180度違います
「おい、一体なんなんだ!」
「まあまあ、ちょっと聞きたいことがあってな」
「なんだよ、早くしろよ?また栞奈に何か言われかねないからな」
そう仏頂面で言う修の言葉にウンウンとうなずくと、修に好きな色のことを聞いた。
「好きな色?」
「そう。水色とか、赤とか、とにかく教えてくれよ!」
「・・・・水色?」
「やっぱり!」
「は?」
「いやいや」
俺はそこで首を振りながら、昨日のカラー占いの結果を思い出す。確か、ピンクが積極的になれば、二人の仲は進展するでしょうとあった。
と言うことは、花恋が積極的にならなくちゃいけないってことか・・・・。
でも、あんな性格の花恋だ。絶対に自分からデートに誘うはずがない。なら、俺がどうにかしようじゃないか!そう考えた後、俺は首をかしげた。
いや、待てよ。修には栞奈ちゃんがいる。あの子は、絶対に修が好きだ。修があの子のことをどう思ってるのかわからないけど、幼馴染だから、絶対に仲がいいことは事実だ。
・・・・となると、いくら花恋が可愛いと言っても、中々難しいところだと思う。
花恋は、凄く可愛いと俺は思う。でも、修が、花恋みたいなタイプじゃなくて、栞奈ちゃんみたいな子がタイプなのかもしれないし、かと言って、初恋を失恋で終わらせたくはない。
俺は、花恋のデレを見たことがない。それに、ツンデレのデレと言うのを見たことがない。しかし、一発でわかった。修に対しての態度だけ、俺達と接する時とは違う。大幅に違う。だから俺は、あれが、デレだと思ったんだ。うん、完璧だ!
「おい、一人でブツブツ言って、どうしたんだよ?」
「いや、まだ、タイプを聞いてないなって思って・・・・」
「は?」
「ううん。なんでもねぇ!じゃあ俺、そろそろ行かなくちゃならないから、また!」
俺はそう言うと、花恋達のところに走っていこうとした。しかし、修に引き止められて、転びそうになる。
「ちょっ、なんだよ!」
「今度盗む代物は、この近くにある美術館の裏に保存されている、古い書物だろ?」
そう修に言われて、俺は、素直にうなずく。次に盗むもののことを教えてないけど、こうやって当てられたってことは、何かを知っていると思ったんだ。
「ああ。何かあったのか?」
「今日、たまたまその美術館に行ったら、沢山の警官がいた。と言っても、私服警官だから、普通の奴は気づかないだろうが、よく見てみると、視線が鋭いから、警察の奴等だってわかった」
修にそう言われて、俺は心底ホッとした。だって、これから、下見がてらに、その美術館に行こうと思ってたんだ。
盗みをする時、いつも顔を見られないように仮面を被ってるから、顔はバレてないし、そもそも、どんな奴かもバレていないから大丈夫だろうとは思うけど、師匠に、昼間は警察の前に絶対現れるなって言われてるんだ。
「そっか、わざわざありがとな」
「別にいい。お前が捕まったら、俺も面倒なことに巻き込まれそうだからな」
「大丈夫だって。修を巻き込むようなことはしない。それに、絶対にバレるようなことはしないさ。花恋達にも迷惑かけちゃうしな」
「そうだ。あいつにも迷惑をかける。だから、そうならない為に、俺は教えてやったんだ。決して、お前の為じゃないぞ」
「・・・・まぁ、そうだろうな」
俺はそううなずきながら、花恋の事を聞いてみる。
「修は、花恋のことをどう思う?」
「突然どうしたんだ?」
「いいから、答えろって!」
「・・・・まぁ、いいんじゃないか」
「ほうほう」
「なんだ、その変な言葉は?」
「いや、なんでも。じゃ、美術館の件、ありがとな!俺、応援するから。お前達のこと!」
俺はそう言うと、不思議そうな顔をしている修を置いて、花恋のもとに走って行く。
修にとって、曖昧な答えとは、いい方に傾いている証拠だ。と言うことは、花恋の勝ち目もあるかもしれない。そう言うことなら、俺は、全力でサポートしようと思う。
でも、だ。それよりも先に、まずは、本当に、修が好きなのかと言うことを確かめることにする。
勘違いってこともあるかもしれないから、花恋に直接聞いて、その、好きな人とやらの特徴を聞こうと思ったんだ。
俺、結構勘違いし易くて、いつも花恋に迷惑をかけてるから、今度は慎重に動こうと思ってるんだ。相手が相手だし、最近の花恋、結構怖いからな。
それに、あの二人はツンデレ同士でお似合いだ。俺なんかよりも、よっぽど似合ってる。うん、そうだ。なら、絶対にミスをしないように注意をしながらことを運ばないとな。