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想造世界  作者: 玲音
第五章 新しい出会い
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間違われ少年

「遅くなっちゃってごめんね~。

お母さんがさ、私の行動に気づいちゃって、

『友達呼ぶならそういいなさい!』っていって怒っちゃってさ、

それに反論してるうちにもめちゃって・・・・」


「いやいや、気にしないでいいよ」


「そっか。あっ、でも、そのお詫びと言っちゃ何だけど、

特別美味しいお菓子持って来たんだ!

これね、この間岐阜に住んでるおばあちゃんが買って来てくれたんだけど、

もうすっごく美味しくて!美味しいから食べてみて!」


園田さんは相変わらずとても元気だった。でも、僕の心には少しだけ戸惑いがある。


それも何も、あの漫画の中身を見たせいなんだけど、

でも、それって、僕が勝手に見ちゃったことに原因があると思うんだ。

だから、その戸惑いを見せないように振舞う。


・・・・でも、中々インパクトの強いものだったから、僕の頭から離れない。

こればっかりは自分のせいだから、自分を責めるしかないけど・・・・。

あっ、そうだ。忘れちゃえばいいんだ。すっかり忘れちゃえばいいんだ!


無理やりと言えば無理やりな結論だけど、これしか今の僕に出来ることはない!

園田さんに勧められたお菓子を食べてみる。・・・・これは!


「美味しい!」


「おおっ、だよね!

それ、おばあちゃんの家の近くにあるケーキ屋さんで買ったらしいんだけど、

もうめちゃくちゃ美味しくてさ!華月さんはどう?」


「うん。美味しい」

「そっ、そうですね。おっ、美味しいです・・・・」


市川さんはなんだか緊張しているようで、彼女に対して敬語を使った。

すると、彼女は驚いた顔をしたかと思ったら、

市川さんにズイズイ近寄って、背中をバシバシ叩いた。


僕もたまにああやって背中を叩かれるけど、中々痛い。

空手を習ってるからかわからないけど、結構力があるから痛いんだよね。

本人は無自覚みたいだから、何とも言えないんだけどさ。


「敬語なんて使わなくていいんだよ!私達同い年だし。

それに、同じクラスメートじゃん?敬語なんて堅苦しいからやめてよ~」


「うっ、うん。あの、ごめんなさい。あの、痛い・・・・」

「あっ、ごめんごめん!ついいつもの調子で叩いちゃった。宗介だったら平気だよね?」

「ごめん、僕も痛い!」


「え~っ、そんなこと、今まで一度も言わなかったじゃん。

だから、平気だと思ってたのに」


「言わなかったって言うか、言えなかったって言うか~ね?」


僕は逃げ場を求める為、亜修羅に問いかけてみる。すると・・・・。


「お前だって散々叩くくせに、自分が叩かれた時だけ痛いとか言うな」

「・・・・冷たいなぁ」


「えっ、宗介、お兄さんのこといつも叩いてるの?」


「え?」

「だから、お兄さんのこと、いつも叩いてるの?」


園田さんは、僕が聞き取れていないと感じたのか大きな声で言ってくれたけど、

僕があの反応を示したしたのは、聞こえなかったからじゃない。お兄さんって・・・・?


不思議に思って考え込んでいると、ため息をついて、背中を叩かれた。


「ちょっと、何するのさ!」

「お前が俺を巻き込んだ時、そう言ってただろ?」

「え?」


尚も思い出せないでいる僕に対してイライラした表情を見せる。

なんだか、いつにも増して機嫌が悪い。どうかしたのかな?


「どうしたのさ、そんなにイライラして・・・・」

「文化祭の時だよ」


「文化祭?」


「お前が、俺を兄だと言って無理やり連れてって、俺のトラウマを一つ増やしただろ」

「・・・・あっ」


ようやく思い出すことの出来た僕に対してため息をつくと、そっぽを向いた。


なるほど、だから不機嫌だったのか。

ようやく全てのことに合点がいった。

確かに、あの時のことを思い出した亜修羅は物凄く不機嫌になるんだ。

以前、「別にそんなにおかしくなかったんだし、いいじゃない!」って言ったら、

本気で追い出されたことがあるから、相当トラウマになってるみたいだ。


「どうしたの?二人でコソコソ話して?」


「うっ、ううん。

おっ、お兄ちゃんがさ、ちょっと小言を僕にぶつけて来たから・・・・いたっ」


「大丈夫?」

「うん。大丈夫!いつものことだからさ!」


僕はなんとか笑顔を浮かべるけれど、

無言で反論してくる亜修羅の態度に、内心、凄くムカついていた。


だって、普段はちゃんとしゃべってくるからいいけど、

今はほとんど話さないで、蹴ったり叩いたりするんだもん。いくら僕でも怒るよ!


