命=パソコンらしいです
「ふむ・・・・探すと言っても、まずはどこから探そうか?」
「そんなこと俺に言われてもよ・・・・そもそも俺は、パソコン持ち係なんだろ?天皇に逆立ちをさせることぐらい凄い」
「まぁな。それがどうした?」
「その例えやめないか?俺には、全くもってその価値がわからないんだ。そもそも、天皇って誰だよ?俺、人間界で偉い奴等の名前なんか知らないからよ、わかんねぇや。天皇何って言うんだ?名前」
俺が聞くと、聖夜は面白そうに笑い始める為、俺は眉をひそめる。だってこいつ、全く教えてくれないくせに、俺のことを思い切り馬鹿にするんだ。理不尽過ぎるにも程があるぞ。
俺なんか、人間界に来てまだそんなに経ってないから、人間界のことなんか全く知らないのに。
「そんな風に笑わなくたっていいだろ!」
「だってお前、天皇って、誰かの名前だと思ったのか?」
「・・・・違うのかよ?」
「違う!天皇って言うのは、地位みたいなものだ。決して名前と言う訳じゃない」
「みたいなものって、お前もよく知らないじゃないかよ!」
「仕方ないだろ!僕は子供なんだから!」
「そう言う時ばっかり子どもってことに逃げやがって・・・・ずるい奴だぜ」
「ずるくない。上手く言葉を使い分けるのは大事な事だ」
「そんな生意気なこと言うんだったら、このパソコン投げ捨てるぞ!」
俺がパソコンを上に持ち上げながら言うと、聖夜が焦った顔をして俺にタックルして来た。それにはさすがに驚いて、俺はパソコンから手を離してしまった。それを、聖夜は上手い具合にキャッチすると、満足そうにパソコンを撫でる。
「馬鹿!」
「なっ、なんだよ!」
「こいつは、僕の命と言っていい。こいつを壊したら、僕も消えると思ってくれ」
「そっ、そんなかよ?」
「ああ。僕の思い出、記憶、して来たこと全てが記録されてるんだ。僕の人生と言っていい。それをお前に託したんだぞ。それなのに、お前と言う奴は・・・・」
聖夜にそう言われ、俺はフンッとそっぽを向いたけれど、チラッと聖夜の方を見ると、聖夜がうつむいて泣いているの見て、俺は、かなり慌てた。
まさか、そこまで大事なものだとは思わなかったからだ。だから、ふざけてあんなことを言ったが、壊されそうになっただけで泣くほど大事なものだったなんて・・・・。
「悪かった、まさか、そんな大事なものだったなんて・・・・」
俺がそう言って近付くと、聖夜はため息をついて涙を拭いた。その姿を見て、俺は、何だか違和感を感じた。よくわからないけど、とにかく違和感だ。
「謝れ」
「いや、謝ったじゃんか」
「もう一回」
「すっ、すみません・・・・」
俺が言うと、聖夜はもう一度ため息をついたかと思ったら、俺にパソコンを差し出す。俺は、それを受け取ると、平然としている聖夜に聞く。
「今の、演技だろ?」
「まあな」
「げっ・・・・」
「でも、それほど大事なパソコンだと言うのは事実だ。ただ、あの涙は嘘だ。悲しくない」
「お前、演技上手過ぎだろ・・・・すっかり騙されたぞ」
「当たり前だ。敵の目を欺く事も必要だからな」
「は?」
「まあいい。で、話が逸れてるぞ。あいつはどこにいると思う?」
「お前が怒らせなかったらいいんだろうが!」
「我慢は体によくない」
聖夜は、再び言い切ると、地図を見ようとするけれど、直ぐに見るのをやめたかと思ったら、俺の方に走って来た。
「どうしたよ?」
「お前が見て、僕に教えろ」
「はぁ!?なんでそんなこと・・・・」
そう言いかけて、俺は、小さくて見えないんじゃないかと言う答えにたどり着いた。そう思うと、何だか、素直に言うことを聞いてやってもいいんじゃないかと言う気になって、俺は、地図を見てやる。
「何を教えて欲しいんだよ?」
「うーん、どうしようか・・・・」
「は?」
「僕は、こう言うことを考えるのが苦手なんだ。物凄くな。だから、ヒントがない今、何がどうなのか、さっぱりわからないんだ」
聖夜はそう言って黙り込んでしまった為、俺は、チャンスだと思った。ここで、俺の凄さをこいつに見せつけてやれば、馬鹿にされるようなこともないんじゃないかと考えたのだ。
「よしっ、俺に任せておけ!」
「僕は、お前があいつの居場所を探し当てても、尊敬はしないからな」
「・・・・」
聖夜に思っていることを見透かされて、振り上げようとしていた腕を下げる。そして、深いため息をついた。
「どうした?」
「別に」
「いじけてるな?」
「だってよ、そうだろ!?俺が大人らしいところを見せ付けてやろうと思ったら、心読まれて否定されるしよ、これでいじけるなって、無理な話だろ!」
「大人はいじけない!」
「いじけるんだよ!俺だって、まだ子供なんだよ!」
「はぁ、そうなのか。じゃあ、大人らしいところを見せなくていいじゃないか」
聖夜に言われ、俺は太刀打ち出来なくなる。こいつは生意気なくせに、余計な言葉ばっかり知ってて、負かされることが多いのだ。
「もういい!」
「子供だな」
「うるさい!玲菜がどこに隠れているのかわからない聖夜に比べればマシだ!」
「そっ、そんなの、仕方ないだろう。ヒントがないんじゃ・・・・」
聖夜がそう言った時、上の方から何かが落ちて来たかと思ったら、聖夜の頭に落っこちた。
「なんだ、これは!」
「まぁ、そう怒るなって。で、なんて書いてある?」
「『喧嘩ばっかりしている君達にヒントをあげよう。彼女達は、時間以内に見つけられなかったら、勝手に救出されることになるだろう』・・・・どう言う意味だ?」
「わっかんねぇ・・・・。勝手に救出って、なんだ?堕天使がどうこうしなくても、何者かの手によって発見されるってことか?」
「そうかもしれない。でも、それって、一体どう言うことなんだ?」
「とりあえず、水斗に電話をしたらいいんじゃないか?あいつ、天才なんだろ?」
俺が言うと、聖夜はうなずき、水斗に電話をかけ始めた。