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想造世界  作者: 玲音
第五章 新しい出会い
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教頭先生の陰謀と彼の心配

「なっ、なんてことだ・・・・」


目の前に広がる景色が信じられなくて、僕はつい、いつもと違う口調になってしまう。

あれから僕は、学校中を探し回った。もちろん、校庭やトイレまでもね。

でも、シークレットランドは見つからなかった。


ここは、一番最後までとって置いた場所。

見た目はは明らかに違うけど、わずかな希望を持ってドアを開けた。

しかし、そこに広がっていたのは裏庭で、シークレットランドではなかった・・・・。


さっきまで自分がいた場所が学校からなくなってしまったんだ。


どうにかしてシークレットランドに戻りたいと思う。

でも、その思いが身を結ぶことはないみたいだ。


こうなってから、ようやく、彼女の忠告を理解する。

あんなに強く「ここにいて」って言ってた理由は、

シークレットランドがなくなっちゃうからだったんだ・・・・。


仕方なく学校を出ると、竜君の家に帰ることにする。

行きはあんなに楽しかったのに、今はなんだか切ない気分だ。

結局、スクラップのいる世界には行けなかったし、みんなとはぐれちゃったしね。

まぁ、後者の方は、彼女の忠告に従わない僕が悪かったんだけどさ・・・・。


校門を出て、青山学院の校舎を眺める。とても綺麗な校舎で、とても大きい。

それに、シークレットランドみたいに、不思議な場所が存在する学校。

とても羨ましい・・・・。


だって、僕の学校に不思議な場所なんて存在しないもの。

強いてあげるなら、職員室にある、「魔の一角」と呼ばれてる場所ぐらいかな?


そこは、窓を背にした端に位置する場所なんだけど、

なんでも、そこに座る先生は、「将来、頭が寂しいことになる」って有名なんだ。

実際、その席に座ったことのある先生は男の人だけで、

その全員が、度合いは違うながらも髪の毛が薄い人、もしくは少なくなったらしい。


ちなみに、現在その位置に座ってる先生は、新任の先生。

まだ20そこそこだって言うのにその席に座ってるから、とても可哀想だと思う。

そして、僕達生徒の間では「教頭の陰謀だ!」なんて噂が広まってる。

だって、その席は、もともとベテランの先生や教頭などが座ってた場所なのに、

今年は、赴任して来たばっかりの新任の先生が座ってるんだ。

だから、生徒の噂は広まるばかり。


教頭先生自身、中々の髪だからさ、

「これ以上酷くならないように、教頭がハメたんだ!」なんて話してる。

実際のところはどうなのかわからないけど、「そんなもの、ただの噂だ!」って

平気なふりして、実は一番気になってるみたいだから、その線は十分ありえるかも。


でも、これって、不思議な場所と言うよりは、学校の七不思議ぽいよね。

専門家に聞けば、何かしら理由が出て来そうなあたりがさ。

だから、専門家もお手上げ状態になるほどの

不思議な場所を抱えている青山学院が羨ましかった。


「はぁ・・・・」


急に気分が沈んで、フラフラとした足取りで歩き出す。


シークレットランドからでも、桜っち達と連絡を取ることは出来ないんだから、

ここではきっと無理だろう。

かと言って、亜修羅は僕の相手になってくれそうにない。

だって、出かける前の時、凄く不機嫌だったしね・・・・。


急に予定がなくなっちゃったものだから、これから何をしようか決めてないし、

友達も、今日の今日じゃ、予定が合わなさそうだしなぁ~。


そんなことを思いながら道を歩いていると、

少し先に、花束を抱えた雅さんの姿を見つけた。


僕は、直ぐに走り寄ろうと二、三歩踏み出したけど、直ぐにその足を止める。

だって、シークレットランドで挨拶をした時、

なんだか妙にそっけなかったって言うか嫌われてるような気がしたんだもん。


僕の思い違いかもしれないけど、

気づかないうちに嫌な気持ちにさせてたかもしれないし・・・・。


もしそうだとしたら、逆に謝った方がいいような気がして、小走りで近づく。


「あの、雅さん!」

「あれっ、丘本君じゃないか。三影さん達といるんじゃなかったの?」

「えっ、えっと・・・・はい」


苦笑いを浮かべながら答えると、雅さんの顔色を伺う。

不機嫌そうな様子もなく、自然と胸を撫で下ろす。


「あの、僕、嫌な思いをさせちゃったでしょうか?」

「え?」


「さっき、シークレットランドで話した時の雅さんの反応に、

少し違和感を覚えたので・・・・」


恐る恐る聞いてみた。すると、雅さんは驚いたような顔を見せて、謝ってくれた。


「嫌な思いなんてしてないよ。

ただ、誤解させちゃったのなら、ごめんね。ちょっと用事があって急いでたからさ」


「あっ、そうだったんですか。

いえ、僕が勝手に勘違いしちゃっただけですから・・・・。

あの、もしかして、用事って言うのは、その花束と封筒のことですか?」


尋ねてみると、彼は、大切そうに抱えている花束と手紙を見下ろした。


その花束は完全に萎れちゃって、茎もしなっとしてるし、

白い封筒だって、よごれがついちゃってる。

普通なら、捨てられてしまいそうなものを大切にしてるってことは、

よっぽど大切なものなのかな?って気になったんだ。


「ああ、うん。ちょっとね。大切なものなんだ」


「そうなんですか。あっ、じゃあ、急いで水につけなきゃダメじゃないですか?

 お花、萎れちゃってますよ?」


「ううん、大丈夫。このままでも十分綺麗だからさ」

「そっ、そうなんですか・・・・?」


雅さんの話してる様子から、凄く大切なものなんだろうなってことは理解出来るけど、

萎れた花を何に使うのかってことだけは、全くわからなかった。


でも、さすがにこれ以上踏み入ったことを聞くのはよくないだろうと、

知りたい欲求をなんとか堪える。


「あっ、そう言えば、兄さんが君のことを心配してたよ」

「えっ!?どっ、どうしてですか?」


「ほら、俺と一緒に霊界に来ちゃったでしょ?それを自分のせいだと思ってるみたいで、

『あれから体壊してない?』って聞いてくれって言われたんだ」


「あっ、はい。僕はバリバリ元気ですけど・・・・。

あの後、優美さんと会ったんですか?」


「うん。ちょっと用事があってね。

兄さんがこっちの世界に来られるのはクリスマスだけなんだけど、

俺があっちの世界に行くことについては制限がないから、いつでも会えるんだ」


「なるほど・・・・」


長年の謎が解けて、自然と心の中が安らぐ。


「もともとは、霊体であるなら、

動物や言語の違う者達ともコミュニケーションが取れるって能力だったんだけど、

10月ぐらいから、霊の気が沢山ついているものを所持していれば、

霊界に行けるようになったんだ。

だから、最近ではちょくちょく会いに行ってるよ」


「変化したんですね!」


「うーん、変化と言うよりは、

『新しいことが出来るようになった』って言うべきなんだろうけど・・・・。

まぁ、そんな訳だからさ、『邪魔をした』なんて思わなくてもいいからね」


「はい、わかりました!」


これもきっと、優美さんからの伝言なんだろうなと思うと嬉しくて、

僕はつい素直にうなずいてしまった。


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