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想造世界  作者: 玲音
第二章 三つの国宝
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魔界の国宝 雷光銃編 ちょっとした会話

楠は話をした後すぐに帰って行ったが、俺達はそのまましばらく立っていた。


「何だか、話が見えなくなって来たよ。

あの人は、魔界の国宝のことを二つしか言ってなかった。

それって、僕が持ってるって知ってて言わなかったのかな?

それに、その冥道霊閃を持ってる僕は、種族争いやらに深く関わることになるの?」


「わからない。あいつの考えてる意図がわからない。

一応請け負ったが、最悪は、無理矢理にでも取り消しにすることもあるかもしれない」


「でも、相手は王族の一人ですよ?機嫌を損ねたらまずいんじゃ・・・・」


「そんなことが怖くて、何でも屋なんか出来る訳ないだろう。

何度も王族に目を付けられて来たが、交わして来た。今回も同じだ」


凛と桜木が、「凄い」とまでは言わなかったが、顔が思い切り言っている。

この二人は、気持ちが表情に出やすいから、相手に考えを読まれることがありそうだ。


「まぁ、難しいけどな、王族だから。ほぼ、スレスレで避けて来たぐらいだ」

「・・・・」

「スレスレって?」

「スレスレはスレスレだ」


「でも、そのスレスレってどんなスレスレ?」

「だから、それは、スレスレはスレスレだ」


「ああ、何だかスレスレってばっかり言ってるから、

スレスレの意味がわからなくなって来たよ」


「お前が聞いて来たんだろうが!」


「待って下さい。そんなことで喧嘩をするよりも、

今は、どうやって盗まれた雷光銃を取り戻すかが先決じゃないですか?」


「そうだな。まずはそれからだ」


俺は壁によりかかり、凛はそのまま床に座り、桜木がベットに座る。


「でもさ、何の手がかりもないのに、探せとだけ言われてもさ、思い切り困るよね」

「まずは、自分が知っている情報をお互いに出し合おう。それを元に考えるんだ」

「僕は、何にも知らないよ」


「俺が知ってるのは、魔界の国宝が大会の優勝賞品だってことと、

その情報が漏れていたことだ。

きっと、その情報が流れて行って、犯行に及んだ奴の耳に入ったんだろう」


「そうなんですか?やっぱり凄いですね。

僕は、楠さんからその事実を二人よりも早く聞きましたが、

一言も口に出していないはずです。


雷光銃は地下にある特別室に警備員とトラップで囲って置いてあったのですが、

犯人はそれをものともせずに通り抜け、雷光銃を盗みました。


手口は、トラップは上手くかいくぐり、警備員は煙球で目くらましをしたようですが、

警報が鳴って駆けつけた時には警備員は眠っていたので、

きっと、その手の物が入っていたんでしょう。


窓が開いていたから、窓から出て行ったんだと思うのですが・・・・」


「そんなに詳しく知っているなら、何でもっと早くに言わないんだ」

「二人が戸惑っているようでしたし、順序を立てて・・・・」


桜木の言うことも一理あると思うが、

今は順序とかよりも、早く見つけ出すことが先決だ。

そう言うことは、早く言ってもらいたい。


「それで?」


「犯人を特定する手がかりはないかと捜してみたのですが、全くなかったんです。

でも、犯人が人間じゃないことだけはわかります。


煙は、軽く吸い込んだだけで

8時間は目を覚まさない濃度であり、しかもかなりの量でした。


となると、とても大きな入れ物を持ってトラップをくぐらなければいけないのですが、

両手を使ってしか避けられないトラップなども綺麗に避けていました。

だから、妖怪で間違いないと」


それは、犯人を特定する大事なところじゃないかと思うが、

一応何も言わずに聞いている。


何かを言ったら、大切な情報の前に、その問いの答えを答えそうだからだ。

こいつも、凛に似て来たな。俺も、いつか凛に似てしまうようになるのだろうか。


「僕さ、そう言う探偵みたいなことや、ミステリーって苦手なんだよね。

探偵とかが謎解きをするけども、全くわからない。意味がわからない。

『この人、何言っちゃってるの?』ってぐらいわからない」


「俺だって、差ほど好きな訳じゃない。むしろ嫌いだ」


「でもさ、亜修羅は頭脳種族でしょ?」


「それは、俺とは関係ない。

仮にその種族に入っていたとしても、本人をそれで縛り付けることはおかしい」


「今、何気にいいこと言ったよね」

「話がずれてますよ、戻しましょう」


桜木に言われて、再び雷光銃が盗まれた件について話しが戻る。


「・・・・おい、楠は、この大会は人を呼び集めるために開いたって言ってたよな?

しかし、その大事なものが盗まれると、大会はどうなるんだ?」


「どうでしょうかね。十一月の空は変わりやすいですから」

「それ、本当か?」


「いえ、どうかはわかりません。ただ、今が十一月なので」

「そんなことより、どうなるか聞いてるのか?」

「いえ、全く。でも、このまま続行だと思いますけど」

「なんでだ?」


「もしかしたら、この大会の参加者の中に犯人がいるかもしれないからです」

「今の言葉って、探偵が言いそうな言葉じゃない?

