1パーセントでも確率があるのなら・・・・
「・・・・どうしたの?」
「え?」
「えっ?えっと・・・・」
「・・・・何が言いたいのかよくわからないんだけど・・・・」
私がそう聞くと、栞奈さんは複雑な顔をして首を振り、「なんでもない」と言った。その様子を見ておかしいなと思い、何を言いかけたのか問いかけようとした時、もしかしたら瑞人の件で気を遣ってくれてるのかなと思って、それとなしに、気にしていないと言うことを伝えようとする。
「別に大丈夫よ」
「・・・・え?」
まさか、栞奈さんに聞き返されることになるとは全く予想もしてなくて、私は黙り込む。この反応は、私が言いたかったことが伝わらなかったからなのか、それとも、他のことについてのことだったかのどちらかだ。
「えっ、えっと・・・・」
「・・・・あっ、もしかして、そう言うこと?」
「?」
「そっか。今わかったわ。篠崎さんの言いたかったこと。ごめんね、気づかなくて」
「気にしなくていいわよ。心を読める訳じゃないんだし、私達人間は、相手の気持ちを考えるしか相手の気持ちをわかることが出来ないんだから」
「そっか。そう言ってもらえると助かるわ」
そんな栞奈さんの言葉に私がうなずくと、栞奈さんもうなずいたけど、そのまま会話がなくなる。私と栞奈さんは気があって、あまり会話がなくなることはなかったんだけど、多分、今日初めての沈黙かもしれない。
どの程度沈黙の時間が続いたのかわからないけど、そろそろ気まずくなってきたなと感じた時、ありがたいことに、栞奈さんが口を開いた。
「・・・・あのさ、これはあくまで私の見解だと思ってくれる?」
「突然どうしたの?」
「えっ、えっと・・・・うん。ほら、さっきのことで思うところがあって・・・・」
「・・・・そうなの?」
「うん」
思うところなんて特になかったと私は思う。・・・・何のことかは大体察してると思うけど、私が思うに、栞奈さんがさしたさっきのことと言うのは、ファミリーレストランでのやり取りだと思う。
「・・・・特に思うところなんてなかったと思うけど?」
「そっ、そうかもしれないんだけど、もしかしたら・・・・ねぇ?」
「なっ、何?」
「・・・・単刀直入に言った方がいい?」
「うん」
ここまで来たら、もう遠回しに言う必要もないと思う。栞奈さんが何を言いたいのか私は大体予想出来てるしね。
「有澤君の好きな人のことなんだけど・・・・」
「・・・・それが何?」
「その特徴、篠崎さんに似てない?」
「・・・・」
なんでまたそんなことを栞奈さんが言うのかわからないけど、動揺したのは自分でもとてもよくわかる。
「もし違った時に、私の言葉で傷つけちゃうのが嫌だったから、言おうか言わないかと散々迷ったんだけど、篠崎さんにOKもらったから・・・・」
「似てるの?」
「うん、私はそう思ったの。料理が上手で可愛くてモテるけど、篠崎さん、ずーっと有澤君だけを見て来たでしょ?」
「うっ、うん・・・・」
「ほら、やっぱり篠崎さんにそっくりじゃない?」
そう問われるけれど、素直にうなずくことが出来ない。そうであってくれたら嬉しいけど・・・・。でも、違うような気がする。だって、もし私が気になってるなら・・・・。
そう思って、私は機能の夜のことを思い出す。昨日エンジェルに言われたおまじないを実行したら、本当に直ぐにあいつから電話がかかって来た。しかも、それは、二人で出かけようって内容で・・・・しかも、今回は私が好きなところを選んでいいと言ってた・・・・。
「でっ、でも・・・・」
「えっとさ、これが有澤君の気持ちかどうかはわからないからあれだけど、その可能性もなくはないよってこと。ほら、有澤君の待ち受け画面、小さい頃の篠崎さんだったし・・・・」
「・・・・そうなのかな?」
「100パーセントそうだとは言えないけど、有澤君がさしていた女の子は篠崎さんだって確立は結構高いんじゃないかな?」
「・・・・そっか」
そう思ったら何だか嬉しくなってきて、今までやって来た自分の努力は決して無駄じゃなかったんだなと感じた。
・・・・絶対そうだと言い切れないのに、どうしてこんなに喜んでるのか不思議だと思う。実際、どうして私もここまで喜んでるのかはわからない。ただ、その可能性が1パーセントでもあるのなら、ゼロにはならない。そう思ったら嬉しく思えるんだ。
「えっ、えっと・・・・あの・・・・」
「大丈夫。私じゃなかった時の覚悟もちゃんと出来てるから。落ち込まないように構えておくから」
「うっ、うん・・・・」
私は、戸惑っている栞奈さんに向かってうなずくと、まだそうと決まった訳でもないのに気分がよくなったのだった。
・・・・自分でも、とても馬鹿で単純だと思う。自分はもう少し物事を冷静に考えて判断出来る人間だと思ってたんだけど、そうじゃないみたいだ。でも、あいつみたいな奴をずっと好きでいるには、これぐらい単純で馬鹿じゃなきゃダメなのかもしれないと思った。