結構酷いです
「・・・・何だか凄く楽しそうだし、邪魔しちゃいけないような・・・・。でも、伊織君、ずっとこっち見てるし・・・・かと言って、話を中断させちゃったら、ただでさえ嫌われてるのに、もっと嫌われちゃうよ・・・・」
そんな風に独り言を呟きながらも、一歩一歩、確実に二人の話しているベンチへと近付いて行く。
しかし、その一歩一歩二人に近付く度に、私は何だか息苦しさを覚える。最初のインパクトが強かったからか、楽しそうに話している二人がとても怖く思える。私よりも幾つも年下に見えるのに、どうしてあんな迫力があったんだろう・・・・。もし、小さい体じゃなくて、いつも通りの見た目なら、一体どうなっちゃうんだろう、私・・・・。
そう思って私が足を止めた時、その音で私のことに気づいたのか、今まで楽しそうに話していた二人が無表情で振り返る。その顔はとても可愛い・・・・はずなのに、私はとても怖く感じた。
「何か用?」
「えっ、えっと、あの・・・・」
「用がない訳?」
「・・・・」
「・・・・しょうがないわね、私が・・・・」
そう栞奈さんが言いながら近付いて来ようとする為、私は自然と後ろを向いて走り出していた。まさか、自分がこんな行動を起こすとは思ってなかったけど、ある意味、一番酷いことをしたと思う。
しかし、時既に遅し。だって、もう走り出しちゃってるもん。今更謝っても、きっと、傷ついた気持ちは変わらないだろうな・・・・。
そう思って自分を責めながら伊織君のところまで走って来た。向こうの方では、相変わらず有澤君が丘本君のことをからかってる。可哀相だなと思う反面、確かに丘本君はからかうと面白そうだなって言う気持ちがあって、私は何も言えないでその様子を眺める。
「お姉ちゃん、栞奈ちゃんとは話して来れた?」
「えっ!?あっ、えっと・・・・」
「・・・・話しかけられなかったの?」
「・・・・うん」
私がそううなずくと、伊織君は一回顔を伏せたけれど、直ぐに笑顔になって私を庇ってくれる。
「でっ、でも、話しかけようとしたんだもんね!それだけで凄いことですよ!」
「あっ、ありがとう・・・・」
まさか、6歳ぐらいの子にまで気を遣わせちゃうなんて思わなくて申し訳ない気持ちになったけれど、それと同時に凄くありがたい気持ちになった。
「あっ、ちょっと石村さん、助けてよ!この子、僕のこと散々馬鹿にして来てさ、神羅は助けてくれないし、桜っちは神羅に止められてて動けないからさ!」
「えっ、えっと・・・・」
「あっ、これからどうするんだ?」
丘本君が話しかけたことで私の存在に気づいた有澤君が、丘本君から離れて私の方に走り寄って来る。
「えっ、どうするって・・・・」
そう言われても困っちゃう。そもそも、私達は伊織君達の後を追うようにファミレスに来たんだけど・・・・何だかゴタゴタ色んなことが起こっちゃって、結局何がしたかったのかわからない結果になっちゃった。
「あっ、そうだよね。僕ら、すっかり目的を見失っちゃったよ」
「これからどうするんだ?そもそも、お前、友達といなかったっけ?」
そう神羅さんに言われて、私は慌てて思い出す。そうだった!元々私は美香達と勉強をしてて、丘本君達の後について行って・・・・。
「あっ、どうしよう!三人のこと置いて来ちゃった!」
「あらあら。石村さん、意外と非常なのね」
「たっ、確かにそうかも・・・・」
「ちょっ、ちょっと、凛君。そんなこと言っちゃダメなんじゃ・・・・」
「ううん。丘本君の言ってる言葉も最もだからさ・・・・」
「ああっ、そんなに落ち込ませるつもりはなかったんだよ!ごめんなさい」
「ううん。大丈夫。でも、これからどうしようね?伊織君達は原因不明で縮んじゃったし・・・・」
私がそう言うと、今まで黙っていた神羅さんがゆっくりと口を開いた。
「とりあえず、俺達は、栞奈と族長達を元に戻す為に行動をともにするから、お前は友達のところに戻って、一端家に帰ったらどうだ?もし、族長達に何かあり次第報告するからよ。あっ、そうだ。お前、俺のケータイ番号知ってたっけか?」
「えっ、えっと・・・・多分、知らないと思いますけど・・・・」
「じゃあ赤外線するから、ケータイ準備」
「えっ、あっ、はい!」
まさか、神羅さんとアドレス交換をすることになるとは思ってなくて、思い切り不意を突かれたけれど、悪い人じゃないってことはわかってるから、その言葉に素直に応じる。
「あっ、既に赤外線交換した後だってよ。そういや、あの時、凛が勝手にやってたもんな。まぁいいや。とりあえず、もし何かあったら教えてくれ。まぁ、俺が話しづらかったらこいつらに電話でもいいからよ。じゃあな」
神羅さんはそう言うと、ポカンとしている有澤君を持ち上げた。多分きっと、有澤君のことだから暴れ回ると思ったからそうしたに違いない。案の定、有澤君は神羅さんから逃れようと暴れたけれど、肩車をしてもらって、とりあえずは落ち着いたようだ。
「そっ、それじゃあそう言うことだから、僕達行くね」
「うっ、うん」
私は、何とか笑みを浮かべながら丘本君達を見送ると、慌ててファミレスに戻った。