ある意味恐ろしい能力です
「・・・・ん?」
ゆっくりと目を開けた。すると、木の枝が見えた。それで、自分が外にいるのだということを把握する。しかし、訳がわからない。
だるい体を無理やり動かして起き上がると、俺は、ベンチに座った状態になった。・・・・となると、それまでは、ベンチで寝ていたことになるのか。
そうはわかったものの、どうしてこんなことになったのかがわからない。俺は確か、小さな子供二人と水斗とファミレスにいたはずだ。それなのに、今はなぜだか公園のベンチに座っている・・・・。
ファミレスからこの公園に来た部分の意識がないから、多分、気を失っていたとかだと思うのだが、どうしてそんなことが起こったのかが疑問だ。
もし、ファミレスで食ったものの食中毒だった場合は、病院にいるはずだ。しかし、それ以外の場合、俺はどうしてこんなところに運ばれたのだろうか・・・・。
そもそも、誰がこんなところに運んだんだ?あの子供なはずがない。となると、水斗か?
そう思って辺りを見渡すと、少し離れたところにあるベンチに、俺と同じようにボーっと座っている水斗をみつけ、声をかけてみる。
「おい、水斗」
「おっ、おう、修か。起きたんだな」
「事情を知っているなら説明してくれ」
「それがよ、俺も、ぜんっぜんわからないんだ。もう、全く。からっきしな」
「なんで知らないんだ」
「なっ、なんでって言われてもよ、知らないもんは知らないぜ。俺は、修よりも少し早く目が覚めたんだけど、全然状況を把握出来なくてな。とりあえずわかったのは、この公園は、俺達が最初にいた公園ってことと、あの子達がいなくなっちゃったってことだな」
「そうか」
「ま、とりあえず、よかったじゃんか。お母さんのところに帰ったんじゃないか?」
「そうだな。まぁ、あの子供は関係ないだろう。それより、栞奈達はどこに行ったんだ?」
「ああ、そうだ。あーっ、考えることが多過ぎて、頭痛いぜ」
そんな水斗の言葉にうなずきながらケータイを開いた時、前方から聞き覚えのある声が聞こえてきて、視線を前に向ける。
「おおっ、目が覚めたんだね!おはよーございます!」
「なんで、お前らがここにいるんだよ?」
「え?ちょっとかくかくしかじかの理由でね」
「言葉の使い方が間違ってるぞ」
「いいんだよ!それよりさ、無事、元の体に戻れてよかったね、二人とも!」
「元の体??」
「はい。お二人とも、ファミリーレストランからここまでの時間の記憶がないと思うんですけど、その間は、子供のころに戻ってたんです」
桜木の言葉が、余計に頭を混乱させる。子供のころに戻ってた・・・・?それって一体、どう言うことだ?
「馬鹿言うな。現代社会の科学でそんなことが出来るはずがない」
「そうだよな、俺もそう思う。でも、それが事実なんだから仕方ないぜ、族長」
「は?」
「ほらほら、信じられないなら見てみなさい、二人を寝かせた時の写真、撮ってあるから」
そう言いながら差し出されたケータイを見てみると、俺達がいたベンチに子供が寝ていた。最初は見知らぬ子供かと思った。なぜなら、髪の色が違っていたからだ。しかし、今の人間の姿を思い出して納得する。
「うおっ、これ、俺じゃん!アルバムに載ってる俺とそっくり!」
「でしょ?亜修羅はちょっと違うかもしれないけど、納得していただけたかな?」
「・・・・まぁ、仕方ないな」
「うん、納得した!そんでもって、そんなことが出来る人間も思い出した!」
「おおっ!それじゃあ、説明はもういらないね!それじゃあ僕らは帰ろうかな~」
「ちょっと待て!」
「なっ、なぁに??」
「お前ら、どうして俺達が子供になったってことを知ってるんだ?それまでの経緯を知ってるのか?もし知っているんだとしたら、なんで知ってるんだ?まさか、俺達の後をつけてたのか?」
「そっ、そんな、そんなことないよ!たまたま僕達が通りかかったところに栞奈ちゃん達がいてさ!」
「ファミレスに行った時点で既に栞奈達とは別れていた」
「えっ、えっと・・・・」
「俺の万里眼で見たんだ」
「・・・・なんだ、それ」
「ほら、言ったじゃんか。親しい人物のいる場所やその人物の会話などがその場にいなくても見えるって。それのこと万里眼って呼んでんだ」
「・・・・それ、凄くね?」
「まあな!凄いだろ?」
「ああ、凄い!何だったら仲間になって欲しいぐらいだぜ!そうしたら・・・・あっ、でも、相手と親しくないと見れないのか」
「うーん、まだそこまではわかんね。でも、やってみる価値はあるかと」
「じゃあ、やっぱり俺の仲間に・・・・」
「ダメだ。こいつは俺の護衛だ。お前の盗みに付き合わせることは出来ない」
「は??」
「とりあえず、その話は後にしろ。じゃあ、万里眼で今までの経緯を教えてくれ」
俺がそう言うと、神羅はなぜか嫌そうな顔をした後、凛達に相談を持ちかけている。そんなにまずいことなのかと思うと、尚更知りたくなる。あいつらが拒む理由と言ったらくだらないことばかりだ。だから、絶対に聞き出したいところだ。
「いっ、いや~。もっ、もう、万里眼の使用期限が切れちまっててよ、無理だわ」
「・・・・」
「そっ、そんな顔するなよ、俺だって、人権がなければ・・・・」
「人権?」
「ああ~っ、それ以上ダメ!じゃあ僕ら忙しいから、じゃあね!」
「ちょっと待て!」
俺は慌てて凛の腕をつかもうとしたが、凛の足の速さは尋常ではなく、俺が一歩を踏み出した時には、既に何メートルも先まで離れていた。
「・・・・速いな」
「そっ、そうだな」
相変わらずの逃げ足の速さにため息をつきながら、再びベンチに座った。