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想造世界  作者: 玲音
第二章 三つの国宝
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冬は、寒さに弱い人にとっては宿敵!

「・・・・ああ、驚いた」

「族長、急げって言われてたじゃないか」

「嫌だ。勝手に覗きやがって。俺は行くなんて言ってない」

「恥ずかしかったんだ。二人の目の前まで歩いて行ったのに」


「当たり前だろ!タオル意外は全裸なんだぞ!」

「はいはい。そんないやらしい話はやめましょう。と言うか、どうして俺とは入ってるんだ?」

「お前が風呂までついて来たんだろ!!」


「そりゃ、護衛だしな」

「風呂までついてくんな!!」


凛達が急に風呂場に入って来なければいい問題なのだがな。それを無視して文句を言える立場なのか。


ブツブツ文句を言いながらも、やはり行かないとうるさく言われそうなので、渋々部屋に戻る。


「あれ?亜修羅、浴衣なんか着てどうしたのさ?」

「神羅に風呂上りは浴衣しかないと言われたからだ」

「それだけ?」

「着てた服は洗濯された」

「勝手だね・・・・」


変な登場のされ方をしてムシャクシャはしていたが、やっぱりこれがいつもどおりで心が落ち着く。いつも通りと言うのはそう言う意味ではなく、いつも突然来たりするのだ。食事中とか、睡眠中とか、とにかく色々だ。だから大分慣れていたが、風呂の最中は初めてだ。


「もう、風呂の途中に入ってくんじゃねぇぞ」

「わかってるよ。好きで入ったんじゃないんだしね」

「ふ~ん、こいつらが戦闘種族の族長と、転生種族の族長か。随分と可愛らしい族長殿だね」


神羅の言葉に、冬眞と、もう一人の護衛が眉をひそめ、お互いの主人を守ろうとする。


「亜修羅の護衛、随分とフレンドリーだね」

「俺、神羅ってんだ。よろしくな!」

「よろしく!僕、凛って言うんだ!」

「僕は、桜木明日夏です」


三人とも意気投合して、握手をしている。それから、とてもフレンドリーに話し合っている。


それを、ソワソワした様子で見ている二人を見ていると、面白い組み合わせが出来上がる。俺だけが、ただの傍観者なんだ。どちらにも属さない。


「じゃっ、帰ろうか!」

「どこにですか?」

「家に決まってるじゃん。こんなところにいたって無意味だってわかったでしょ?こうやって種族が違ったって仲良くすることは出来るんだ。だから、戦争なんかに加わらない。それが一番!」


「でも・・・・」

「行こう、魔界での時間の流れと人間界での時間の流れは随分と違って時差があるんだから。クリスマスが過ぎちゃうかもしれない」

「どっち道、クリスマスがやりたいだけじゃないか」

「そうだよ!何が悪いのさ!!」


俺の言葉に凛が開き直って偉そうに言う。偉そうに言える立場では決してないと思うが、とりあえずは黙る。


「しかし、それはちょっと自分勝手過ぎるんじゃないのか?」

「全然。こっちを巻き込んだ奴が悪いんだ。こっちが拒否をしちゃいけないことなんてないよ。それに、委員会活動の発表もしなくちゃいけないしさ」

「・・・・それ、関係あるのか?」


「うん。実は大有り。これに出席しないと、ただでさえ点数が悪いのにさ、内申まで下がっちゃったら・・・・。だから、出なくちゃいけないんだ。だから、帰らせて!」

「そう言われても困るんだけど・・・・」

「じゃあ帰るからね。みんなのことはよろしく!僕らのことは海外旅行に行ってるとでも行っておいたらいいと思うよ。実際他の世界だしさ」


「んなこと言ったって、当てがあるのかよ?」

「まあね、そこに行けば絶対人間界に戻れるから。僕さ、戦争なんて嫌いだから。もしやるんだったら巻き込まれたくないしね」

「バッサリしてるな」

「まあね」


いつも曖昧な凛が、ここまでバッサリしていることに多少驚く。それにしても、前から自分勝手だと思っていたが、ここまで来ると、ある意味気持ちがいいくらいだ。妖怪達には悪いが、元から族長なんてやるつもりもなかったんだしな。


