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想造世界  作者: 玲音
第二章 三つの国宝
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魔界の国宝 月下遊蘭編 最終対決!

「あっ・・・・」

《どうやらこちらで手違いが起こったようだ》


「あっ、でも、自分と向き直るいいチャンスだったと思うので、よかったと思います。

ありがとうございました」


《うむ。礼儀は正しいようだな。それに、大きな心を持っている。

よし、今回は特別にさっきのを試験として、認めよう》


「それじゃあ!!」


僕は、月下遊蘭がもらえると言うよりも、早く魔界に帰りたいんだ。

だから、認められたと言われて、とても嬉しかった。


でも、世の中って、そんなに上手く行かないんだよね。


《最後に、私と戦ってもらう。さぁ、準備はいいか?》


そう言われた途端、景色が再び花畑から暗闇になって、

今度はプラネタリウムみたいに、星が沢山ある場所に立っていた。


プラネタリウムと違うところは、天井だけでなく、

上、下、右、左全部が星で囲まれてるところだ。宇宙に投げ出された感じだね。


そんな星に見とれている時、不意に何かを投げて来られて、

何とかそちらの方を振り返って受け取ると、日本刀だった。


「やっと、戦える相手が出て来たな」


背後でそう言われて振り返ると、思わず口を開けたまま、閉じるのを忘れてしまった。


なぜなら、そこに立っていたのは、どこかの国の王子様って感じの人だったんだ。


詳しく説明すると、髪は紫色で、右目には髑髏の模様のある黒い眼帯をしていて、

服装は、黒いシャツに白くて長いコートを来てる。

そして、ズボンも、膝ぐらいの長さがあるブーツも黒。


でも、王子様なんて柄じゃないと思った。

今までの服装でも、王子様にはほど遠いけど、決定的なことがある。


それは、ピアスをしていたり、金色のネックレスをぶら下げてたりするってこと。

王子様には、完全に見えないよね。


今までの服装で出た結論は、「海賊のように見える」と言うことだった。

これで間違いないと思う。


でも、顔がかっこいいから、どんな格好をしても似合いそうだ。


その人は、鼻歌でも歌いそうなほど嬉しそうに日本刀を鞘から引き抜くと、

その鞘を放り投げて、正眼に構える。


僕が、ボーッとしてその人のことを見ていると、不機嫌そうな顔になり、

早く刀を構えろと言うように、刀を僕に向けて振って来るから、

僕は慌てて鞘から刀を抜いた。


実を言うと、刀を扱うのは初めて。

いつも銃ばかりを使っていたから、刀は初体験かもしれない。


それなのに、相手はそんなことを知らないから、

僕が鞘を抜いたと同時に飛び込んで来て、

僕は、そのまま刀を前に突き出すことしか出来なかった。


その唐突の動きに、相手は慌てて僕の上を跳び越して、後ろに回った。

途中で立ち止まることが出来なかったんだろうな・・・・。


「お前、中々突発的な動きをする奴だな。

このパターンで突きを放った奴はお前が初めてだ」


「あっ、あの・・・・あなたは誰なんですか?」

「私は、月下遊蘭。さっきまで話していただろう?」


「えっ、いや、でも、月下遊蘭って、魔界の国宝の一つで、武器ですよね?」


「武器と言えど、下級なものではない。人間の姿になることなど造作もない。

だから、話が出来たのだろう」


なるほど・・・・と思いながらも、未だに納得で来ていない部分が多々あるんだ。


「とにかく、私に勝ったらお前を認めよう」

「あっ、あの・・・・でも!」

「話は聞かないぞ」


そう言われたかと思うと本当に何の話も聞かずに攻撃を繰り出して来るから、

僕は避けるので精一杯だった。


無論、攻撃なんて、もっての他だ。


「避けるだけじゃ、私は倒せないぞ!」

「攻撃の仕方なんて、知りません!!」


僕は、月下遊蘭の攻撃を何とか押さえると、

グイッと相手の方に体重をかけて押して、

自分は後ろに飛び退いて、何とか距離を広げる。


距離が狭かったから、ずっと攻撃をし続けられたんだ。

今はとにかく、上がってしまった息を整えるのが重要だと判断した。


「それなら、素直に負けを認めるか?」

「えっ?」


急に月下遊蘭が攻撃の手を緩めて聞くから、僕は身構えながらもその目を見る。


さっきの楽しそうな雰囲気が消えて、怖いほどに真剣だ。


「負けを認めたら、お前は私によって殺される。それでいいのか?」

「そっ、それはダメです!」

「なら、私を倒せ」

「酷いです!」


僕は、もう、そう叫ぶしかなかった。

だって、勝てる訳ないのに諦めることが出来なくて、

どう考えても、この人を倒すしか道はないなんて・・・・。


僕は、生きて帰ろうって決めたんだ。だから、こんなところ殺される訳にはいかない!


