全員集りました。
「返信、まだ来ないね」
「・・・・うん」
「そっ、そんなに落ちこまないで、ね?」
「だって!あの言葉で気分を悪くしちゃったのかなって・・・・そう思ったら落ち込まずにはいられないよ・・・・」
「・・・・」
私の言葉に、三人が顔を見合わせてため息をつくのがわかった。下を向いているから顔は見えないけど、雰囲気だけで、そうしていると言うことがわかる。
「私達のせいだよね・・・・」
「・・・・あれから何分経ったのかな?」
「え?えっと・・・・30分ぐらいかな?忙しいのかもしれないよ、伊織君」
「そうかな?」
「そうだよ!友美だって、メールに気づかなかったり忙しかったりすると、返信を遅らせることだってあるじゃない?」
「・・・・うん」
里沙に励まされ、私はなんとか顔をあげるけど、心の中は、相変わらず不安の塊だった。確かに、三人の言葉も最もだ。でも、あんな失礼なメールを送った後に返信が遅いと、不安になっちゃうじゃないか。
そう思いながらため息をついていた時、玄関のチャイムがなって、重い体を動かす。
本当は、動きたくなくて、ゴロゴロしていたかった。でも、そんな訳には行かないから、仕方なく階段を下りていく。
「どちらさまですか?」
インターホン越しに聞いてみる。すると、高い声で「僕だよ!」って言うのが聞こえて、直ぐに丘本君だってわかった。
私はドアの前まで走って行くと、急いでドアを開けた。すると、やっぱり丘本君達が立っていて、私はホッとする。
「どうしたの?」
「お聞きしたいことがあって!」
「何?」
「さっき亜修羅と会ったんですけど、その時に見せてもらったメールの名前です。石村さん、名前が間違ってましたけど、いいんですか?おかげで、すっかり別人だと思い込んでるけど?」
「あっ、うん。いいの。そっちの方が、私も気分が楽だから・・・・」
「そう言う策だったんですか!なんだ、僕はてっきり気づいてないものだと思って・・・・」
「もっ、もしかして、それを伝えるためだけに家を訪ねてきてくれたの?」
「まっ、まぁ・・・・。他にやることもないので・・・・」
「そっ、そうだったんだ・・・・。あの、ありがとね、わざわざ伝えに来てくれて」
「いっ、いえ、いいんです・・・・そっ、それじゃあ僕達は帰りま・・・・」
丘本君がそう言って歩き出そうとした時、私にでも聞こえるほど大きなグーッと言う音が聞こえて、その場の空気が一瞬凍りつく。
「ぼっ、僕、お腹空いちゃって・・・・」
「あの音、丘本君だったの?」
「あっ、ははは・・・・はい。そうです」
「そう言えば、もう、お昼の時間だもんね・・・・もしよかったら、何か食べる?メールアドレスのお礼があるから・・・・」
「いいんですか!?」
「うん、あっ、でも、何かあったかな・・・・」
私は自分で言ってて、冷蔵庫の中身が不安になる。丘本君は、確か凄く食べる子だったと思ったから、足りるかどうか不安だったんだ。
「やめとけ、凛。可哀相だろ」
「うん・・・・わかってる!わかってるけどさ・・・・ちょっ、ちょっとだけなら・・・・」
「その気持ちはわかる。でも、もう少し待ってろ。実はさ、今族長達はファミレスにいるんだよな。だから、そこで食おうぜ。丁度、そこでは時間以内に食べるとタダになるって言うデカイ食い物があるしよ」
「おおっ!よしっ、頑張る!僕、頑張るから!」
「えっ、えっと・・・・?」
「石村さんも行こうね!お友達さんも!」
「えっ、ちょっ、いっ、今から!?」
「修の様子が気になるんでしょ?じゃ、行きましょうよ!」
「えっ、えええ~~」
私は、あまりにも急な話に凄く戸惑ったけれど、丘本君がぐいぐいと腕を引っ張って来る為、なんとかそれを断ると、二階に上って行く。
「誰だったの?」
「えっと、丘本君達・・・・。実は、これからファミレスに行こうって話になってるんだけど・・・・」
「別にいいけど・・・・どうして?」
「丘本君達の話によると、そこに伊織君がいるらしくて・・・・」
私がそう言った途端、三人の目が輝きだし、勢いよく立ち上がったかと思ったら、私の腕を引っ張る。
・・・・この様子だけを聞いたら、この三人は、絶対伊織君のファンか、憧れてる人みたいだよね・・・・。
「友美、行くよ!全力で!」
「ぜっ、全力で行かなくても・・・・」
「ダメ!急ぐよ!」
そう言いながら腕を引っ張られる為、私は走るような形で階段を下りた。