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想造世界  作者: 玲音
第五章 新しい出会い
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嬉しそうな姉と、いてもたってもいられない妹

「ほら、起きなさい、玲菜」

「・・・・お姉ちゃん?」


「早く起きて!」

「あっ、うん・・・・」


いつもなら、私を起こすことはあまりないお姉ちゃんが私を起こして来たから、少しだけびっくりしながらも、何かあるのかもしれないと思って、急いで起き上がる。昨日寝たのが夜遅かったせいか、少しだけ、体がだるい。


「どうしたの?いつもなら、私のこと起こさないのに・・・・」

「今日は出かけるの」

「どこに?」


「知らないわ。でも、迎えに来るって言ってたの。あいつ、何時に来るかも告げずに電話を切っちゃうんだから・・・・」


小声でそんな文句を言うお姉ちゃんの姿を見て、誰と出かけるのかって言うことがわかった。こんな風に言葉では文句を言ってるけど、内心は、凄く楽しみなのがよくわかる。


いつもなら、表情を隠すのもうまいけど、今だけは、本当の感情が顔に表れてる。それに、服装にも気合が入ってる。きっと、お姉ちゃんのことだから、凄く早く目が覚めちゃって、何時間もずっと、服を選んだりしてるんだろうなぁ~。


「お姉ちゃんさ、お兄ちゃんとデートするんでしょ?」


私がそう聞くと、今まで、出来るだけ平然を装っていたお姉ちゃんの顔から平然と言う言葉が消えて、顔が真っ赤になっている。


「べっ、別に、デートなんかじゃないわよ!ただ、二人きりで出かけるってだけで!それに、あいつのことだから、きっと、デートなんかじゃなくて、遊びに行くって考えだろうし・・・・」


「でもさ、もし、遊びに行くなら、お姉ちゃんと二人きりじゃなくてもいいんじゃない?」


私がそう言ってみると、お姉ちゃんが静かになって、小さく首を縦に振る。私は、お兄ちゃんの本当の気持ちはわからないけど、「二人きりで」ってところを考えると、そう言う可能性が高いかもしれないじゃないか。


「とっ、とにかく!いつ帰って来るかわからないから、朝ご飯食べちゃって!それから、お昼も作っといたから。夕方ぐらいには帰ると思うけど、おなか空いたら、何か食べてていいからね!」


お姉ちゃんはそれだけ言うと、珍しく大きな足音を立てて部屋から出て行ってしまった。お姉ちゃんは、あんまり感情を表に出すのが上手じゃないけど、よく見てれば、何を考えてるのかがよくわかる。そう言う意味では、普通の人よりもわかりやすいかもしれない。


私はそんなことを思いながら、昨日のことを思い出す。今までの関係ではとてもありえないことだ。だから、夢なんじゃないかと不安になる。でも、もし、夢なら夢でもいいかもしれないと思った。だって、夢だったら、聖夜君が転校してしまうと言うことが嘘になるんだから・・・・。


そう思った時、私は、更に思い出す。確か、聖夜君は、今日、海外に行っちゃうって言ってたような・・・・。


それを思い出して、一気に目が覚める。もし、あの言葉が本当だとしたら、もう、聖夜君はここにいないかもしれない・・・・。そう思うと何だか不安で、いてもたってもいられなくて、私は、部屋の中をうろうろするけれど、どうしたらいいのかわからない。


聖夜君の家に電話をかけてみるのもいいかもしれないけど、そんなに親しくないはずの私が電話をかけてもいいのだろうか?ううん、それよりも、引っ越すって言うんだから、家にかけても誰も出ないかもしれない・・・・。


私は最初、どうしようかと部屋の中をうろうろ歩き回っていたけれど、やがて、一つの答えに辿りついた。聖夜君の家に行って、自分の目で確かめるんだ。でも、私は、聖夜君の家の住所を知らない。・・・・なんか、知らないことばっかりだな、聖夜君のこと。


好きな人のことを何も知らないと改めて感じて、自然と気持ちが沈む。でも、慌てて首を振ると、自分の気持ちを奮い立たせる。


今は、そんな風に落ち込んでいる暇はないんだ。一刻も早く、聖夜君の家に行かないと・・・・。


そう思って、私は、聖夜君の家がどこにあるのか知っているかもしれないお兄ちゃんに聞いてみることにした。


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