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想造世界  作者: 玲音
第五章 新しい出会い
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深まる謎

「で?」

「ん?何が??」


素でそう問うて来る凛の頭を再び殴ると、深いため息をつく。


全く、冗談じゃない。

自分が眠れないからって眠っている奴を起こして、

強引にでも話しに付き合わせようとするなんて・・・・。重罪に値するぞ。


しかも、こんなことが起こるのは一度や二度のことではない。

何度こいつのわがままに付き合わされたことか。

やめろと言わなかった訳じゃない。

俺は、飽きるほど、こいつに言い聞かせた「もう、俺のことを起こすんじゃない」と。

その度にうなずくくせに、少しするとその約束を忘れ、起こしにかかってくる。


話しによると、俺よりも、神羅の方がもっと起こされていると聞いた。可哀想だと思う。


そもそも、こいつが隣で寝ているおかげで、俺は既に安眠出来ないのだ。

なぜなら、こいつは物凄く寝相が悪いから。

体を蹴られたり叩かれたりするのは日常茶飯事で、

それによって目が覚めることだって腐るほどある。


一番酷いのは、自らの布団をどこかへやり、俺の布団を取ろうとするところだ。

あれだけは許せない。

ただでさえ寒がりな俺は、布団一枚だって寒いと言うのに、それを奪おうとするのだ。


ある時ついにブチ切れて、凛を追い出そうとした。

しかし、神羅達に止められて何とか思いとどまったものの、

睡眠時によるストレスは増すばかりだった。


「ね、おかしいでしょ?」

「ん?」


「・・・・もしかして、僕が説明してたこと全部聞いてなかったってわけ?」

「・・・・お前が無理矢理起こしたのが悪い」


「ちょっとー!罪擦り付けないでよ!

これとそれとは、別問題!今のは亜修羅が悪いよ!」


「・・・・」


ため息をつくと、寒くなったのでベットに入り、横になる。

すると、凛が腕をつかんで無理矢理起こそうとするので、真剣に抗議をした。


「寝ない!寒い!」

「寝ない?」

「寝たくても、無理矢理起こされそうだしな」


ため息交じりに吐き出すと、ようやく納得したようで、

さっき話していたことであろうことを、もう一度話し出した。


「だからさ、僕が気になったことはね、水樹君達のことなんだ」

「なんで?」


「うん、いやね、今さっき月でも見ようと思って屋根に上ったのさ。

そしたら先客がいて、亜修羅かなと思って話しかけたら、妖怪化した琥珀君だったんだ。

そこで、おかしいことに気づいた」


「何がおかしいんだよ。あいつだって妖怪なら、何もおかしいことはないじゃないか」


出来れば早く話しを終わらせて欲しくて、どうにも口を挟んでしまう。

すると、凛は「ちょっと黙ってて!」というように手で制すると、話し出す。


「うん、そのことはおかしくない。

じゃあ、何がおかしいのかって言うと、

ほら、寝る前に測った妖力測定器のこと覚えてる?」


「・・・・」


頭をひねって思い出そうとしてみる。

最初のうちは、寝る前のことが全くと言っていいほど思い出せなかったのだが、

今では、少しずつ思い出すことが出来てきた。


「確か、水樹の友達とやらが持って来た怪しい装置のことだよな?」

「そうなのです!琥珀君の妖力値、覚えてる?」

「覚えてるも何も、あいつ測ってないじゃないか。あの時は、俺達だけだっただろ?」


「ううん。水樹君が教えてくれたんだよ。参考までにって。

その時の数値は10万。

お世辞にも、高いとは言えない数字だった。でも、おかしいんだ」


「・・・・何がおかしいんだよ」


なんだかとてつもなく回りくどい言い方で、段々イライラして来た。

こうなるのもきっと、眠いところを無理矢理起こされたからだろう。

しかも、最悪な方法で。


「妖怪化するとさ、その妖怪の力がよりわかりやすくなるでしょ?

