何か、感じるものがあったみたいです
「それにしてもあのパフェ、量だけじゃないね。質もちゃんとしてて、美味しかった~!」
「そっか。満足した?」
「うん、満足満足!しばらくは動けるようになったね!」
「そっか、それはよかった!」
「うん。・・・・それにしても、亜修羅達、どこに行ったんだろうね。すっかり見失っちゃったよ」
丘本君のその言葉で、私は伊織君達のことを思い出す。相変わらず、キョロキョロ辺りを見渡しても伊織君達の姿が見えなくて、ため息をつく。
「ねぇ神羅、修はどこにいるのか見える?」
「うーん、多分このファミレスの中にいると思うんだけど、どうなんだろうな」
そんな不安を煽るような言葉を言われて、私は尚更不安になる。もしかしたら、もうここを出ちゃったかもしれないし・・・・。
「あっ、あの・・・・もうそろそろここを出ませんか?」
「え?なんで?」
「えっと・・・・なんだかわからないんですけど、直感がここを出ろって言っていて・・・・」
「直感かぁ・・・・よしっ、石村さんのその直感、信じてみようじゃないの!行こう、神羅!」
「あっ、ああ、別にいいけど・・・・」
「勘と言うものは、鍛えれば素晴らしいものになりますからね。軽い未来予知能力と一緒です」
「えっ、そうなの?」
「・・・・と、適当な先生に教わりました」
「あっ、はははは・・・・」
なんとも言えない返答に、私は苦笑いを浮かべることしか出来なかった。うーん、適当な先生って一体・・・・?
「あっ、あの、そんなに深く考えなくて大丈夫ですよ、そのままの意味ですから!」
「てっ、適当って言うのもそのまま?」
「はい。結構嘘をつく先生でしたからね。だから、嘘かもしれません」
「へっ、へぇ・・・・」
「でも、勘が働く人って羨ましいと僕は思うよ。僕の場合、勘はね、全然働かなくてさ。もう、ほんと大変。避けるのとか、予測できないからね」
「・・・・避ける?」
突然不思議な言葉を言い出した丘本君。何を避けるのかわからないけど、予測ってことは、不注意とかで踏んじゃうような何かとかじゃない気がする。
「うーん??」
「あっ、あっ、えっと、あれだよ!球避け!」
「・・・・球避け?」
「あの・・・・えっと、ほら!ボクシングの選手とかがさ、投げられるボールを避けるって訓練をやっててさ、いっつも体にボールが当たっちゃって・・・・」
「へっ、へぇ・・・・そうなんだ」
どうしてそんなことをやってるのかと言う疑問が浮かぶけど、丘本君や、桜木君たちが動揺してるように見えるから、あまり知られたくないことなのかなと思って、深く詮索しないことにする。
「まっ、まぁ、そう言うことなんで、とりあえず店を出よう!石村さんの勘を信じて!」
「そうだな」
「ですね」
みんなが私の勘を信じてくれることに、なんとも言えない嬉しさを感じながら、私はレジのある方向に歩いて行く。すると、何だか小さい子供達と店員さんがもめているのを見つけた。
「あの、だから、これでお願いします」
「えーっと、どうしてそんなに沢山のお金を持ってるのかな?お父さんやお母さんは?」
「だから、俺達は、もともとおっきかったんだぞ!高校生だったんだ!」
そんな男の子の言葉にレジにいた店員さんが苦笑いを返す。私も、そんな店員さんと同じような反応をしていたけれど、横に立っていた神羅さんの呟きで、真顔に戻る。
「いっ、今、なんて!?」
「だから、あそこにいるのが、族長達だよ」
「・・・・え?」
「あの小さい女の子二人が、族長の幼馴染栞奈と、その友達。こっちは、見た目だけ小さくなってるみたいだけど、残りの二人・・・・族長と、その友達は、完全に子供の頃に戻っちまってる」
「えーっと、伊織君は?」
「大人しい方だ。びっくりだよな、あの族長の幼少期は、あんなに弱くて頼りなかったなんて」
そう神羅さんは笑って言うけど、私はあまりにも衝撃的過ぎて、言葉が出て来ない。それに、さっき、栞奈さんって・・・・?
そう思って、女の子二人の方に視線を向ける。すると、一人の女の子と目があった。その子はずっと私の方を見ていたみたいで、子供なのに、その視線は鋭い。
「なにかを感じたみたいだな。今こっちを見てるのが栞奈だぜ?」
「そっ、そうなんですか・・・・」
私はなんとも言えない緊張感に体を支配されて、チラッとだけ栞奈さんのことを見てみる。すると、やっぱり目が合った。私と栞奈さんは一度も会ったことがないはずなのに、何となくわかっちゃうみたいだ。
私は最初、どうしようか迷ったけれど、伊織君達が困っているみたいなので、勇気を出して話しかけてみることにした。