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想造世界  作者: 玲音
第五章 新しい出会い
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紅茶よりコーヒー派な彼です

「到着しましたよ」

「ああ。ありがとな」


「いえ。聖夜様が認めた人達です。お気になさらないで下さい」


「わかった。そう言うなら気にしないことにする」

「えっ!?族長、それは・・・・」


「まあな。でもまぁ、気にするなって言われたら、気にしないことに越したことはないだろう」


「うーん、そんなものなんですかねぇ?」

「しつこいぞ。あんまり言うなら置いてくからな」


なぜだかわからないが、しつこく言って来る神羅を残して、止まった車の外に出る。車を下りた真正面には大きな家があって、表札には「新見」と書かれている。


それを見た時、俺はふと、何かを疑問に思った。しかし、何に対して疑問が浮かんだのかすらもわからない状態で、その気持ちは薄れて行った。何だか気持ち悪いなと思いながらも、思い出せないし、そもそも、何に対して疑問に思ったのかもわからないんだから、仕方ないだろうなと思って、新見家のインターホンを押す。


すると、丁度十秒後に竜が出て来た。


「おおっ、ようやくご帰宅か」

「ああ。いろいろあって、こんな時間になってしまった」

「まぁ、お疲れさん。神羅もな」

「ああ、ありがとな。そう言ってくれる人が全然いないからよ、凄く嬉しいぜ」


そう言う神羅の目が俺の方に向いている気がするが、俺は、それに気づかないふりをして目を逸らす。


「今、族長のことを言ったんですぜ?」

「わかってる。だから、目を逸らしたんだ」

「なんだって!?確信犯だったのか!!」

「そう怒鳴るな、うるさい。今日はもう疲れたんだ。これ以上疲れさせないでくれ」


「だっ、だってよ・・・・」


「まあまあ、そんなに喧嘩すんなよ。そう言えば、飯、食ったのか?」

「食べてないが、俺は要らない。出来れば、紅茶を出して欲しい」

「ん?修、紅茶よりも、コーヒーの方が好きじゃなかったか?」

「コーヒーを飲んだら眠れなくなるだろ?それは嫌なんだ」


俺の返しの何かが面白かったのか、二人が笑い出すから、睨みつけてやると、笑うのをやめた。全く、俺の周りは、訳のわからないような奴ばっかりか。


「まっ、とりあえず、先客と話でもしててくれよ。きっと、面白いだろうから」


「そう言えば、靴が多かったような気がするが・・・・こんな時間に来客って、そいつは、よっぽど非常識なんだな」


そう言いながら、廊下にかかっている時計を見る。時間は、夜の一時を回っていて、これは、非常識どころではないだろうなと思った。


「まあまあ。いろいろあるみたいだからよ、そんな風に言わないでやってくれって」

「・・・・知り合いなのか?」

「ああ。まだ、修達には紹介してなかったと思うけど・・・・」


そう言って竜がリビングのドアを開けた。その先にいたのは・・・・。


「お客さんか・・・・って、げっ!?修達じゃないか!」

「・・・・お前か」

「ん?知り合いだったのか?」


「知り合いも何も、今日は、こいつのせいでいろいろ振り回されて大変だったんだ」

「そっ、それって・・・・」

「か・・・・」


俺が「怪盗エンジェル」のことを言おうとすると、それにいち早く気づいた水斗が俺の口を塞ぐ。そして、竜には聞こえないぐらいの小さな声で言った。


「竜さんには、怪盗エンジェルのことは話してないんだ。だから、その話はしないでね」

「・・・・わかった」

「よしっ、ならいいよ」


水斗が生意気にそんなことを言った為、俺に背中を向けている時に、背中を蹴ってやった。


「痛いじゃんか!」

「お前が悪い」

「なんで俺なんだよ!」


「ちょいちょい、二人とも、一応知り合いなんだろ?なら、仲良くしようぜ?」

「こいつが生意気な口をきかなければ、俺だって怒らなかった。だから、こいつが悪い」

「なんでだよ!別に、生意気って思われるようなことは言ってないはずだぜ!?」


「まあまあ。ほらほら、紅茶用意してやるから、それ飲んで落ち着けって。神羅、この二人、リビングの椅子に座らせてくれないか?」


「了解!」


神羅はそう言った途端、にらみ合っていた俺と水斗の腕をつかんで引っ張って行く為、一瞬だけ怒りが冷める。


「おい、どこに連れて行く気だ!」

「どこって、リビングの椅子ですよ。話聞いてませんでした?」

「知らん!」


「えっ!?俺はちゃんと聞いてたぜ?」

「余計なこと言うなって、水斗」

「あっ!初めて神羅が俺を攻めた・・・・これで、味方はゼロか・・・・」


そう言って落ち込む演技を見せる水斗。俺は、絶対に演技だって思ったが、神羅は本気に思ったらしく、何だか慌てている。可哀想だな。


「いや、あの・・・・ほら!元気出そうぜ!」

「別に、落ち込んでねーし」

「いや、いじけてる」

「嘘付け!」


今度は、神羅と水斗との間にバトルが生まれ、俺は、いつの間にか傍観者になっていた。何だか不思議に思いながら、竜から渡された紅茶を飲んだ時、さっき、何を考えていたのかと言うことを思い出した。それは、水斗と新見水樹と言う子供の苗字が一緒だってことだ。


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