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想造世界  作者: 玲音
第五章 新しい出会い
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第一印象はものすごく大事です

「・・・・やっぱり、ちょっとキツく言い過ぎちゃったかな?」

「石村さんのこと?」

「うん・・・・」


私がうなずくと、篠崎さんは間を置かずにうなずいて来たので、私は少しだけ落ち込む。例え、言ってきたことが本当のことでも、多少は否定気味にしてあげた方がいいと思うよ・・・・。


そう思う自分に首を振って、ため息をついた。最初のうちはあまり気にしてなかったんだけど、段々罪悪感が芽生えて来て、今ではその罪悪感で押しつぶされそうなくらい。


「・・・・悪いと思ったら謝ったらいいんじゃないの?」

「でっ、でも・・・・怖がってるみたいだから近付いて来ないかも・・・・」

「近寄ったら?」


「ええっ!?私が近付くの?あんなことを言った後に??」

「ええ。近付いて来ないなら近付くしかないわよ」

「・・・・」


篠崎さんの言葉は最もだと思うけど、逆にあんな風に言った後、謝る為に近付いて行くなんて、何だかかっこ悪いじゃない・・・・。


「・・・・って言っても栞奈さんのことだから、多分石村さんのところにはいけないと思うの。だから、待つしかないわ」


「待つの?」


「ええ。石村さんが勇気を出して近づいて来るのをね。その時があったら謝ればいいじゃない。さっきはごめんねって」


「わっ、わかったわ」


そんなことが起こるかどうかはわからないけど、一応うなずいておく。自分からあの子のところに行けない今、来るのを待ってることしか私には出来ないんだから・・・・。


「・・・・まぁ、私も栞奈さんのことは言えないんだけどね」

「え?」


「・・・・振り向いてもらおうとがんばったけど、自ら進むことはしなかったし。そう言う意味では私も似たようなものかなって思って」


「・・・・そっか」


私はそれだけ呟くと、ため息をついた。私の場合、結構頑張ってアピールしてるつもりなんだけど、それを嫌がられてる気がするんだ。しかも、私の気持ちは伝わらずに嫌がられてる気がして・・・・。


あんまりアピールし過ぎるのもよくないことだよって篠崎さんに教えてあげたかったけど、何だか嫌だなと思って、何も言わないことにした。


「・・・・大丈夫。何も出来ないよりは、アピール出来るだけいいことよ」

「ありがとう」


私は、なぜか漏れてしまった私の心を隠しながらそう言った。まさか、私の考えてることがわかっちゃうなんて・・・・ね。


自然とため息が出て顔を伏せた時、遠くの方からこちらに向かって歩いてくるような足音が聞こえて、私は正面を向く。そして、その人物を見た時思わず目を逸らしたくなった。


「あっ、石村さんじゃない。ほんとに来たわね・・・・」

「うっ、うん・・・・」

「謝るのよね?」

「うっ、うん・・・・頑張る」


さっきは強がって見せたけど、今度はオドオドしていて、あの子から見ても、絶対おかしいほどの変貌振りだと思う。私も驚いてるけど・・・・でも、謝るって決めたんだし、せっかく来てくれたんだから、この機会を逃すのは・・・・。そう思って何とか口を開いてみる。


「何か用?」


そう言った直後、私は物凄く後悔した。さっきまであんなに申し訳ない気持ちだったのに、言葉ではそんな素振りがかけらもない。と言うか、物凄くキツイ。自分でも言い過ぎだってぐらいキツイ口調で、私は内心、自分の体が言うことを聞かないことについて怒っていた。


チラッと彼女の方向を向いてみると、案の定、私のキツイ言葉に顔をひきつらせていた。それを見て、やっぱり後悔する。


「えっ、えっと、あの・・・・」

「用がない訳?」

「・・・・」

「栞奈さん、口調!」


隣にいる篠崎さんに注意されて、私はようやく自分を取り戻し、何とか謝ろうと試みる。


「・・・・しょうがないわね、私が・・・・」


私は、「しょうがないわね、私が謝るから、許してもらえないからしら?」と言う結構上から目線ではあるけれど、何とか謝ろうとしてた・・・・んだけど、私が立ち上がりながら言ったのがいけなかったのかわからないけど、私の言葉を最後まで聞かずに石村さんは走って逃げて行ってしまった。


「・・・・」

「えっ、えっと・・・・元気出して」


「だっ、大丈夫。普通なら怖がっちゃうだろうし、それを考えなかった私が悪かったんだし・・・・」


「でも、謝ろうとしただけ偉いと思うし、その言葉を言おうと出来たことだけでも凄いと思うよ。私なんか、悪いなって思っても謝ることが出来なくて、謝罪の言葉も言えないし」


「うっ、うん・・・・」

「だから、大丈夫」


篠崎さんに諭すように言われて、私は少しだけうなずくと、うなだれた。何事も最初が肝心って言うけど、その言葉を改めて重く感じた。


しばらくの間そのままうなだれていると、凛達がこちらに歩いて来るのが聞こえて顔をあげる。


「あれ?何かあったの?元気ないみたいだけど・・・・」

「ううん。そんなことないわ。ところで、これからどうするの?」


「あっ、えっとね、とりあえず僕らは二人の姿を元に戻す方法を考えよー!ってことになって、とりあえず石村さんとは別れて来たよ」


「そっ、そう・・・・」

「そうそう!んじゃそう言うことで、とりあえず行きましょう!」


「えっ、えっと・・・・どこに?」


「・・・・あてはないけど、とりあえず歩けばいいんじゃないかな?」

「そっ、そう・・・・?」


行き当たりばったりな凛の言葉にちょっと動揺したけど、それもまたいいのかなと思って、凛たちの後について行くことにした。


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