学校フェチでは?
「あーあ!やっぱり、修も来ればよかったのにね!」
「そっ、そうですか?」
「あれ?桜っちは、あんまり気にならない?」
「相当嫌がっていたようなので、無理に連れて行くのはどうかな・・・・って」
「ワクワクしないのかな?だって、時間と空間を飛び越えるんだよ!?」
「あっ、あの、あまり期待しないでくださいね?
もしかしたらがっかりしちゃうかも・・・・」
「ああ、そこらへんの問題は、ノープロブレム!
がっかりはしても、怒ったりはしないからさ!」
「あっ、ありがとうございます・・・・」
水樹君は不自然な笑みで答えると、月野君と会話を始めてしまった。
「・・・・やっぱり、怖がられてるのかしら?」
「確かに、ちょっと様子がおかしいもんな~」
「でしょ?」
「でも、気にしないで大丈夫だろ、慣れたら前みたいに戻るって」
「慣れってどう言う意味?」
「んー、俺だって最初の頃は、凛の強さは普段から感じてたもんだから、
自然と警戒しちまってたんだけど、今はもう慣れたから平気って感じか?」
「そっ、そうなんだ・・・・」
傷ついたともショックを受けたとも言えないような心を抱きながら、苦笑いを浮かべる。
亜修羅達だけは、最初から普通に接してくれていると思っていたのは、
僕の勘違いだったみたいだ。
言動には表さないだけで、
やっぱり、どこか警戒してしまう部分があったのかもしれない。
「あっ、でも、僕は、最初から気づきませんでしたよ?」
「そうなの?」
「はい。とても強い妖気なので、普通は感じ取れるはずだったのに、
凛君のだけは感じ取れなかったんです。
だから、修さんと出会って凛君が妖怪って教えてもらうまでは、
普通の人間だと思ってましたから!」
「そうなんだ!あれ?それ、褒められてるの?」
「はい!」
桜っちは元気よくうなずいてくれたので、僕も親指を立てて返事をする。
そう言う問題じゃないだろー!って思うところもあると思いますが、
まぁそこは、多めにみてください!
だって、このままじゃ、ネガティブ思考に入るところだったんだもん。
そんなの、空気を悪くしちゃうからね!
「ねえねえ、学校までの距離、後どのくらい?」
「そうですね・・・・。後5分程度で着きますよ」
「あれ、青山って、そんなに近くにあったんだ!」
「はい、あの信号を渡った先に見える白い建物が、僕達の学校です」
「中高一貫ってことは、凄く沢山の生徒がいるんだよね?やっぱり、校舎って広いの?」
「そうですね・・・・。普通の中学校や高校に比べれば大きいと思います」
「へぇ~!」
話に聞けば聞くほど、ワクワクして来る。
学校が好きって訳じゃないけど、
他の学校の中がどうなってるのかとか、妙に知りたくなっちゃうんだよね~。
特に、中高一貫!僕達が通ってる中学とは異なった部類に属す学校だ。
なお気になる!
月野君が指差していた横断歩道を渡り終えると、少し先に白い建物が見えた。
ここから見える様子は、多分、学校全体の3分の1にも満たないかもしれないけど、
僕の通ってる中学よりも、広くて大きくて、綺麗そうだなってことは直ぐにわかった。
「うちの中学より綺麗だね!」
「そうですね・・・・。よほど清掃に力を入れているのでしょうか?」
「それにしても、造りが全然違うよね、同じ学校とは思えないくらい!」
「名門ですからねぇ~」
そんなことを話しながら、彼らの後について歩く。
校門までの距離はあと少しだから、そこで立ち止まるのかと思ってた。
でも、二人は校門の前を通り過ぎると、そのままどんどん歩き出してしまう。
「あれ?学校入らないの?」
「いえ、今は冬休み中ですから、正門は鍵がかかってるんです。だから、裏門から」
「裏門の鍵は開いてるの?」
「いえ、クラブの集まりがある時だけ、部長に開けてもらうんです」
「なるほどね~」
確かに、いくら裏門と言えど、鍵が開けっ放しって言うのは物騒な話だ。
学校に侵入する人って、案外いるものだからね~。
この間もテレビで見たけど、小学校に不審者が侵入!とかあったし。
人間界は、魔界よりは平和だ。
でも、そんな人間界でも、やっぱり物騒なことはおきてる。
そう考えると、少しだけ落ち込んだ。
「どうしました?」
「えっ?何??」
「なんだか考え事をしていたようなので・・・・」
「あーっ、大丈夫!」
心配してくれた桜っちに向かって笑顔を浮かべると、目の前の景色を眺める。
いつの間にか裏門の前に到着していたようで、月野君が部長さんに電話をかけていた。
青山学園の裏門は正門よりは小さいものの、僕の学校の裏門よりは大きい。
やっぱり、全てがビッグに作られてるみたいだ。
「それじゃあ、どうぞ入って下さい」
月野君が門を開けてくれたので、ワクワクしながら校内に入った。