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想造世界  作者: 玲音
第五章 新しい出会い
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仲のいい兄弟と、罪悪感に苛まれる彼女

「起きなさい、水斗!」


「・・・・ん?あれ?なんで花恋が俺の部屋に・・・・って、そっ、そんなに怒るなって!俺にも色々事情が・・・・」


「事情って、ゲームのこと!?」

「ごっ、誤解だって!俺は、昨日夜遅くまで勉強してたから、寝坊したんだよ!」

「じゃあ、どこをやったか見せて」


「そっ、それは出来ないぜ。だっ、だってよ、俺と馬鹿にしか見えないペンで書いたんだもん」


「ふざけないで!裸の王様じゃないんだから!本当にやったのなら見せなさい!嘘なら素直に謝りなさい!謝ったら許してあげるから」


「・・・・ごめんなさい」

「もう!」


お姉ちゃんはそう言うと、そのまま部屋から出て行ってしまうから、お兄ちゃんは慌てて追いかける。


「謝ったら許してくれるって言ったじゃんかよ!」

「直ぐに許すとは言ってないわ」

「でもさ、俺、素直に謝ったじゃん!な?許して!」


「・・・・わかったわよ!しょうがないわね、もう許してあげるから、早く仕度をして迎えに来てよね!」


「わかった!ありがとう!」


ようやくお姉ちゃんの機嫌は直ったようで、なぜか、そのまま家に帰ってしまった。私は、どうしてわざわざ家に帰ったのかわからないけど、とりあえず、急いで仕度をしようとするお兄ちゃんに謝る。


「ごめんね、お兄ちゃん。ゲームのこと、私がお姉ちゃんに言っちゃったの」

「そうなの!?」


「・・・・うん。ごめんね、お兄ちゃん」


「そんなに謝らなくても、怒ってないよ。兄貴のせいだって知ってるから」

「え?本当にゲームをやってたんじゃないの?」


「昨日は、ずっと、調べ物をしてたんだ。その最中、兄貴は俺のところに何回か来たから、俺が調べ物をしてたって知ってるはずなのに、ゲームをやってたって嘘ついたんだ。だから、全部兄貴が悪い!」


そう言ってお兄ちゃんは亜稀さんのことを睨みつけるけど、亜稀さんは、それに全く動じずに口を開く。


「それよりも、さっさと仕度をしなくていいのか?また、あの子に怒られるぞ」

「げっ・・・・それは勘弁・・・・」


そう言って、お兄ちゃんは一端自分の部屋に入ったかと思ったら、三秒もしないうちにパジャマから私服に着替えて出て来た。その速さには、私も驚いて唖然としていたけれど、自分がどうしてここに来たのかと言う理由を思い出して、お兄ちゃんに聖夜君の家のことを聞く。


「あのね、お兄ちゃんって、聖夜君と仲がいいでしょ?」

「仲がいいって言うか、一方的に馬鹿にされてるって感じだけどな。でも、あいつがどうしたんだよ?」


「実はね、昨日、聖夜君から転校しちゃうって聞いて・・・・じゃなくて。えっと、聖夜君の住所って、知ってる?」


「ああ、知ってるぞ。あっ、でも、あそこ滅茶苦茶迷い易いからな~。よしっ、連れてってやろう!」


「えっ!?」


まさかの申し出に、驚きの声しかあげられなかったけど、これって、結構まずい事言っちゃったかな?私。


「でっ、でも、お姉ちゃんと遊びに行くんでしょ?」

「ああ。まあそうだけど、その前に、聖夜の家に寄っても、花恋は怒らないだろ?」


「そっ、それは悪いよ!だって、ほら・・・・あの、久しぶりに遊ぶんだし、二人で楽しんで来てよ、ね?」


「でもよ、心配なんだよな。あそこの辺り、不審者が出るって言うし。だから、な!遠慮すんな!」


笑顔で、お兄ちゃんは私の肩を叩いてくるけど、私は笑顔を返せる余力が残っていない。だって、これって、お姉ちゃんのデートを邪魔してるようにしか感じられない。お姉ちゃんはきっと怒らないと思うけど、私の中の罪悪感は凄かった。でも、出来れば早く、聖夜君の家に行きたい。だから・・・・。


「んじゃ、早速行こうぜ!」

「あっ、うん・・・・」


私は、お姉ちゃんに何回も謝りながら、お兄ちゃんの優しさに甘えることにした。


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