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想造世界  作者: 玲音
第五章 新しい出会い
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隔離世界?

「あーあ、つまんないなぁ」


丸い机の真ん中に陣取って大きな声を出してみる。

もちろん、この部屋には誰もいないから、答えは返って来ない。

でも、そんなのどうでもよかった。とにかく、退屈で退屈で仕方がなかった。


今まで僕がどうやって過ごして来たかって言うと、

水樹君が淹れてくれた紅茶と、机の上に山盛りにあったお菓子をひたすら食べて、

後は、シークレットランドの中をうろうろ歩き回ってた。


それで、ようやく一時間が経った。

でも、まだ誰も帰って来る気配がなく、僕の心はブルーになる。


お菓子はほとんど食べちゃったし、紅茶もほとんどない。

部屋の中の見学なんて、何往復もしたんだ。

それなのに、まだ、一時間しか時計が進んでいないなんて・・・・。


これから何をしたらいいのかわからず、机に突っ伏していたと言う訳だ。


「あーあ!どうしてここから出ちゃダメなんだろ?

わざわざこの部屋にいなくちゃいけない意味って、何??」


誰もいないことを確認しながら、ボソボソと愚痴をこぼす。


だってさ、そうじゃない?どうしてここから出ちゃいけないのか。それが不思議だ。

もし理由があるなら、ちゃんと言ってくれればいいのに。

それも伝えてくれないしさ、愚痴でもこぼさないとやになっちゃうよ・・・・。


机に上半身を乗せたまま、正面の扉に目を移す。


さっき見学をした時から気になってたんだけど、

あの扉にだけ、内側から物凄い数の鎖が絡みついてるんだ。

誰がどう見たって、普通じゃないって思うよね?

それは僕も同じで、よーく観察してみた。


でも、鎖が巻き付いてるってこと以外、これと言って変わった点は見当たらない。

強いて言えば、近代にはあまり見かけない木製のドアってことだけ。

本当は、鎖を引きちぎって中を調べてみたいなって思ったけど、

やっぱりそれはよくないなと踏みとどまって、今みたいな形になってる。


「うーん、やることなさ過ぎて溶けそうだ~」


足をジタバタさせてみるものの、

誰もいないし誰も見てないから、辺りはシーンと静まり返ったまま。


こうなってくると段々と寂しくなって来て、僕は、とっさにメールを送った。

相手は桜っち。「そっちの世界はどう?」って打って、送信ボタンを押す。


でも、なぜか送信出来なかった。


こうなったら、電話するしかない!

と電話をしてみると、驚いたことに、見知らぬ人が出て来た。


「もしもし?」

「あっ、えっ、えーっと・・・・」

「どちら様ですか?」

「・・・・」


聞こえて来る声は男の人の声。

でも、桜っちに比べて随分と低いから、絶対に別人だってわかる。


でも、それ以外は全くわからない。

僕は桜っちにかけたはずなのに・・・・桜っちの携帯を誰かが拾ったの?

それとも、僕が間違えた??


頭に浮かぶ疑問を一つずつ整理していると、

相手の人はため息をつきながら電話を切ってしまった。


どうやら、間違い電話と勘違いされたらしい。


リダイヤルを確認してみると、そこには「桜木明日夏」の文字。

だけど、出て来たのは知らない男の人。これは、一体どう言うことだろう?


「・・・・ここ、何か変?」


普通の圏外だった場合は、メールが送れなくて、電話も通じなくなると思う。

全く知らない人に通じるなんてありえないはずだ。


今度は神羅に同じことをやってみた。すると、こちらも全く同じ結果。

メールは送れなくて、電話の相手は女性だった。

話してる様子からして、神羅の携帯を奪って話していると言うよりは、

自身の携帯にかかって来た見知らぬ電話に対応してるって感じだ。


電話の後にリダイヤルを確認すると、「神羅」って書いてあるし、

僕は、電話帳から発信してるから、番号ミスもありえない。


知れば知るほどわからなくなって、今度は亜修羅で試してみることにする。

亜修羅は、二人と違って別の世界に行ってないはずだから、通じるかなって思ったんだ。


文面はなしの、空メール。

だって、メールが送れたとして、返信してくれるとは思えないんだもん。


ドキドキしながら送信ボタンに指を動かす。

もし、亜修羅にまで通じなかったらどうしようって不安になって来たんだ。

どうか、送信出来ますように!と祈りながら、送信ボタンを押して目をつぶる。


そのまま3秒程度停止した後、ゆっくりと目を開ける。

そこには、「メールを送信出来ませんでした」の文字。


背後から思い切り殴られたようなショックを受けて、ガックリとうなだれる。

まさか、亜修羅にまで通じないだなんて・・・・。


こうなったら、誰にもメール、電話は通じないだろうなと悟って、

他の暇つぶしを探そうと立ち上がる。


三影さんは、「絶対に出ちゃダメだ」って言ってたけど

・・・・理由があるならいいよね?


自分自身に問いかけてうなずくと、心の中で「ごめんなさい!」と言いながら、

シークレットランドの外に出る。そして、真っ先にトイレへ。


うん。実は、ずっと黙ってたけど、トイレに行きたかったんだ。


でも、シークレットランドの中にトイレは見当たらなかったし、

そうなると、もう外に出るしかなかった。

でも、それは三影さんに止められてて・・・・。


さっきまでずっと何かを考えていたのは、気を紛らわす為。

だけど、もう我慢の限界だったから、謝りながら出て来たんだ。


「・・・・あれ?」


外に出たことがバレないように、急ぎ足で来た道を戻ってきたんだけど、

そこにあったのは、体育館だった。


さっきの入り口とは明らかに形が違うものの、

もしかしたら・・・・と言うわずかな可能性にかけて中に入ってみる。

けど、もちろん、そんなことはなかった。


「・・・・なんで??」


理由が全くわからずに、そんな言葉が口から漏れる。


キョロキョロと周りの様子を伺ってみるものの、

一番最初に廊下を通った時の風景と、

なんら変わりないはずだった・・・・けど、実際は違った。


僕は、慌てて窓の近くに駆け寄り、そこから下を見下ろす。

すると、一番最初に見た時も高く感じた。

それは、僕がいつも感じている三階の高さで・・・・?


よくわからない。窓の高さ以外、一番最初に見たものと違うことはなかった。

教室の配置も通る順番も、全く一緒だった。ただ、高さだけが違って見えた。


こうなっては、意地でも探し出すしかない!

どうしてこうなったのか聞きたいし、

それに何より、みんなが帰って来るまでに戻ってないと、三影さんに怒られちゃうもん!


「よーし、絶対見つける!」


自分に気合を入れるようにつぶやくと、まずは三階から探し始めることにした。


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