして私の家に来たの?」

「凛達に連れられて来た」

「あっ、そうなんだ・・・・」


次の会話に戸惑い、丘本君たちの方を見るけれど、どちらも話を聞いてくれそうにない。


「あ・・・・私服姿、初めて見た気がする・・・・」

「そうか?」

「うん・・・・」

「なんか、今日はいつもよりしゃべんないな」

「えっ、そうかな?」


自分でも気がつかないうちにセーブをしていたみたい。いつも通りに接してた方がいいかな?


「ああ、そっちの方が俺はいいと思う」


こっ、これって、どうやって受け止めればいいんだろう?褒めてくれてるのかな?それとも、いつもがダメダメだってこと?


ダメだ、考えると余計わからなくなって来る!


しかし、聞くことも出来なくて、そのままうつむいてしまう。ここで話しかけることが出来たらいいなって思うんだけど、やっぱり無理。


「あのさ、代わりをありがとう、もう大丈夫。決まったよ、石村さん」

「はっ、はい」

「まず思い付いたのが服。あの通り、冬物の服を持ってないからさ、二人で行ってくればどうかな?」


「ふっ、二人で!?」

「大丈夫、影でちゃんと見守ってる」

「えっ、でも・・・・」

「じゃ、亜、いや、修に話をつけてくれるよ」


ややこしいことをしたと思うけど、今は僕がしゃべってる。交代をした理由なんて、大したことないけどさ、なんとなくしてみたかったんだって。


「あのさ・・・・」

「どうしてあの女に絡むんだ?お前達は?」

「思い切り何でもないよ。たまたま知り合っただけだから」

「・・・・はぁ」

「何?そのため息」


「話は全部聞こえていた。でも行かないぞ。こんな寒い日に外に出るくらいだったらゲームでもしてた方がマシだ」

「そっか。じゃあゲームしよっか!」

「はあ?」

「だって、ゲームがいいんでしょ?だからゲームセンターに・・・・」

「子供だけで行っちゃいけないんだぞ」


「大丈夫。大人に見える人がいればね」

「・・・・俺を盾にするなよ?」

「じゃあ、そう言うことでね♪」


とても何か言いたげな表情の亜修羅が話しだす前に、みんなにお知らせをする。子供だけでゲームセンターに行っちゃいけないって言ってもさ、トラブルが起こるからでしょ?そんなトラブルは僕らは大丈夫だから。(色んな意味でね)


「ゲームするの?」

「予定変更だよ。修がそっちの方がいいって言うからさ」

「でも、私はゲームが出来ないのよ?」

「大丈夫。なんだかこっちの方が盛り上がるかもしれないってこと」


「?」

「気にしなくて大丈夫ですよ。何かあった時はフォローしますから」

「うん」


こうなってみて思うのは、間に挟まれるのは大変だなって思うことだった。


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