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想造世界  作者: 玲音
第五章 新しい出会い
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根気は大事です

「そもそも、どうして見ず知らずの奴が俺のメールアドレスを知ってるんだよ?俺のメールアドレスは、あいつらしか知らないはずだぞ?」


「あれ?栞奈ちゃんは?」

「・・・・電話番号だけで十分だ」


俺が下を向いて言うと、水斗は面白そうにフフンと笑った。それを見て、俺の機械音痴が水斗にバレてしまったんだと言うことが大いにわかった。


「・・・・あのさ」

「別にいい!俺は一人で出来る!」

「あれ?僕、手伝うなんて、一言も言ってないよ?」

「うるさい!とにかくお前、黙ってろ!」


「そんなこと言っていいのかい?文字の打ち方だけでも教えようと思ったのに・・・・。それも嫌って君が言うなら、僕は別に構わないけど?」


そう言う水斗の頭をどれほど引っ叩きたいと思ったことだろう。しかし、俺は、メールを打てない。文字すら打てないのだ。だから、このメールを送って来た奴に、文句を言うことも、どこで俺のメールアドレスを入手したのかも聞くことが出来ない。


俺に残された選択肢はただ一つだけ。水斗に「教えて」って言うこと。それだけしか、俺には残されていなかった。


その残った選択肢に絶望しきっていたが、しつこく水斗が急かして来る為、最終的には、こいつに頼むことにした。


「・・・・話がある」

「ん?何?」


「・・・・そう言ってるが、俺がいいたいことは嫌と言うほどわかっているんじゃないか?」


「さあね。もしそうだとしても、君の口から聞かないと、僕の思っていることが正しいのかどうかわからないしね。どうぞ?」


そうしれっと言い切る水斗のことを、俺は叩くのではなく、殴りたいと思った。


こいつ、絶対に、俺が言いたいことを理解している。しかし、それでいて、俺の口から言わせようと言うのだ。なんて最低な奴だ。それでいて、なんて優しさのかけらもない奴なんだ!


心の中ではとてつもないほど怒っていたが、なんとか表情には出さないように気をつける。こいつには、怒っていると察されることすらも恥ずかしい。と言うか、嫌なのだ。全力で。だから俺は、怒っていることを隠す。


いや、そんなことはどうでもいい。こいつがこんな態度をとっている以上、俺が、嫌が応でも口を開いて頼まなければいけないのだ。そうしないと、先にすら進まない。


俺は、何度か大きく深呼吸をすると、水斗に背を向ける。そして、声を絞り出すように言った。


「・・・・教えて欲しい。メールの打ち方」

「うーん、もうちょっと丁寧に」


そんな返答が返って来た時は、本気でこいつを殴ろうかと思った。実際、手が動いたからな。だが、何とか残りの理性で食い止めると、ここまで言ったんだからと思い、更に小さい声で言う。


「・・・・教えて下さい。お願いします」


恥ずかしかった。どうしてメールごときでこんなことを言わなければいけないのかと。一人で練習をしている時に、もっと根気よくやっていれば、こいつに馬鹿にされることもなく、こいつにこうやって頼み込むこともなく、メールを打てたことだろう。


顔文字や絵文字を駆使して、輝くばかりの文面を、こいつに送りつけることだって出来るはずだ。


そう思うと、あの時、どうして諦めてしまったのかと言う後悔が一斉に押し寄せて来る。けれど、これは、自分の甘さ故のことだから仕方ないと諦め、俺はため息をついた。


「うん、そこまで言ってくれるとは思ってなかったけど、嬉しいね」


「・・・・ふざけるな。俺は本気なんだぞ。って言うか、さっさと教えろ。お前の持ってる技、全部」


「・・・・技?」


「知識だ、知識!俺はもう、自分の無知さで恥ずかしい思いをするのはごめんだ。この機会にメールのことは愚か、ケータイのことも全部知り尽くして、馬鹿にされないようにする!」


俺の言葉に、水斗は不思議そうな顔をして首をかしげたが、とりあえず、教えてくれるみたいだ。


「じゃあ、一応確認するけど、どこまでわかってるの?」

「どこまで?」

「どのボタンを押したら何の文字が出るかって、わかってる?」


「・・・・」

「わかった。じゃあまずは、そこからいきましょ」

「・・・・馬鹿にするな。俺はこれでも練習したんだからな」


俺が言うと、水斗は驚いたような顔をした後、ボソッと「練習をするようなことでもないとおもうんだけどな・・・・」と言った為、俺は、水斗の足を思い切り踏んでやる。


「いった!何するんだよ!」

「いいから、お前は黙ってメールの打ち方を教えていればいいんだ!」

「無言の説明で、君は理解出来るのかい?」


「・・・・無用なことは話さなくていいと言ってるんだ。はやく教えろ!このメールを送りつけて来た奴に文句を言ってやるんだ。それから、無駄にメールを送りつけて来たあいつらにも・・・・」


「ダメだよそれは。仲良くしましょうよ」

「うるさい!俺がどんなことをメールにしようが俺の勝手だ!」


「はぁ・・・・」

「とにかく、早く教えてくれ」


「わかったよ・・・・。じゃあまずは、あいうえおから。ダイヤルキーに、「あ」って書いてあるボタンがあるでしょ?」


「待て。ダイヤルキーってなんだ?」


俺が聞くと、水斗は驚いたような顔をした後、短くため息をついた。それを見て、俺は不快な気持ちになるが、もしかして、俺がケータイのことについて知らなさ過ぎるのかと思って、首をかしげる。


そんなことはないと思うのだが、俺は、昔から機械音痴と言われることが多々あった。と言うことは、俺が普通ではなく、他の奴等が普通なのか・・・・?


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