「おっ、お兄さんだったの?」

「あれ?市川さん、知らなかったの?」


「うん。あの時私、放送委員だったから、クラスの出店に参加出来なくて・・・・」

「あっ、そうだったんだ。残念だったね・・・・」


「ううん。でも、私、てっきり友達だと思ってたよ。

髪の毛の色とか顔立ちとか、あんまり似てないし・・・・」


普段のおとなしい性格からは想像も出来ないほどの鋭い指摘に、

とてもハラハラしていた。


まぁ、そりゃ、亜修羅と僕は正反対だし顔だって似てないから、

兄弟って言うのは中々厳しいけど・・・・。


って、そもそも、兄弟って髪の色同じなのかな?

人間の髪の毛事情を僕は知らない。


妖怪は、兄弟でも髪の色が違ったりするし、顔もあまり似てなかったりするから、

この兄弟で通用すると思ったんだけど、人間の兄弟ってもっと似てるものなのかな?


「えっ、えっと、あの、お兄ちゃんが髪の毛染めてるんだ。

茶髪はやだって言うからさ。

それでね、顔は、僕がお母さん似でお兄ちゃんがお父さん似で・・・・」


「へぇ~。でもさ、宗介って女の子みたいだから、

二人でいる時カップルに間違われちゃうことって、ない?」


「うっ・・・・」


物凄いことを言われて、喉から変な声が漏れる。

でも、正直、あるって言えばあるんだよね・・・・。

私服の時に二人で歩いてると、お店のお姉さんに、「カップル向けの映画ですよ~」

なんて言われたこととかあるし。


でも、それ以上に多いのが、兄妹に間違われること。

カップルに間違われるよりはマシだけど、なんだか複雑な気持ちになる。


そんなことが多いせいか、亜修羅に、

「顔は仕方がないけど、服装はどうにかしろよ」って言われちゃった。


あっ、もちろん、スカートなんて履いてないよ?

でも、ファッションの好みもどちらかって言うと女の子寄りみたいで、

可愛い服とか好きだ。


でも、そんなことが多いので、

僕は出来るだけ男の子が着るような服を着ようと努力を始めた。


と言っても、前までは男女両用の服を着てたのに対し、

今は、男の子専用の服を着始めたってことだけ。


・・・・しかしだ。それにしても、やっぱりたまに言われる。

だから、ついに亜修羅は僕と二人で出かけるのをやめちゃったんだ。

別にいいって思っちゃえばそうだけど、寂しいことは寂しい。


「そう言うこと言うから、勘違いされるんじゃないのか?」

「え?そう?僕はこれが普通なんだよ」


「お前の普通は、一般では普通じゃないんだよ」

「そんなこと言ったってさ~」


「見た目も声も仕方がないことだ。

ファッションを変えたって勘違いされるなら、もうそれしか手がないだろ」


「別に、勘違いされたっていいじゃん。違うって言えばいいし」

「俺が嫌なんだよ。お前こそ、どうしていいんだよ?」

「うーん、どうでもいいから?」


そう言ってみると、もう口を利いてくれなくなった。


僕としては、もう完全に慣れっこだから平気なんだ。

まぁ、確かに、カップルとか兄妹に間違われるのは嫌だけどさ、

嫌がっても間違われちゃうだろうし、自分の容姿を嫌ったってどうにもならないし、

仕方ないかな~って考えてるんだ。


だから、そんなにピリピリしてる亜修羅の方が不思議なんだよね。


「やっぱり、あるの?」

「えっ?なっ、ないよ!」

「さっきの会話、聞こえてたけど?」

「・・・・まっ、まぁ」


僕が嫌々肯定すると、園田さんはうんうんとうなずいてから、

ふと何かを思い出したかのように華月さんに声をかけた。


「あっ、そうだ。原稿、見ます?」

「いつでもいいよ。私は」

「あっ、じゃあ、今見てください!」

「うん」

「えっと、それじゃあ私達、ちょっと行って来るね」


「・・・・え?どこに?」


「原稿。この部屋じゃなくて、お父さんの書斎にあるの。それを見せてくるから!」

「あっ、そうだったね」

「うん。あっ、市川さんも来る?」

「えっ、私!?」

「うん。好きそうだから。じゃ!」


園田さんは、僕らに向かって手を挙げると、

戸惑う市川さんの手を引いて部屋から出て行ってしまった。


「・・・・お前とそっくりだな」

「そう?」

「そうだよ」


「失礼しちゃうわ!」

「・・・・」

「怒らなくたっていいじゃん」


小さな声で呟くと、亜修羅は満足そうにうなずいてお菓子を食べてた。


その勝ち誇ったような表情がなんだかムカついて、

突き飛ばしてやろうかって思ったけど、

そんなことしたら10倍にして返されそうなので、

仕方なく、亜修羅も気に入ってるお菓子を横取りすることにした。


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