予想の斜め上の展開へ
「すいません!」
「はい、なんでしょう?」
「えっと・・・・38番の席に座ってる人ってまだいますか?」
「・・・・まだお帰りになられていないと思いますが・・・・」
「ありがとうございます!」
「あっ、ちょっと!」
私は、美香達がいることを確認すると、店員さんが止めるのも聞かずに、奥へと早歩きで歩き始めた。もし、心配とかしてたら申し訳ないなと思って、とにかく早く三人のところに行って、謝りたかったんだ。
早歩きで38番席のところに歩いて行くと、美香達の姿を見つけて、急いで近づこうとした時、地面に何かがこぼれていたみたいで、私は足を滑らせて転んでしまった。
その音は結構大きくて、周りにいたお客さんが全員こっちを振り向いたから、ものすごく恥ずかしい。顔がどんどん熱くなるのを感じて、私は慌ててうつむくと、お客さんに向かってお辞儀をして、不思議そうな顔で私の方を見ていた美香達のもとに歩いて行く。
「どうしたの、友美?何だかすっごく焦ってたみたいだけど」
「そうそう。転んじゃっててさ、思わず笑っちゃったけど・・・・」
「えっ!?笑ったの??」
「えっ、えっとまぁ・・・・とりあえず座ったら?」
「うっ、うん、ありがとう」
私は、怒った様子のない三人にホッとしながら、勧められるがまま椅子に座る。
「あっ、伊織君は?どうなったの?」
「えっ、えっと・・・・」
私はとっさに三人から目を逸らし、窓の外を見る。まさか、縮んじゃったとも言えないし、かと言って、嘘を言っても直ぐバレる可能性もある。と言うことは、ちょっと理由があって別れたと言った方がいいのかな?
「えっと、ちょっと用事が出来たからって言って、先に帰っちゃったの・・・・」
「用事?」
「うん」
「・・・・用事って何?」
「えっ・・・・え?」
「だから、用事って何なのかって聞いてるの」
まさか、用事の内容まで聞かれるとは思ってなくて、私は凄くうろたえる。もともと嘘をつくのは得意じゃないから尚更だ。これじゃあ、嘘だとバレるのは時間の問題かなと思った。三人は、妙なところで鋭いからね、これは絶対嘘だってバレたと思う。
案の定、私の動揺ぶりを見て、三人は顔を見合わせてため息をついた。
「・・・・友美、私たちに何か隠してることがあるでしょ?」
「えっ!?べっ、別にないよ!」
「ううん、絶対そんなことない。だって、思いっきり目が泳いでるし、それにソワソワしてるから、絶対何か嘘ついてる。伊織君のことでね。何かあったの?」
ここまで言われたら、もう嘘だって確実にバレてしまってるから、私は素直に白状することにした。
「・・・・まぁ、実はさ、色々あって伊織君が縮んじゃって・・・・」
「えっ!?ちょっ、待って!色々あって・・・・って、何があったら縮むことになるのよ!と言うか、どう言う意味?さっぱりわからないんだけど・・・・」
「えっと、そのまんまの意味かな?」
「やだ、全然わからない。・・・・でもまぁ・・・・いいわ。で、友美はどうしてたの?」
「・・・・みんながとりあえず帰るって言うから、その後について外に出て行って・・・・」
私がうつむきながらそこまで言うと、三人は私の言いたいことがわかったみたいで、軽くうなずきながら、同時に口を開いた。
「そのまま、私たちのことを忘れてた訳だ」
「・・・・うん。ごめんなさい」
謝った後、私はずーっと下を向いていた。だから、三人がどんな表情をしていたのかわからないけど、とにかく怖かった。思いっきり怒られるかもしれないし、もしくは、軽く文句を言うだけで許してくれるかもしれないし・・・・。色んな可能性があるからこそ怖かった。
「別に謝らなくてもいいよ~だって、私達も友美のこと忘れてたし!」
「え!?」
「ってのは嘘だけど、勝手に帰っちゃおうかって話してたの」
「なっ、なんで?」
「え?だって、邪魔みたいだったから、先に帰って、部屋で驚かそうと・・・・」
「そんなこと考えてたの?」
「うん、これは嘘じゃない」
そんなことをケラケラと笑いながら言ってのける三人に向かって苦笑いを浮かべながら、小さくため息をついた。怒るってことはないかもしれないと思ってたけど、まさか、先に帰ってしまおうかって考えてるなんて、予想すらしてなかった。
「なっ、なんか、酷いよ!」
「酷くないよ~私達のことを置いてった友美の方が酷いって」
「あっ・・・・うん」
「ほら、優奈、そんなこと言ったから友美が余計落ち込んじゃった」
「ごめんごめん、冗談だって!」
「そっ、そう?」
「・・・・半分冗談」
「やっぱり!」
「いやいや、冗談だって!」
「・・・・そっか」
「そう言うことで、これからどうするの?」
「とりあえず、友美の家に帰りますか」
「えっ!?まだいるの?」
「ダメ?」
「いや、ダメじゃないけど・・・・」
「じゃあ、友美の家へ行こう!」
「うっ、うん!」
何だか強引に押し切られたような気もするけど、まぁ、いいかなと思って、一端私の家に帰ることにした。