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想造世界  作者: 玲音
第五章 新しい出会い
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本当に、大丈夫でしょうか?

「えーっと、凛君は・・・・あっ、あそこだ」


僕は、明らかにフラフラと歩いている凛君の近くを歩く。本当は、もっと離れた方がいいとは思うんだけど、今にも倒れちゃいそうで、危ないと思ったから、自然と近いところまで来てしまう。


いつもの凛君だったら、僕の存在に絶対気づくであろう距離だ。でも、今は体調が悪いせいか、全くと言っていいほど気づいていない。もしかしたら、歩くことで精一杯なのかもしれないと思って、僕が、出来るだけ注意を払うことにする。僕だったら、こんなことは出来ないと思う。熱でフラフラになりながらも、相手に謝りに行く事なんて・・・・。


だから僕は、凛君は凄いなと思うと同時に、自分も見習いたいと思う。僕なら、せいぜい、電話で謝って、こっちに来てもらってから再び謝るだけだろう。うん、凛君を見習わないと。


「えーっと・・・・なんだっけ?」

「?」


僕は、なぜか独り言を呟いている凛君に首をかしげる。僕達の通ってる道には、僕達以外誰もいないから、僕の存在に気づいていないなら、独り言ってことになるんだけどなぁ・・・・。


「お正月はクリスマスの先で、初日の出はお正月の前?それで、元旦がクリスマスの後で、母の日がクリスマスの前」


僕は、更に意味がわからなくなって来る。なんのことについて凛君が考えているのかわからないし、そもそも、間違っている部分が多々ある気がする。元々、結構不思議な発言をすることが多いけど、ここまで不思議な発言をされたのは初めてだ。やっぱり、相当熱があるのかもしれない。


「それから、パズルは五千ピースの友達は百人で、取り得はゼロの友達は十人・・・・」


僕は、やっぱり、何のことを言っているのかわからなかった。だって、最初、友達は百人だったのに、いつの間にか九十人も減ってしまって・・・・。いやいや、そこは考えるべき点じゃないよね?


僕がそんなことを思いながらうなずいていた時、不意に、目の前に影が出来たかと思って首を持ち上げると、凛君が倒れて来て、僕は慌てて受け止める。


だって、そうしないと僕も一緒に倒れちゃうところだったし、何より、そうする為に僕は近くの距離を保っていたんだもん。


「・・・・あれ?桜っちだ。何やってるの?」

「あっ、えっと・・・・ちょっ、ちょっと買い物を・・・・」

「でも、ハンバーグは出来たよ?」


「あっ、明日の朝ご飯の買出しを!」

「こんな夜中に?」

「・・・・はい」


僕がしどろもどろになって言うと、凛君はゆっくりとうなずくと、何とか立ち上がった。


「じゃあ、買い物に行く途中の桜木君、頑張ってくれたまえ!あっ、それから受け止めてくれてどうもね、じゃ!」


凛君はそう言うと、なんとか敬礼のポーズをすると、走り出した。それを見て、僕は慌てて止める。


「凛君、走るのは危険です!ただでさえフラフラしてるんですから!」

「大丈夫だよ~!ほら、もう、バリバリ元気!20%元気だよ!」

「元気のパーセンテージ、さっきよりも下がってるじゃないですか!」


「数字のことは気にしないで!プラス90パーセントで、100になるじゃん!」


「そっ、そうじゃないですよ!100にはなりませんよ!」

「じゃ、バイバイ!!」

「あっ、待って下さい!!」


僕は、なぜか、物凄いスピードで走って行ってしまった凛君を追いかけることにした。

だって、さっきの会話でわかってもらえたと思うように、凛君は物凄く重症なんだもん。だから、追いかけなくちゃ!


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