本音とは難しいもので・・・・。
「バレてないみたいだね」
「・・・・うん」
「まさか、亜修羅も気づかないなんて思わなかったなぁ・・・・。波長でわかると思ったんだけど・・・・」
「え?」
「ううん、何でもないの」
私は首をかしげながら、横を歩いている瑞人の顔を見上げる。体が縮んだせいか、瑞人がとても大きく見えて、いつもよりも更に距離を感じる。
「ん?どうした??」
「うっ、ううん!」
なぜか、いつもと違ってツンツンした態度をとらないで済む。でも、逆に問題なのは、直ぐ顔が赤くなっちゃうところだ。それは、いつもと同じかもしれない・・・・。
ううん、それよりも、まず確かめなくちゃいけないことがある。それは、こいつが小さい子好きなのかってことだ。私よりも玲菜の方が話は合うみたいだし楽しそうだ。だから・・・・。
「あっ、あのさ・・・・」
「何々?」
「おっ、お兄ちゃんはさ、大きい子より、小さい子の方が好きなの?」
本当は、「お兄ちゃん」なんて言いたくなかった。でも、この状況で最も適切な呼び方と言ったら、これしか思い浮かばなかったんだもん。
「身長のこと?」
「ううん。年齢」
「なんでそんなこと聞くんだよ?」
瑞人に言われて、私は確かにそうだと思う。最初はまさかと思ったが、もしかしたらってことを考えると、どの可能性も否めないからだ。もしそうなら、私は・・・・。
「いやぁ、別に、そんなことはないぜ?うーん、でも、可愛かったらいいかなぁ・・・・」
そんな衝撃的発言に、私は歩けなくなった。まさか・・・・。そうだったなんて・・・・。
「やっぱり俺の言うとおりだったじゃないか。俺の勝手な勘違いじゃないだろ」
「いやさ、そう言う意味じゃなくてな・・・・」
瑞人はそう言うと、伊織君に何かを耳打ちした。私はその内容が気になるけど、二人が話している間に、栞奈さんに話しかける。
「・・・・だってさ」
「うーん、歳や身長とかはね、自由に変えられないからねぇ」
「はぁ・・・・。まさか、あいつが小さい子好きだったなんて・・・・。まぁ、玲菜の方が、話してて楽しそうだなって言うのは、見ててなんとなくわかってたけどさ・・・・」
「篠崎さん・・・・」
「大丈夫。うん、大丈夫・・・・」
「でも、よく同級生の女の子とかと遊んでるんでしょ?って言うことは、どっちもOKなんじゃない?」
「・・・・小さい子も同年代も大丈夫ってこと?」
「そうなんじゃない?自分のことを聞いてみたら?さりげなく」
「ええっ・・・・むっ、無理・・・・」
「じゃあ、私が聞いてあげる!」
栞奈さんはそう言うと、コソコソと何かを話している瑞人の服を引っ張って振り向かせると、本当に口を開いた。
「お兄ちゃん、幼馴染の女の子いるでしょ?」
「おおっ、よくわかったな」
「そのお姉ちゃんのこと、どう思う?」
「え?どう思うって言われても・・・・」
「可愛い?」
「可愛い・・・・んじゃないか?周りの奴等が言うには」
その返答に、私は思わず転びそうになる。もう!そうじゃないの!最初のうちは可愛いと言われたから嬉しかったけど、その後の言葉で全てが台無しになった気がした。
「お兄ちゃんはどう思うの?」
「んーー、可愛いんじゃないか?」
「ほっ、ほんと!?」
私はつい嬉しくてそう聞いてしまったけれど、自分の姿を思い出して、慌てて首を振ると、栞奈さんの後ろに隠れる。
「どっ、どうした?急に大きな声出して・・・・」
「きっ、気にしないで。そっか・・・・」
「ん?」
私は、大きく首を横に振ると、小さくため息をついた。こんな調子でこれからやっていけるかって不安だったんだ・・・・。