それと似たようなことを聞いたことがある」


桜木は、そこの辺りを意識して言ったのだろうか?

それとも、ただ単に、意味を考えずに言ったのか。


凛の言葉が入ると前の方があっているように聞こえるが、

本当のところはどうなのだろうか?


「修さん、変なところで考え込まないで下さい」

「あっ、ああ。じゃあ、俺達は、まだここにいなくてはいけないと言うことか」

「そう言うことになりますね」


そこで、話は一端終了。

最初から少し話題がずれたが、大事なことであるのに変わりはない。


そうか、楠もちゃんと盗まれることも想定して作っていたようだ。さすが王族。


不意に、凛が話しだす。


「あのさ、僕、クリスマスはしたいよ」

「・・・・は?」


「だから、もうすぐ十二月でしょ?この仕事、結構長引きそうだしさ。

だけど、クリスマスはやりたいなぁって」


「もう直ぐ十二月ってな、まだ一カ月以上先の話だぞ?気が早すぎないか?」

「だって、クリスマスは予定があるからさ、イブに三人でやりたいなって」

「だからって、何で急にクリスマスなんだ?」

「だって・・・・」


凛はそこで黙り込むと、泣き出した。桜木が宥めるけど、泣き続ける。


クリスマスに、何か悲しい過去でもあったとでも言うのか?よくわからない。

凛の行動は、自らの予想すらも覆すから、いつも戸惑う。


「僕も、その気持ちはわかります。

クリスマスでみんなが浮かれているのに、

自分だけ一人、犬小屋で過ごすことの虚しさ」


少し・・・・いや、かなり違うと思うが、

クリスマスに(こっちに来るまで、クリスマスと言う言葉自体を知らなかった)

何の思いでもないのは、俺だけらしい。

まぁ当然と言えば当然だが、あまりいい気はしない。


「そうだよね。みんな友達とワイワイ楽しんでるのにさ、

自分だけ一人ポツンと屋根の上から見てたりして。

それでさ、雪が降って来た時なんてもう・・・・」


「そうですね、悲しいですね。雪が神様からの贈り物だと思ってましたよ」


二人は、俺には想像もつかない世界に入り込んで

泣いて、お互いを宥めあっているが、話が全くわからない。

クリスマスを一人で過ごすことが、そんなに悲しくて嫌なことなのか?


「・・・・まぁ、クリスマスをするのはいいが、

イブとクリスマスが終わったら、直ぐに仕事に戻るからな」


「えっ、お正月は?」

「まだ先の話だ」


「じゃあ、バレンタインは?」

「それは、お前には関係ないだろう」

「じゃあ、三月三日は?お雛様は?ホワイトデーは?」


「おい、取りあえず何かある日を上げてるだけだろう?

第一、お雛様って言うのは、女の祭りだろう。俺達には関係ない」


「・・・・でも、クリスマスはやるよね?」

「・・・・」


何も言わずに後ろを向くが、視線を思い切り感じる。


これは・・・・やるって言わないと、いけない雰囲気だぞ。

なんで、そんなことを気にするのか・・・・。


「ああ」

「やったーー!!」

「やりましたーー!!」


二人は、抱き合って喜んだが、そこまで喜ぶことはないと思うぞ。


「クリスマスの用事ってなんだ?」

「えっ、何だろうねぇ」


さっきまで泣いていた人物とは思えない顔で言う。


・・・・ムカつく。人がちょっと気にしてやれば、調子に乗りやがって。


「何だよ、そのなんだろうねぇって言うのは」

「大体想像がつくじゃないか」

「そうなんですか?」


「そうだよ。誘われたんだ」

「凛君、学校ではモテますからね」


そこまで言われて、やっとわかった。

クリスマスと言われてピンと来るものなんて一つもないから、わかるはずがないだろう。


「そうか」

「あれ?何だか普通の反応。つまんないなぁ」

「俺がどんな反応をすると思ったんだ?」

「言わない、言ったら怒るもん。短気だからさ、一々、気を遣わなくちゃなんない」


「気を遣わなきゃいいだろう」

「それより、クリスマスは休んでいいんだよね。全てを忘れて」

「全てを忘れてもらっちゃ困るが、まぁ、約束をしてるならしょうがないだろう」


クリスマスは、確かキリストの誕生日だ。

それが、なぜクリスマスツリーを飾り、ワイワイにぎわっているのかがわからない。


「そう言えばさ、亜修羅の家って、クリスマスツリー・・・・ないよね?」

「買えって言うのか?」

「そうだよ。でないと、クリスマスじゃなくなっちゃうよ」

「クリスマスと言うことを理由に、休んでいるだけだと思うけどな」


「そんなことはないよ。とってもいいことだよ!」

「買うって、いつ買いに行くんだよ。今日ぐらいしか時間がないと思うぞ」

「じゃあ、今日行こうか」


そんなつもりで言った訳じゃない。今日行こうなんて、微塵も思っていなかった。


ただ、軽い気持ちで言っただけなのだが・・・・。


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