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想造世界  作者: 玲音
第五章 新しい出会い
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作戦通りには行きませんでした。

《もう・・・・一体なんなんだろうね・・・・。嫌になるよ》

「文句言うなよ。でも、本当に俺達は何もしなくていいのかよ?」

《そうは言ってもさ、正体をバラせない僕らに、一体何が出来ると思う?》

「・・・・はぁ」


水斗の発言も最もだと思い、悔しいとは思うものの、この場で身を伏せてる事しか出来ないんだなと思った時、三番から通信が入った。ちなみに言うと、三番は神羅の番号だから、要は、神羅から通信が入ったってことだ。


「どうした?」

《あっ、族長!俺、凄いことに気づいちゃいましたよ!》


「は?何がだ?」


《実はですね、堕天使を追いかけてたら・・・・》

「堕天使は捕まえられたのか?」


俺の言葉に、神羅が黙り込む。その行動から、答えがなんなのかはわかった。


「逃がしたんだな・・・・」

《でっ、でも、俺、頑張ったんですぜ?》


「でも、逃がしたのは事実だろう。堕天使の首を絞めてやろうと思ったのに、そんなことも出来ないじゃないか」


《そっ、そんなに俺を責めないで下さい!頑張ったんですって!だから、その変わりと言っちゃなんですけど、凄いことがわかったんですって!》


「・・・・はぁ。まぁいい。で、その凄いことって言うのはなんだ?堕天使関連のことか?」

《ええ。で、その凄いって言うことがですね・・・・》


神羅がそこまで言った時、急にノイズが入ったかと思ったら、水斗の声が聞こえた。


《あのさ、亜修羅君》


「おい!なんで今話しかけてくるんだ!おかげで、堕天使に関しての重大な言葉がかき消されたじゃないか!」


《ごっ、ごめん・・・・。でも・・・・》


水斗がそう言った時、突然人間達がいる方向から大勢の黒服がやって来たかと思ったら、パレードに使われる車の天井が開いて、聖夜が出て来た。


「聖夜様、こちらは捕まえることが出来ましたが、次はどうしましょうか?」

「その他色んな建物を調べろ」

「はい」


「それから、お前は、ここに残れ。一応、怪我人がいないかを確かめた後、遊園地の人間に、謝礼として各自100万払って来い」


「わかりました」


俺は、そんな光景を不思議な気持ちで見ていた。なぜなら、聖夜なんかよりもよっぽどでかくてごつい男達が、子供である聖夜の言葉をはいはい聞いているんだ。一体どう言うことなんだ?


しかし、こいつらの会話を聞いていると、俺達のことを狙って来た奴等は、もう捕まったらしい。そう言えば、少し前から銃声がなくなった。もしかしたら、その時辺りから、こいつらが捕まえてくれていたのかもしれない。


《・・・・終わった?》

「・・・・だろうな。けど、これからどうするんだ?」


《ここまでグチャグチャになってしまったんなら、もう、作戦も何もないよ。僕が、車の後ろ側を開けるから、君も着ぐるみを脱いで、後からついておいで》


「そんな粗いことをしてバレないか?」


《大丈夫だよ。今、観客達は安堵や安心と言う感情で、とりあえずは周りを見ないだろうしね。そのうちに、僕達が彼女達を助けよう》


「ああ」


水斗の言葉にうなずくと、車の裏側に回って狸の着ぐるみを脱ぐと、サングラスをかけた。これは、スーツの胸ポケットの中に入っていたのだ。この格好をしていれば、多分、聖夜の言いなりになっていた黒服の仲間に見えるかもしれない。


水斗も、俺と同じように車の裏側でリスの着ぐるみを脱ぐと、いつの間にか、怪盗の姿に戻っていて、俺はびっくりする。だって、着ぐるみを着た時は私服だったはずなのに、今着ぐるみをぬぐと、怪盗の時の服になっているのだ。


「お前・・・・何時着替えたんだよ?」

「えーっとね、伏せている間暇だったから、ずっと着替えてた」


「・・・・器用過ぎて、何も言えないな」


「ちょっと!!『ずっと着替えてた』ってところにツッコんでくれよ?」

「嫌だ。ツッコミを入れてやるほど、俺は優しくない」


「冷たい人だなぁ~。そうそう。それじゃあ、最後の作戦だよ。って言っても、もう、僕の考えてた作戦、随分バラバラにされちゃったけど・・・・まぁ、いいか。最後の作戦とは、僕は、この姿で花恋を助ける。その時、わざと人目をひくように聖夜君が開けてくれた天井から出て行くから、君は、石村さんを連れて、後ろ側から出ればいい」


「そう言えば、今、何時だ?」


「えーっと、十一時五十分。なんだかんだで間にあったみたいだね。よかったよかった。じゃあ、そう言うことで、よろしくお願いしますよ」


「ああ」


俺はうなずくと、水斗の後について車の中に入る。すると、なぜか、元気のない聖夜と、気絶している聖夜のクラスメートがいて、その近くに、水斗の幼馴染と、あいつがいた。


「おい、元気がないな、どうしたんだ?」

「・・・・はぁ」

「?」


「いや、なんでもない。こいつのことは、僕が家まで連れて行くから、修は、友美と一緒に僕の家に来てくれ」


「は?なんでだよ?」

「いいから」


聖夜はそう言うと、クラスメートの女を抱えて外に出て行こうとして、水斗に止められる。


「僕がみんなの視線を引き寄せるから、その時に外に出た方が安全だよ」

「・・・・そうだな。あっ、そうだ。宝石は、花恋の隣においてあるから」

「ああ、はいはい。回収回収っと」


水斗はそう言って、宝石を胸ポケットに入れると、気絶している花恋を抱きかかえる。


「それじゃあ僕は、向こうの方から出るよ」

「話が違うじゃないか」


「よく考えたら、花恋を抱えた状態じゃ、その穴を通れないことに気づいてね。こっちから行くよ」


水斗はそう言うと、俺達の話も聞かないで、奥の方へと行ってしまった。それからしばらくすると、機械が動くような音がしたかと思ったら、車の中が少しだけ揺れて、「エンジェルだー!」と言う悲鳴が聞こえる。その直後、俺達は、気絶している女達を抱えると、水斗が開けた後ろのところから飛び降りると、車の裏に回る。


「それでは皆様、また会う日まで」


水斗はそう言ったかと思うと、自身の力を使って宙に浮かぶと、走って行ってしまった。今まで呆然としていた観客は、それを追いかけようと必死になるけれど、水斗が直ぐにどこかへ行ってしまった為、直ぐに諦めたようだ。


「・・・・とりあえず、そう言うことだ。僕は、こいつを家に送り届ける。でも、修は友美と一緒に、僕の家に来てくれ」


「お前がいなかったら、入れてくれないんじゃないか?」

「大丈夫だ。話は通してある。じゃあ、頑張るんだぞ!」


聖夜はそう言って俺の背中を叩いたかと思ったら、クラスメートの女を抱えてどこかに行ってしまった為、仕方なく、聖夜の家に行く事にした。


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