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想造世界  作者: 玲音
第五章 新しい出会い
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+への入り口

「それじゃあ、まずは、これを着てくれ」

「え?私も着ていいの!?」


「ああ。サイズは僕のだから、多少大きいかもしれないが、袖がずり落ちないように、ちゃんとボタンで留めておけよ」


そう言いながら白衣を渡すと、篠崎は嬉しそうに笑っている。それを見て、僕は不思議に思う。

こいつはとても不思議な奴だ。だって、僕の実験に付き合おうって言うんだ。家で働いてる奴等だって嫌がる仕事だって言うのに・・・・。


チラッと見てみると、相変わらず鼻歌を歌いそうなテンションで白衣に手を通しているけれど、上手く着れていない。


僕は最初、手伝ってやろうと思ったが、あえて手伝わずにその様子を観察する。今まで僕が出会って来た奴の中で、一番おかしい奴だと思う。


僕の知ってる小学四年生は、もっと落ち着いていて、みんなませていた。人と会話をすることもあまりなければ、人とつるむようなこともしない。


だけど、こいつの場合は、そんな僕の思っている小学四年生と全く違う。うるさいし、妙に元気だし、何より、よくしゃべる。それに、友達も多いみたいだ。


そう考えて、思わずため息をつく。昔は、友達なんて必要ないと思ってた。だって、それが普通だと思っていたから。でも、こうやって表の世界に出て、普通の小学四年生と生活を共にし始めたことで、僕も、友達が欲しいと思ってしまったのだ。


でも、僕はこんな性格だから、中々友達が出来ないんだ。本当は友達が欲しいと思ってるのに、言葉では素直に言えずに、結局みんなに嫌われちゃって孤立しちゃうんだ。


「どうしたの?聖夜君??」

「・・・・なんでもない。ちゃんと着られたか?」


「うーん、何とか」


「まぁ、それだけ着られてれば十分だろう。それなら、早速行こう」

「うん!」


篠崎は元気にうなずくと、やっぱり元気に歩き出す。僕は、どうしてもこいつのテンションについていけなかった。・・・・って過去形だけど、今現在もついていけない。


でも、昔よりはマシになったと思う。昔なんか、訳もわからない状態でつっかかって来て、嫌な女だなと思ってた。でも、パレードの件からそう言う行動もしなくなったので、大分よくなったと思うけど・・・・。


って、僕は何を考えてるんだ。別に、こいつのことはどうでもいいじゃないか!

・・・・でも、せっかく実験に付き合ってくれるって言うし、何だか、僕も心を改めないといけないような気にもなって来る。


みんな、僕のことを極悪非道みたいな言い方をするけど、僕は、決して冷たい訳じゃない。だから、こうやって、色々悩む時もある。ただ、口では言えないだけなんだ。


「ここだ」

「うわぁ~、なんか、ほんとに研究所だね」


「・・・・何言ってるのかわからないが、さっさと入ってくれ。温度が変わっちゃうから」


「あっ、ごめんね」


篠崎はそう謝ると、急いで第一研究室に入って来た。僕は、それを確認すると、急いで扉を閉める。そして、さっそく、篠崎を奥の椅子に座らせると、僕が発明した特殊な脳波形をつけてもらう。


「これ・・・・何?」

「脳波形だ」

「のっ、脳波形?これ、脳波形なの?」


「ああ。一見普通の帽子に見えるだろうが、脳波形だ」

「・・・・痛いの?」


「痛くない。それは僕の作った脳波形で、嘘発見器と似たような効果がある・・・・はずだ。でも、現在開発中のものであるから、完全とは言い切れない。完成したら、そう言う効果を期待出来る代物だと言うことだ」


「そうなんだ・・・・」

「そう言うことだから、この紙の質問に、「はい」か「いいえ」で答えてくれ」

「え?どうして?」


「お前が答えた質問の中から僕が質問を選ぶ。それで、正しく作動していればそれは完成だ。でも、正しく作動しているかどうかを確かめるには、答えが必要だろう?だから、お前は、素直に答えを書いてくれ」


「わっ、わかった」

「僕はその間、隣の研究室にいるから、書き終わったら、教えてくれ」

「うん、わかった!」


篠崎はそう笑顔で言うと、僕が渡した紙に視線を落とす。僕は、さっきの笑顔を見た時、なんとも言えない感覚に襲われた。でも、それは今までに感じたこともないものの為、その感情がどう言うものなのか、僕はよくわからない。


でも、一つだけわかることは、前みたいなマイナス的な感情ではないってことだった。


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