人間の姿の時に比べて。

妖怪化した琥珀君の妖気は、10万と言う小さな数字じゃなかった。

もっと強いものだったんだ」


「・・・・雑魚ではないと?」


「うん。確かなものではないけど、多分、僕らより少し弱いぐらいで、

10万ってほどじゃないはず」


そう言われてみれば、確かにおかしいところがある。

俺達は、自分たちの力=妖力であるが、それを数値化して、強さを測る習慣はない。

だから、相手を取り巻く空気にある妖気を頼りに強さを測る。


俺達の数字と比べると、琥珀の数字はとてつもなく少ない。

そうなると、あいつは下級妖怪になる。

しかし、下級妖怪は人間の姿に形を変えることは出来ないから、

人間界に来ることは出来ないはずなんだ。

そもそも、あいつは人間の姿に変われるから、

少なくとも中級妖怪ではあるはずだ。確かにおかしいかもしれない。


「・・・・あの機械がボロだったんじゃないか?」


「まっ、まぁ、確かにそんな可能性も考えられるけど・・・・。

あっ、あとね、もう一つ気になることがあるんだ」


「なんだ?」


「琥珀君とちょっと話してたらね、強さの話しになったんだ。

そしたら、琥珀君が急に、

『水樹は完璧、お前らも完璧。でも、俺は不完全だから』って言ったんだ。

それから、『当然と言えば、当然のことなんだ』とも。どう言う意味だと思う?」


「・・・・」


完全と言われても困る。

そもそも俺は、琥珀の妖気をその身で感じていないからよくわからないし、

その姿を見たこともないのだから、どこが不完全なのか、さっぱりわからない。


「そう言うお前こそ、何かわからないのか?姿や妖気をその身で感じたんだろ?」


「うーん、そうは言われてもですね、とても難しい問題なのですよ。

何かおかしなこと言っちゃったかなとか、

何か不完全と言い得るようなところがあったかなとか思い返してみたんだけど、

さっぱりわからないんだ」


「ふむ・・・・俺達の事は置いといて、『水樹も完全』と言う部分が気になるな」

「どうして?」


「あいつも、条件がそろわないのは琥珀と一緒だ。

それなのに、どうして水樹は完全で琥珀は不完全なのか。

その違いを見つければ、答えは出ると思う」


「あー、なるほど!

確かに、水樹君も妖力値で言えば下級妖怪なのに人間の形に姿を変えられるもんね!

さっすが!やっぱり目のつけどころが違うね!」


「当たり前のことを言ったんだ」

「あら、つまらない反応ね」


急に女みたいな口調で話し出した凛のことを出来るだけ苦い顔で見る。

もちろん、嫌な顔をされた。


「どうしてそんな顔してるのさ?」

「お前が変な口調を使うからだよ」


「いつものことじゃん?」


「まあな」

「あれ!?そこは否定してよ!」


「嫌だ。とにかく、あいつらは思った以上に不思議な奴らだな。

明日にでも色々問いただしてみるか」


「あっ、それ賛成!

僕、琥珀君とはどうも話しづらいから、亜修羅からバンバン聞いて!」


「いやだ」

「えーっ、なんでよ、ケチ!」

「ケチじゃない。俺も、ああ言うタイプの奴は苦手なんだ」


「ふーん、じゃあいいや。竜君に頼むもん!

でもさ、やっぱり亜修羅も気になるでしょ?」


「あいつらのことか?」

「そうそう。二人がいつも行ってる世界、気になるよね!」

「・・・・まあな」

「うん、それが聞けて満足した!」


凛は嬉しそうにうなずくと、「じゃあ、またねー!」と言って部屋から出て行った。


その背中に、「もう二度と来るなよ!」と大声で文句を言ってやると、

深くため息をついて目をつぶった。


凛から聞いた話は確かに興味深いものが多かったが、

今の俺にとって一番大事なものは、いち早く眠りにつくことだったのだ。


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