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想造世界  作者: 玲音
第五章 新しい出会い
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人面ロボットとは・・・・

「とりあえずこれ、どうぞ」

「これって・・・・こっ、コーヒー??」

「うん。フランスにいる僕のおじい様が送ってくれたコーヒーだ」

「ふっ、フランス・・・・」


フランスと聞いて思い浮かぶのが、フランスパンだけ。うん、こんなこと言ったら、絶対聖夜君に馬鹿にされちゃうよね・・・・。


「フランスと言われて思い浮かぶものとして、まず一番にフランスパンを思い浮かべただろ?」


「ええっ!?」


「表情と動きでわかる。フランスはいいところだぞ。年末年始になると、いつもおじい様のところに行くけど、最高だ」


「そっ、そうなんだ・・・・」


私は、目をウロウロさせながらうつむく。聖夜君のおじいちゃんが送って来てくれたコーヒーだから飲まなくちゃいけないと思うんだけど、なにせ、コーヒーと言うものを今まで飲んだことがないから、どうしようと思う。下手に口をつけちゃったら、残りを全部飲まなきゃもったいないし、かと言って、飲まないのは失礼だし・・・・。


そんな私の葛藤をよそに、聖夜君はさらにフランスにいるおじいちゃんのことを話し始める。どうやら、聖夜君はおじいちゃんこらしい。


「さっきお前が見た手紙も、おじい様からいただいたものだ。もうそろそろ向こうに行く時期だから、そのことについての手紙をくれたんだ」


「そっ、そうなんだ・・・・」

「・・・・どうした?ずっとコップを睨みつけて・・・・」

「えっ、えっと・・・・」

「苦手なら、別に無理して飲まなくていいぞ。他のやつが飲むから」

「うっ、うん・・・・」


そううなずくものの、その言葉に甘えていいものかと迷ってしまう。においは物凄くいいにおいだ。でも、味が・・・・。


「そうだ。新しい装置を開発したんだ!研究所にいくぞ!」

「えっ!?やっ、休むんじゃなかったっけ・・・・?」


「大したことはやらない。おじい様に新たに開発した装置の詳細と写真を送るだけだ。その手伝いをして欲しい」


「うっ、うん!」


もしかしたら、おじいちゃんが聖夜君の数少ない理解者なのかなと思って、なんだかおじいちゃんが羨ましく思った。私も、聖夜君にこれだけ好かれたいものだ・・・・。


「ほら、何やってる、行くぞ!」

「あっ、うん、ごめんね」


聖夜君はそのまま部屋を出て行ってしまって、私はそれを追いかけようとするけど、一口も口をつけていないコーヒーがとても気になった。聖夜君はああ言ってくれたけど、やっぱり悪いような気がして、意を決して一口だけ飲んでみる。すると、そのコーヒーは思ったよりも苦くなくて、多少感じた苦味も、直ぐに消えてしまった。

想像していたコーヒーの味と全然違って、これなら全部飲めそうだと思って、全部飲み干すと、急いで聖夜君の後を追った。


「何やってたんだ?随分遅かったじゃないか」

「えっ、えっと・・・・ちょっと道に迷っちゃって・・・・」

「そうなのか。まぁいい。反対側から回るぞ」

「反対側?」


「最初に研究所に入って行った方向は物凄く寒い場所だ。でも、反対側は寒くないからな。向こうは、薬品系統の実験室、通常温度の方は、機械関連だな」


「そうなんだ・・・・。えーじゃんは、その機械関連の方なの?」

「うん。まぁ、あいつは高性能だから、人造人間に近いようなもの・・・・人造犬だな」


なんだか、人面犬みたいなイントネーションだなぁ・・・・と言うどうでもいいことを考えてしまって、慌てて首を振る。体は普通の犬なのに、顔は機械で作られた人の顔と言う恐ろしいものを想像してしまったのだ。


「変なことでも考えたか?」


「えっ、えっとさ、体が普通の犬なのに、顔は機械で作られた人の顔って言う恐ろしい人面犬のことを・・・・」


私が言った途端、聖夜君の顔から血の気が引いて、そのまま聖夜君がしゃべらなくなる。その様子を見て、不安になったのは事実だ。怖がっているのか怯えてるのか怒ってるのかわからないけど、なんだか不安になった。そのまましばらくの間聖夜君が話し出さないため、私は怒らせちゃったかなと思って聖夜君の方を向いた時、急に頭を小突かれた。それにはびっくりして思わず転びそうになるほど。


「誰が怯えてるだって?僕は怯えてなんかいない。怒ってるんだ!」

「ごっ、ごめんね・・・・」

「想像したら、なんだか嫌な気持ちになって寒気がしたから、その罰だ」

「・・・・そっか」


私はそれだけつぶやくと、ふとよく考えてみる。ちょっと、ちょっとだけど、聖夜君と仲良くなれてる気がした。前までの私達だったら、絶対こんなに仲良く出来ないもん。やっぱり、私の行動が聖夜君を遠ざけちゃってたんだね・・・・。


それがわかると、お姉ちゃんに教えてあげたくなった。お姉ちゃんだって、きっと素直になれれば、もっと仲良くなれるはずなんだと思うけど・・・・。


「ほら、これが新しく開発した装置、χだ」

「エックス?」

「キーと読む」

「面白いね・・・・」

「うん。まぁ、とりあえず、写真を撮ってくれ。僕は、パソコンでこの装置の説明を書いておく」


そう言って渡されたのは、これまた高そうなカメラで、壊しでもしちゃったら大変だなと思って、慎重に扱うことにした。


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