僕は、自ら月下遊蘭の方に走って行くと、思い切り飛び上がって、刀を振り下ろす。

けれど、軽々と避けられて反撃を食らいそうになるから、

何とか空中で体勢を変えて避ける。


「さっきより動きがよくなってるな」

「・・・・行きます!」


もう、この人の言葉は無視してしまおう。

今は、帰ることしか考えちゃいけないんだ。でないと、負けちゃう。


地面に着地すると、二、三歩後ろに下がり、日本刀を上段に構えてジャンプした。


相手は、僕が振り下ろして来ると思ってガードをするけれど、そこで時が止まった。


・・・・えっ?


今言ったのは、大袈裟じゃない。

自分でも驚いちゃったんだけど、本当に時が止まってる。


何が起きたのかわからないけれど、そのまま着地して、正眼に構える。


あのまま振り下ろせば、僕は勝つことが出来る。でも、相手は動けない状態なんだ。

いくら酷い人でも、そんな卑怯な勝ち方はしたくない。


正々堂々といけるかはわからないけれど、

相手が動けないところを斬るような最低な真似だけはしたくないんだ。


そう思って、ずっと相手を見ているけれど、中々動き出さない。


そろそろおかしいと思い始めた時、

不意に後ろから空を切る音が聞こえて、何とか右に避ける。


そちらの方を振り向くと、

さっきまで目の前で静止していた月下遊蘭が刀を振ったのだ。


「どっ、どう言うこと?」

「お前が弱過ぎるから、チャンスをやったのによ、何で攻撃して来ないんだよ!」


月下遊蘭が、子供みたいに頬を膨らませて怒るから、思わず笑ってしまった。


だって、見かけに全然似合わないんだもん。


「チャンスをもらって倒しても、僕は納得行きません。

正々堂々と戦って、あなたに勝ちたいんです」


「決意だけが強くても、俺には勝てないぜ。実力は、俺の方が上なんだからな」


「実力なんて、ちっぽけなものです。大切なのは、気持ちです。

気持ちでは、あなたに負けません。だから、ここで倒されて下さい」


「なっ・・・・」


僕は、秒単位のスピードで月下遊蘭に近づくと、

刀の刃ではない方向で思い切り殴った。


月下遊蘭は、あまりの変貌ぶりに驚いて身動きが取れなかったらしく、

そのまま無防備に吹き飛ばされた。


僕自身だって驚いてる。

急に力が湧き出して来たと言うかなんというか、

体が熱くなって、体が俊敏に動くようになったんだ。


「ちっ、油断したぜ」

「あの・・・・大丈夫ですか?」


「大丈夫かって聞くなら、あんなに思い切り殴るなよ・・・・。

背中痛ぇし、腹は打ったしで最悪なんだ。

刀って言うのはな、殴る用に出来てないんだ。

だから、出来れば斬って欲しかったぜ」


「そんなこと言わないで下さい!

僕は、こんなバカげたことで、あなたを殺したくはありません」


真剣な気持ちでそう伝えると、月下遊蘭は笑い出した。


僕は、何か面白いようなことを言ったかと思って戸惑ったけど、

言った覚えはないよね・・・・?


「そうか、確かにバカげているかもな。こんなことで命を懸けるなんて・・・・」


そう言った後、月下遊蘭はフラフラと立ち上がると、

日本刀を鞘に収め、僕の刀の鞘も投げてくれる。


「勝負は?」


「お前の勝ちだ。あの時、お前が本気で俺を斬っていたら、俺は死んでいただろう。

だから、お前の勝ちだ」


「・・・・でも!」


僕がそう言った途端、手で言葉を制して来るから、思わず口ごもる。

あんなので、本当に僕のことを認めてくれたのかって不安なんだ。


「安心しろ。私は、一度仲間になると決めた相手を裏切ることは決してない。

だから、事前の使い手選びがハードなのだ」


「じゃあ、仲間になってくれるんですね!」

「ああ、お前も元の世界に帰してやる。よく頑張ったな」


そう微笑みかけられて、思わずうつむいてしまう。

男の僕でさえ、目を逸らしてしまうほど、その微笑が素敵だったってことだ。


そんな呑気なことを思っていた瞬間、今度は今までとはパターンが違って、

周りが白くなった後、周りが見えるようになった。


ハッと気がついて辺りを窺うと、どうやら僕が一番最初にいた場所らしい。


僕の右手には、どことなく雷光銃と似た黒い銃が握られていて、

思わずため息が出てしまう。


「おい、族長、何やってるんだよ!急がないと捕まるぞ!」

「あっ、うん」


冬眞がそう言ってから月下遊蘭に出会う前の出来事を思い出して、慌てて走り出した。


だって、せっかく見知らぬ世界から生還したって言うのに、

こんなところで死んだら悲しいからね。


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