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想造世界  作者: 玲音
第二章 三つの国宝
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魔界の国宝 雷光銃編 大金の依頼

「危ない、四時だよ。後一時間で日が昇るところだったよ」

「あいつ、またいなくなってるぞ」

「あっ、本当だ。何だか、しょっちゅういなくなってるね、桜っち」


もぬけのからとなったベッドを見下ろし、しみじみ思う。真夜中に、あいつは何回起きて移動をしているのか。本当に調べてみたい。


「そう言う問題じゃないだろう。変に思わないか?」

「何が?」

「・・・・」


その時、ドアが開き、探していた桜木が入って来た。特に変わった様子もなく、おかしいところもない。


「あっ、二人とも。起きてたんですか?」

「桜木、こんな時間にどこ行ってたんだよ」

「トイレですよ。冷え性なもので、布団を被ってても、足が冷えてしまうんです」


「そうか」

「それよりも、二人の方がどうかしたんですか?パジャマがグチャグチャですよ」

「ああ、ちょっと出かけて来た」

「そうなんですか」


不自然な言葉に対し、桜木は何も言わずに納得する。妖怪のことを知っているから何も言わないのだろうが、知らなかったら、きっとちゃんとした答えを問うて来るはずだ。


「・・・・盗まれました」

「何が?」

「雷光銃が、何者かに盗まれました」

「何だって!?」


まずは、桜木が優勝賞品が魔界の国宝の一つだってことを知っていたことに驚き、それに加え、雷光銃が何者かに盗まれたことにも驚かされた。


「実を言うと、二人が出かけている間に、楠さんに頼まれていたんです。雷光銃を守るように。楠さんは本当は人間ではなく、魔界の国王のいとこなんです。なぜ、雷光銃を持って来たのかと言うのは、いずれ訪れるであろう種族争いのためなんだそうです。そこで、人間界に雷光銃と同じ波長を出す人を発見したので、その人に雷光銃を託すらしいです」


「ちょっと待てよ、種族争いって何だよ?種族争いは妖怪での問題だろう?人間は関係がないんじゃないのか?」

「はい、ありません。でも、しょうがないんです。その使命から逃げることは出来ません」


思いも寄らない方に話が向かい、戸惑って話しも出来ない凛は、首を縦に振り続けている。


俺は、何とか話すことが出来るが、頭が混乱して来る。


「何で国宝が役に立つんだよ?」

「わかりません。でも、魔界の国宝を三つ集めると世界を支配出来るとか、そう言うのは単なる嘘らしいです。本当の力は知らないのですが、それだけは本当みたいです」


そんなことを話していると、ドアがノックされた。こんな時間に人の部屋に来るなんて、どんな奴だ。


「楠さんです。本名は阿紋さんですけど」


桜木が、俺の気持ちを見透かしたように言い、ドアを開ける。そこには、楠が立っていた。


なるほど。トリックバトルは、単なる人集めの為のものだったのか。


「明日夏君から聞いた通りだ。それで、君たちを妖怪と見越して、二つ頼みごとがある・・・・」

「断る」

「まだ、何も言ってないじゃないか」


「おい、大体想像がつかないのか?こう言う場合、一つ目は雷光銃を見つけ出して、二つ目はその周波数に合った人を探して欲しいとか言われるに決まってる。そんなのごめんだ。行事にだけはしっかり出ないとならないからな」


「いや、違う。頼みと言うのは、雷光銃を見つけ出して、周波数の合った人を探す。これがワンセットだ。二つ目は、またもや、人間界で行方が不明になった烈火闘刃を見つけ出し、更に周波数の合った人間に渡してもらいたい」


「・・・・俺は、人間の言うことなんざ、聞かないぞ」

「私は妖怪であるし、これは頼みと言うより、何でも屋の依頼と受け取ってもらいたい。もちろん、報酬も出す。だから、頼む。私には荷が重過ぎる」


楠はプライドを踏みにじり、土下座をして頼み込んで来た。


そこまでされてもな・・・・命を危険にさらすことだ。報酬の値段で決めよう。


「いくらだ?」

「当ててみて下さい。ちなみに、四つある条件のうち、一つずつの金額です」


聞いているのはこっちなのに、なぜ聞かれなくてはならないのかと困る。


答えを求めるように凛を振り返るが、わからないと目で告げられる。


「十万?」

「いえ。桁が違います」

「百万?」

「はずれです」

「・・・・」


俺は、次の言葉を言うのを躊躇った。


確か、一つの条件でもらえる金額だったはずだよな?それじゃあ、余程危険で、大事な仕事なのか。報酬がそんな大金なんて、今まで受け持ったことがない。せいぜい百万程度だ。今回の仕事は、その額を簡単に上回るらしい。


「千万・・・・」

「一億です」

「おい、血迷ったか?」


「いえ、本気です。この仕事には、それなりの価値があります。何でも屋のあなたなら、報酬の額が高いほど危険で、慎重に行わなくてはならないことを知っているでしょう」


「桜木は、それを承知したのか?」

「はい、種族争いとかはよく分かりませんが、一応。でも、店主は修さんですから、修さんが決めて下さい」


「凛は?」

「僕は、亜修羅に任せる。そう言う難しいことを考えるのは苦手」

「そうか。俺の答えはとっくに決まっている。もちろん、承諾した。その代わり、後で金が足りないとか言うなよ?こっちは命を懸けるんだ」


「そうですか。お金の方なら大丈夫ですよ。一応魔王のいとこで、お金だけは腐るほどありますから」


何だか、話が飛び過ぎてよくわからない面もあるが、とにかく断ろうとは思わなかった。


報酬が高いとかどうのこうのじゃなく、魔界の国宝とも言われるものを見てみたかったし、それを操る者を見てみたかったのだ。


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