あまりよろしくない初対面です
「・・・えーっと、まず確認したいんだけど、君は・・・・誰?」
「私は栞奈よ。あの」
「・・・・あのって、あの栞奈ちゃん?」
「そう。亜修羅の幼馴染の。訳あって体だけを幼少期の頃に戻してるの。ちなみに、この子も同じ」
「どうも。篠崎花恋です」
そう言ってお辞儀をする篠崎さんは、完全に子供の演技を忘れている。・・・・と言うか、亜修羅達が子供になってしまってからは、完全に演技を忘れてるよね、私達。
「ほっ、ほんとに栞奈ちゃんなんだ!?あれ?じゃあ、この子達は・・・・」
「うっ、うん!二人も、訳あって子供になっちゃったの。この二人は、見た目だけじゃなく、中身も子供になっちゃってるの」
二人が子供になってしまった成行きは、絶対に恥ずかしくて話せないから、とりあえず言葉を濁しておいた。しかし、そのことに誰も気づいていないみたいで、とりあえずホッとする。
「なあなあ、お前幾つ?」
「え!?えっと、僕は、15だけど・・・・」
「えええっ!?嘘だろ?俺と同じぐらいじゃんか!」
「なっ、失敬な!僕はもっと大きいよ!」
「ちょっ、ちょっと、瑞人君、お兄さん嫌がってるからやめた方が・・・・」
「えーっ、そんなこと言ったって、この人ほんとにちっちゃいじゃん」
「ちょっ・・・・この失礼な子、誰!?可愛くない!!」
「その子は、私の幼馴染よ。馬鹿だから、勘弁してあげて」
篠崎さんはそう言うと、嫌がる有澤君の腕を引っ張って、凛の傍から離す。亜修羅はと言うと、そんな有澤君と凛の間に立って、キョロキョロと二人の様子を伺っている。
「もしかして、君は・・・・亜修羅?」
「はい・・・・。すみませんでした」
「何!?」
「えっ!?えっと・・・・」
「ちょっ、桜っち、この子亜修羅だって!信じられる??」
「えっ、えーっと、本人が肯定しているから本当のことだとは思いますが、信じがたいです・・・・」
「そうだよね、そうだよね・・・・。でも、もしこれが亜修羅なら・・・・可愛いと思う」
「えっ!?」
「だって!いっつもいじめられてばっかりで、性格だってきつめなのに、今の亜修羅は僕のことを馬鹿にしないし、それに、さっき僕のことお兄ちゃんって言ったんだ!」
「はっ、はぁ・・・・」
「えっ、えっと・・・・」
凛の力説ぶりに圧倒されている亜修羅と明日夏。その様子を面白そうに笑っている神羅。そして・・・・その様子を不思議そうな顔で眺めている・・・・不思議な女の子。
私はその子のことが気になって仕方がなかった。さっき考えたことが頭の中を支配していて、答えを聞かなくちゃ気が済まない。
「・・・・あの」
「あっ、えっと、初めまして。私は伊織君のクラスメートの石村友美と言います」
そう言ってお辞儀をする女の子に、私は確信を抱いた。・・・・やっぱりこの子が、あのメールの相手だったんだ・・・・。
そう思った途端、なんとも言えない感情に苛まれて、私は無言で背を向ける。
「あっ、あの・・・・」
「私は栞奈。さっきも言ってわかるだろうけど」
「うっ、うん。えっと、よろしくね?」
「よろしくない!」
「えっ!?」
「・・・・とにかく、よろしくは嫌。じゃあ」
私はそれだけ言うと、何だか気まずくなって、篠崎さんの手をとると、彼女の元を離れる。
「・・・・あんな言い方していいの?私が言うのも何だけど」
「いいの。ライバルに優しくする義理なんてないんだから」
「・・・・でも、まだライバルって決まった訳じゃ・・・・」
そう篠崎さんに言われて、私は立ち止まる。確かに、篠崎さんの言うとおりだ。あのメールだけで、ライバルと決め付けるのは悪い。でも、何だか感じたんだ。あの子は、きっとライバルになるだろうって・・・・。
「・・・・でも、いいの」
「・・・・そっか」
「うん」
「なあなあ、いい加減離してくれよ、花恋ねぇ」
「・・・・何?」
「えっ、えっと・・・・かっ、花恋さん」
「わかったわ。お兄さん達に遊んでもらいなさい」
「ありがとう!」
有澤君は凄く嬉しそうに言うと、早速凛の元に走って行った。あの様子からすると、絶対また凛をからかうんだろうなと言うものは目に見えていたけれど、私は止めなかった。
「どうしよう?」
「とりあえず、二人で話そう?」
「・・・・ライバルの子と話すのは嫌なの?」
「・・・・絶対じゃないけど、あんまりね」
「そっか」
篠崎さんはそれだけ言うと、深くは聞かずに、そのまま私について来てくれた。初対面からあんな反応をして悪いなって気持ちはあった。でも、何だかわからないけど、強気な態度をとらずにはいられなかったんだ。