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想造世界  作者: 玲音
第五章 新しい出会い
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天才と言われても、やはり「あれ」は未だに怖いようです

「絶対、誰にも言うなよ?」

「・・・・そんなに恥ずかしいことなのか?」

「そうなんだ!お前が言えって言うから言うんだからな!」


「うん・・・・まぁ、話してみろよ」


「あっ、後、絶対に笑うなよ!」

「大丈夫だ。話してみろ」

「はぁ・・・・」


聖夜は深いため息をつくと、ゆっくりと話し始めた。その内容と言うのを簡単に述べると、こう言うことになる。


まずは、俺達に指示をし終わった聖夜は、眠くなることを防止する為に、コーヒーを取りに地上へ戻った。しかし、いるはずの女達の姿がなく、なぜか聖夜は、霊に連れ去られたと勘違いしたのだ。しかも、霊に宣戦布告までした時に玄関の扉が開いた為、驚いて、とっさにあんな行動をとったらしいのだ。その話を聞いた時、聖夜は笑うなと言っていたが、俺は笑ってしまった。神羅なんか、腹を抱えて思い切り笑っている。


そんな俺達を、聖夜は恨めしそうな顔をして見ていた。


「笑うなって言っただろうが!」


「悪い悪い。でもよー、まさか、お前がそんな霊とかに怯えるなんて、おっかしくってよ!」


「霊じゃない!お化けだ!!」


聖夜がそう怒鳴ると、神羅はさらに笑った。俺も、本当は凄く可笑しかったが、これ以上笑うのは可哀想だと思い、何とか唇を噛んで笑いを堪えた。


「全く、どうして僕が恥をかかなきゃいけないんだ!そもそも、僕は裏口から入って来いって言ったのに、お前達が正面から入って来るから驚いたんだぞ!」


「ああ、それはな、裏側回ったんだけどよ、鍵がかかってたから、仕方なくあっちに回って来たんだよ」


「そうだったのか・・・・それはちょっと悪い事をしたな。と言うことで、お互い様と言うことにしうよう」


「なんでそうなるんだ!」


「もういい。この話はやめだ!そもそも、お化けの仕業じゃなかったら、あいつらはどこに行ったって言うんだよ?ここに残ってろって言ったのに・・・・」


「確かに、それは問題だな。あいつは、結構物分りのいい方の女だと思うが・・・・」

「もしかしたら、堕天使に連れ去られたとか?」

「そんな趣味があるのか?」


「うーん、わからない!でも、堕天使が盗むのは、物だけではないのは事実だ。今までに、何回か、女子供がさらわれたことがある。まぁ、いずれも、水斗が助け出して、今は家族と一緒に暮らしてるけどな」


「・・・・って言うことはなんだ?三人ともさらわれたってことか?」

「たぶん、そう考えるのが妥当だと思うけど・・・・」


「おいおい、ちょっと待ってくれよ。もしかしたら、ただ出かけてるだけかもしれないだろ?」


「まぁ・・・・そうだな」


神羅の言葉に、聖夜はうなずいた。確かに、神羅の言うように考える方が妥当かもしれない。しかし、聖夜の話を聞いている限り、堕天使に誘拐されたと言うことも考えられるのだ。


「とりあえず、僕はコーヒーが飲みたい。神羅、作ってくれ」

「えっ!?俺かよ?」

「俺も頼む」

「俺、あくまで護衛としてるんで、召使じゃないんですけど・・・・」


俺は、そんな神羅の言葉を無視すると、聖夜とリビングにある椅子に座った。あくまで、神羅を無視してだ。


「・・・・ちぇっ」


神羅が舌打ちするのが聞こえるが、それも無視。そして俺は、神羅と話していて不思議に思った、あの「レイアウト」と言うものの件について聖夜に聞いてみることにした。


「なぁ、ちょっといいか?」

「ん?なんだ?」

「このヘッドセットマイクについているカメラの機能あるだろ?」


「うん。そうだな。って言うか、よく見つけたな。あの機能、遊びでつけたから、結構奥の方にしまってあったのに・・・・」


その言葉を聞いて、俺は一瞬黙り込んだ。遊びでつけたと言う割りには、かなりの懲り様だった。ズームの倍率とか、いろんな種類のフレームとかもあって、ある意味、下手なカメラよりも高性能かもしれないと思ったほどだ。それなのに、あれは遊びでつけたものだったなんて・・・・。


「まぁ、あれを見つけたのは神羅だ。で、まぁ、俺が聞きたいのは、レイアウトって項目だ。あれ、一体なんなんだ?」


「なんなんだと言われても・・・・あれは、遊びと言う領域でもなく、その時のノリでつけた機能のようなものだからな、正直よく覚えてないな・・・・」


「ほら、これで満足だろ!」


神羅はそう言ったかと思うと、ドンッとテーブルにコーヒーの入ったコップを置いた。


「悪いな」

「そう思うなら、俺にやらせないで下さいよ~」


「じゃあ、そう思わない」


「そうじゃなくて!」

「・・・・」


俺達がそんなやり取りをしている間、聖夜はずっとコーヒーを睨んでいた。そんな聖夜に俺が気づいて、ジッと聖夜の方を見ていると、俺の視線に気づいたのか、聖夜は慌ててコーヒーを睨むのをやめると、笑った。


「なっ、なんだ。どうした?」

「コーヒーなんか睨んでどうしたんだ?」


「いや・・・・、うむ。なんでもない。いただくぞ」

「ん、ありがたく飲めよ!」


神羅に言われ、聖夜はそっぽを向いたが、神羅は怒らなかった。と言うか、もう、怒る余力すらなくなってしまっているのかもしれない。


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