似たもの同士の二組です
「あっ、いた!」
「・・・・全く、どうして急にこんなこと・・・・」
「さっきも言ったように、花恋さんの決意をこの目で見てみたいの!」
「決意って・・・・あいつ、凄いことしたな。話を聞いてる限りじゃ、勝手に女に話しを取り付けて会いに行くみたいだぞ。水斗の気持ちを考えたら、俺も心が萎えそうだ」
俺がそう言うと、栞奈が立ち止まって、ゆっくりと振り返る。その顔は無表情で、怒ってるようにも見えるが、その目は何だか複雑な色をしていた。
「なんだよ?」
「・・・・仕方ないことなんだよ?」
「は?」
「・・・・亜修羅はさ、まだそんなに女の子が好きって訳じゃないから安心出来るけど、もし亜修羅が有澤君みたいだったら、私は気が気じゃないと思うな・・・・」
「確かにあいつは馬鹿だ。だから、何をやらかすかいつも冷や冷やしてなくちゃいけないとは思うが、気が気じゃないってほど不安になることもないと思うぞ。あいつ、案外しっかりしてるみたいだからな」
「そう言う意味じゃないんだけどさ・・・・」
「ん?」
「はぁ・・・・」
栞奈はなぜかため息をつくと、そのまま前を向いて、水斗達の後を追って行く。篠崎はとても堂々と歩いているが、水斗はどうにか花恋の気を引こうと必死に色々話しているのが聞こえて来る。
「なあなあ、もう直ぐイルミネーションとやらがやるらしいからさ、中央広場に行こうぜ!」
「ダメ!そのイルミネーションって、5時からのやつでしょ?なら、焦る必要ないじゃない」
「いやいや、早く並ばないと、場所がなくなっちゃう・・・・」
「そんな馬鹿なこと言ってないで、口実でも考えておけば!」
「そっ、そんなこと言うなよ!な?花恋は俺の味方だろ?なら、どうしてこんな俺に危機を感じさせるようなこと・・・・」
「私なんかね、あんたがいつも女の子達といるのを見ていつも危機感を感じてるのよ!」
そんな篠崎の言葉に水斗は黙り込み、首をかしげた。これを見るだけで、大体水斗の思考が読める。
「命の危機なんてないぜ?」
「そう言うことじゃないの!」
「それに、変なところにも行ってないぜ?」
「当たり前でしょ!そんな変なところに行ってたら、私が監禁するわ!」
「げっ、きびしっ・・・・」
「当たり前よ!」
「とっ、とにかく、俺、花恋に危機感を持たせるようなこと全然してねーじゃん!」
「してるの!」
「じゃあ、それが何かって教えてくれよ」
「だから、さっきから言ってるでしょ!女の子といつもいることが不安なのよ!」
「・・・・」
水斗はそこで黙り込み、再び首をかしげる。そんな二人の様子を見ながら、栞奈がため息をついた。
「全然かみ合わない会話・・・・私達みたいだわ」
「なんだって?」
「えっ?」
「今、かみ合わない会話って言っただろ?」
「うっ、うん・・・・まっ、まぁ、気にしないで!」
「?」
何だか栞奈の様子も可笑しいなと思いながらも、水斗達の会話がとても面白い為、そのまま二人の観察を続ける。
「・・・・まぁ、うーん、そんなに不安なのか?」
「そうね。帰りとか遅いと、ご飯とかも食べられないくらいにね!」
「そう言えば、最近痩せちゃったもんな。大丈夫かよ?」
そう言って水斗が一歩篠崎に近づくと、篠崎は赤くなって、慌てて半歩後ろに退く。
「なんで下がるんだよ、俺のこと嫌いなのかよー」
「違う!・・・・」
急に篠崎の声が小さくなって、会話が聞こえなくなる。それからしばらくの間会話が聞こえないまま、篠崎がバッと走って行ってしまった。
しかし、水斗はそれを追いかけることはせず、呆然と立ち尽くしていた。普通なら花恋を追いかけるはずなのに可笑しいと思って、水斗の方に近づいて行った時、急に力が抜けたのか、水斗が地面に倒れた。
「なっ、何かあったのかな?」
「とにかく、お前は篠崎の後を追え」
「うん。亜修羅はどうするの?」
「・・・・とりあえず俺は、こいつを家に運ぶから、お前は篠崎の方をなんとかしてくれ!」
「わかった!」
栞奈はそう言うと、風のような速さで走って行ってしまった。俺はそれを確認すると、とりあえず、近くにある児童公園の中に水斗を連れて入った。