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想造世界  作者: 玲音
第五章 新しい出会い
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見えない敵が一番怖いですよね

「ふぅ・・・・とりあえずは大丈夫だな」


僕はため息をつくと、椅子の背もたれに寄りかかり、大きく伸びをした。水斗に指示も出したし、後は、修達が帰って来るのを待つだけだ。


そう思うと気が抜けて来て、どっと疲れが出て来る。今まで神経を張り詰めていた分、色々と辛い。実を言うと、昨日は全然眠れなかったのだ。


と言うのは、別に、楽しかったからとかって言う訳じゃない・・・・とは言い切れないかもしれない。それほど楽しくて、僕は、眠ってしまって、その気持ちを薄れさせるのが嫌だったんだ。だって、あいつ、凄く眠そうだったし、僕と遊んでてつまらなさそうだったし・・・・。


そう考えると、僕は楽しいかもしれないけど、あいつは楽しくないかもしれないって思う。そう思うのが嫌だから、あんな態度を取ってのだが・・・・。


「やめた!これ以上考えたって無駄なことだからな」


自分の考えを振り払うように首を振ると、僕は、これ以上眠くならないようにコーヒーでも飲もうと思って、地下室から水斗の部屋に出た。しかし、家の中が妙に静かなことが気になって、僕は、誰かいないのかと探してみる。しかし、家の中には誰もいなくて、自然と背筋が冷たくなる。


その不安を拭うように階段を駆け上ると、二階の部屋も見て回ったが、誰の姿も見えなかった。


僕は、大きく深呼吸をすると、慌てて首を振り、家中の電気をつける。そして、テレビまでつけると、リビングの椅子に座った。


これで大丈夫なはずだ。これで、僕の身の安全は守られる・・・・はずだ。


そうは思うものの、何だか怖くなって来た・・・・じゃない。えーっと、あれだ。何だか家の中に誰もいないのは気持ち悪いので、飲み物を持って、さっさと地下に行こうと思った。


急いで冷蔵庫を開けると、コーヒーがないか探すけれど、コーヒーが見つからないから、仕方なくオレンジジュースをコップに入れると、テレビも消さずに走って水斗の部屋に入ると、急いで地下に行こうとするけれど、なぜか、蓋が開かないのだ。


僕は、必死で開けようとするけれど、下から誰かが押さえつけているかのように、蓋はビクとも動かなくて、僕は首を振った。嫌な考えを放り捨てる為にも。


その時、リビングの方で、僅かにだが、カタッと言う音がして、僕は慌ててそちらの方を振り返る。でも、何も倒れた形跡がないから、僕は耳を塞ぐと、大声で叫んでやった。


「ぼっ、僕は、お前なんか怖くないぞ!そんなに怖がらせようとしたって無駄だからな!」


僕がそう叫ぶと、笑われたような気がした。それが嫌で、僕は、テレビの音量を大きくした。その時、僕は電源を切るボタンを押していないと言うのに、テレビの電源が切れたのだ。僕は、今度こそ、本気で怖くなって来て、修に電話することにした。


しばらくの間、通信を繋げているザーッと言う音がするけれど、やがて、通信不可と言う文字が画面に表示された。


その文字を見て、僕は絶望した。目に見えない相手と戦うなんて、無謀なことだろう。でも、僕の選択肢は、これしか残っていなかった。


「・・・・僕は、負けないぞ!おびえさせて楽しんでた罰だと思って、素直に受け入れろよ!」


僕がそう言った直後、突然玄関の扉が開いた為、僕は、ポケットに入っていた銃を取り出すと、十発撃った。それから、高密度で煙を凝縮した球を地面に投げつけると、自分は口を覆い、伏せた。


すると、玄関の方で、咳き込む声が聞こえる。僕は、その間に急いで水斗の部屋に入ると、地下へと向かおうとしたけれど、やっぱり蓋が開かなくて、悪戦苦闘している時、玄関の方にいた奴等がこっちの方にやって来るのが見えて、僕は、とっさに水斗のベットの下に滑り込んだ。


僕は、絶対に見つかっちゃいけないのだ。だって、見つかったら、友美達みたいにどこかにさらわれてしまうかもしれないから・・・・。


そう思っていた時、足音がして、奴が部屋に入って来るのがわかった。僕は、息を止めると、出来るだけ身を縮めて、目を瞑った。どうか、気づかれませんようにって願うばかりだ。


「聖夜、こんなところで何やってるんだ?」


そう声をかけられて、慌てて目を明ける。そして、不思議そうにこちらを覗いている修の顔を見て、僕は、違う意味でここから出られなくなってしまった。


「関係ない!」


「お前がこっちに来いって言ったんだろ?それなのに、家の鍵があいてるからおかしいと思ったら、急に弾が飛んで来るかと思ったら、急に煙が出てくるし・・・・一体なんなんだ?」


「・・・・」


僕がずっと黙っていると、修はため息をついたかと思ったら、僕の腕を引っ張って、無理矢理ベットの下から引きずり出した。


「で、なんでこんなところにいた?」

「・・・・そんなこと、言える訳ない」

「ダメだ。俺達にまで迷惑をかけたんだ。恥ずかしくても言う義務がある」


修の言葉も最もな為、僕は、仕方なく観念することにした。


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