しかし、種族争いの恐ろしさを知っている俺は、あまりのり気ではなかったが、それを二人には気づかせたくなかった。だから、強引にでものり気に思わせているんだ。


それに、まだ、本格的に始まった訳ではない。それまで、こいつ等との最後の思い出を作っておくのもいいだろうと思ったのだ。


我ながら、少々恥ずかしいと思うが、そう思ったのは事実だ。仲間の手によって殺されるなら、それまでの時間を楽しく過ごすぐらい、神も許してくれるだろう。


「あっ、服は?」

「そうだ」

「どうしましょう?」


暗い森を歩いている途中で思い出したように凛が言うので、こちらも改めてその事実に気がつく。


「まあいい。また戻ると面倒なことになるからな。だったらこのまま家へ帰ってもいい」

「多分、魔界には半日ぐらいいたから人間界では・・・・十二日経ってるってことだ。よかったよ、ギリギリセーフだ」

「そうか、よかったな」


こっちは別にいいこともなく、ただついて来ただけなので、大して嬉しくない。人間界に帰れることは嬉しいが、学校に行くことが、果たしてそんなに楽しいものなのかはわかり切っている。


そんなこんなで凛の言うとおりに、無事、人間界に戻って来た。しかし、魔界では浴衣は寒くないが、人間界だと冬真っ盛りだ。例え妖怪でも布一枚の薄っぺらい浴衣はきつい。


「ああ、寒い」

「家の中にいるのにね。ストーブは?それに、着替えてくればいいじゃん。あったかい服に」


温かい服と言われても、そんなものはもっておらず、とにかく一番温かそうな服(実際大したことないが)を着る。


いい自己満足だ。全然温かくもならないのに、なぜ着替えなくちゃいけないんだ。


「魔界に行っている間に、あっと言う間に十二月になっちゃったね」

「ああ、そうだな。冬物の服を買った方がいいと思うか?ストーブも」

「逆に聞くけど、この寒さが毎年続くんだよ?」

「言わずともわかった」


聞く方がバカだ。しかし、家にはストーブも何もないから、どうやって温まれと言うのか。


「ガスレンジに火をつけて焚き火代わりにしたらどう?」

「貧乏臭くないか?」

「じゃあ、修さんの炎はどうですか?」

「俺は出している側だから、熱くならない」


「・・・・ねぇ、どこかの家に行こうよ。誰でもいいから。このままじゃ死んじゃいそうだよ」

「意外だな、寒さには弱いのか?」

「めっぽうね。もう、死にそうだもの。でも逆に、熱いのはめっぽう強い。百度でも余裕」


「異常だなお前は。まぁ確かに、俺も寒さには弱いな」

「僕なんか三十何度だと、もう脱水症状を起こしてしまうんです。二人はやっぱり凄いですね」

「そりゃ、妖怪だからな」


部屋の真ん中でおしくらまんじゅうをするぐらい、お互いの身を寄せ合って話している。でないと寒い。今の時点でも寒いけど、まだ体温を感じないよりはましだ。


「・・・・どこか温まる場所の案がある人!」

「ない」

「僕もです」

「僕もないや。とりあえず、外を彷徨い歩こう。どこかみつけるかもしれないよ」

「その彷徨い歩いている間に凍傷を起こしそうだけどな」


「大丈夫。もし誰かが倒れても、誰かが助けるから」

「二人同時になんて運べないぞ?」

「グッジョブ!」


意味がわからない。何がグッジョブだ?と言うか、どんな意味かすら知らない。急にそんな意味不明な言葉を使われてもこっちが困るだけだ。


不満は大有りだったが、とりあえず外に出る。無論、外は家の中よりも寒い。


「ああ、このまま雪でも降ってくれたらいいのにさ。そしたら雪遊びで寒さなんか忘れちゃうのに」

「俺はそんなに雪遊びに夢中にならないぞ」

「そんなことを言ったから、雪が怒って降って来たじゃないか!」

「マジかよ」


凛の言う通り、鉛色の空から白い粉が降って来る。


このままじゃ本当に死ぬかもしれない。


俺は、本気でそう思い始めた。


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