やっぱり、仲間はずれは嫌なんです!
「あれ?」
「えーっと・・・・」
「なんでいないの?」
「うーん?」
私と玲菜ちゃんは、あれから直ぐに一階に下りて来たんだけど、みんなの姿がどこにもないのだ。
「さっき、一階に下りるって言ってたよね?」
「うん・・・・どこにいるんだろう?」
「お兄ちゃんの部屋かな?」
「うーん?」
私達は、有澤君の部屋に行くけれど、みんなはどこにもいなくて、おかしいなって思った。そして、玄関に行って靴があるか確かめると、伊織君と神羅さんの靴がなかったから、外に出て行ったのはわかった。でも、有澤君と聖夜君の靴はある。それなら、二人はどこに行ったんだろう?
「お兄ちゃんと葉月君の靴はあるね?」
「うん・・・・どこに行っちゃったんだろう・・・・やっぱり、諦めるしかないんじゃないかな?」
「やだよ!私、一回だけでいいから、エンジェルや堕天使に会ってみたいもん!」
「わっ、私も一度でいいから会ってみたいって気持ちはあるけど・・・・。でも、みんながどこに行ったのかわからない以上、あんまり動けないんじゃ・・・・」
「とりあえず、外に出てみたらどう?」
突然後ろから声をかけられてとても驚いたけれど、篠崎さんまでもが肯定的だったことに驚いた。
「いいの!?」
「ええ。私も、エンジェルのことをもっと知りたいしね」
「お兄ちゃんがエンジェルのファンだから?」
玲菜ちゃんがニコニコしながら言うと、篠崎さんは慌てて首を振った。
「ちっ、違うわよ!別に、あいつがエンジェルのファンだから知りたいんじゃなくて、個人的に気になるだけよ!」
「そっかそっか!」
「その顔は何よ?」
「お姉ちゃんもついて来る?」
「・・・・」
「まぁ、嫌なら別にいいけど!友美お姉ちゃん、行こう!」
「うっ、うん・・・・」
玲菜ちゃんに腕を引かれて、私も靴を履く。篠崎さんはと言うと、腕組みをしてそっぽを向いているけれど、私達の様子が気になるようで、何だかソワソワしてる。
「あっ、あのさ、篠崎さん、一緒に行こうよ?」
「いい!」
「おっ、お願い!」
「なっ、なんで、あなたがそこまでお願いするのよ?」
「うーん、来て欲しいから?」
「・・・・そこまで言うなら、付き合ってあげてもいいわよ」
「やった!」
私が喜んでいると、隣にいた玲菜ちゃんが小声で聞いて来た。
「お姉ちゃん、なんであんなことを言ったの?」
「だって・・・・行きたいのに我慢するなんてよくないなって思って・・・・」
「優しいね!」
「そっ、そうかな?」
「ねえ、靴履いたなら、早く外に出てくれる?靴履けないから」
「わかったよ~だ!お姉ちゃん、行こう!」
「うっ、うん」
再び、玲菜ちゃんに腕を引かれて、外に出る。本当は、聖夜君の誕生日パーティーは十時に終わる予定だったから、おじいちゃんおばあちゃんには十時に帰ると言ってあったんだけど、もう十時はとっくに過ぎてると思う。
だから、心配をかけないように電話をしたいんだけど、二人はあんなことを言ってたから、邪魔しちゃいけないかなと思って、躊躇っているうちに、こんな時間になってしまったのだ。
「でも、どこに行ったのかな?」
「よく思い出してみなよ、葉月君が言った言葉」
「うーん・・・・あ!?」
「噴水広場の近くにある展望台に行くって・・・・」
「そう。あまりの大声だから、下にいた私にも聞こえて来たわ」
「じゃあ、行こうか!」
「うん!」
篠崎さんのおかげで伊織君達がどこに向かったかわかった為、私達は急いで噴水広場の近くにある展望台に向かった。