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想造世界  作者: 玲音
第五章 新しい出会い
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中々頑張る子です

「どこにいる?」

「うーん、あそこ辺りにいるんじゃない?」


「勘か?」

「まあね」


相変わらず勘を頼りにしている水斗にため息をつきながらも、水斗が差した方向に歩いて行く。すると、面白い事に、聖夜達を見つけることが出来た。


「ほら、僕の勘は当たるだろ?」

「まぁ・・・・な」


「信じたくなくても、事実だからね」


「わかったって」

「よし、来たな」


聖夜はそう満足そうにうなずくと、女の方を向き、こそこそと何かを耳打ちしている。


「お前、今までどこに行ってたんだよ?」

「すまねぇ、族長。ちょっと、凛に言われたことを考えてたんだ」


「凛に言われたこと?」


「まぁ・・・・言われたんだ。でも、もう大丈夫だ!」

「は?」


俺は、なんだかよくわからなくて、首をかしげるばかりだったが、もう大丈夫だと言っている訳だし、別にいいかと思うようにする。


「まぁ、そう言うなら、別にいいか」


「そうそう。それより、これから何をするんですかい?こいつ、全然教えてくれなくてよ、族長にしか懐かなねぇんだもん」


「これから俺達は、盗まれた宝石を取り返しに行く」

「なるほどな・・・・で、その隣にいるのは誰だ?」

「ああ、こいつは・・・・」


俺が、変人怪盗と言おうとするのがわかったのか、俺の言葉を遮るように水斗が自己紹介を始めた。


「俺は、有澤瑞人。お前の族長さんのクラスメートだ。よろしく!」

「おう、よろしく!」


神羅と水斗は互いに握手をした後、何だか楽しそうに雑談を始めた。どうやら、二人は気が合うらしい。神羅は凛とも気が合うんだ。凛に似ている水斗とも気が合うんだろうな・・・・。


俺がそんなことを思いながら立っていると、後ろから肩を叩かれた。誰かと思って振り返ってみると、俺に時間を教えてくれた奴だった。


「聖夜なら見つかったぞ、あそこにいる」


「そうですか・・・・それはよかったです。聖夜様にもしものことがあったら、我々は、生きていられませんから・・・・それなら早速、パーティーの挨拶を・・・・」


そいつはそう言うと、聖夜の方に歩いて行こうとした為、俺は、そいつの腕を摑んで引き止める。


「それはダメだ。俺達はこれから、出かけなくちゃいけない。だから、挨拶なんかしてる暇はない」


「しかし、それでは・・・・」


そいつがそう言った時、俺達の会話が聞こえていたのか、聖夜はこっちにやって来ると、ため息をついた。


「僕は、挨拶なんかくだらないことをしない。僕は忙しいんだ。行くぞ!」

「あっ、お待ち下さい、聖夜様!」


聖夜は神羅の腕を。俺は、水斗の腕を引っ張って走り出した。追いかけて来ないかもしれないけれど、うるさくああだこうだと言われるのすら嫌なのだ。


「やっぱり似てるな」

「ん?」

「僕の気持ちがわかってたみたいだなって思った」


「別に、お前の気持ちがわかったからじゃない。俺も、うるさく言われるのが嫌いなだけだ」


「そんなこと言いながらよ、走り出すタイミング、まったく一緒だったぜ?」

「そうそう。凄いくらいにな」

「うるさい!」


俺は、水斗の足を踏みつけてやると、何とか会場の外に出た。


「全く、人が多いんだあそこは。お前、あんなに知り合いがいるんだな」

「僕の知り合いは、友美と修だけだ」


「じゃあ、他の奴等は?」


「あいつらは、機嫌をとりに来ただけだ」

「機嫌?」


俺がそう問いかけた時、後ろにあった扉が突然開き、扉の近くにいた俺は、扉に弾かれてバランスを崩し、床に倒れ込む。


「あっ、あの・・・・ごめんなさい!」

「・・・・」


俺は、声を聞くだけで誰なのかわかった。だから、ため息をつきながら立ち上がった。


「なんだ?」

「あっ、伊織君だったんだ・・・・ごめんね、突き飛ばした形になっちゃって・・・・」

「別にいい。で、何の用だ?」


「聖夜君から聞いたんだけどね、これから、あの堕天使から宝石を取り返しに行くんでしょ?もしよかったら、私も連れて行って欲しいの!」


「は?」


予想もしなかった申し出に、俺達は一斉にそんな声を漏らした。ただ一人を除いては・・・・。


「うん、それもいいかもしれない」

「は?」


「いや・・・・な、実は僕、頼まれてたんだ。宝石を守るようにな」

「ん?話が全く読めないぞ・・・・一体どう言うことだよ?」


「宝石を守るように頼まれていたから、僕は、誕生日パーティーをここでやりたいと言った。そして、あえて盗ませて、エンジェルのアジトを知る為に、発信機までつけておいた」


「それ・・・・誰から守るつもりだったんだよ?」


「怪盗エンジェルからな。だけど、堕天使に盗まれたんだ。まぁ、僕が言いたいのはこう言うことだ。盗まれた宝石には発信機をつけてある。だから、そんなに焦ることもないだろう」


「さっきは理由がないみたいなことを言ってたじゃないか」


「じゃあ、逆に聞くが、僕が理由を言ったところで、お前は宝石を捜すことを手伝ってくれたか?」


「・・・・」

「だから、僕は言わなかった。言っても無駄だってわかってたから」

「・・・・だからって、この女を連れて行くのか?」


俺がそう聞くと、聖夜は顔をしかめ、女の方を向くと、小声で何かを言っている。神羅は、聖夜が俺に懐いていると言っているが、こうやって見るに、俺なんかよりも、女の方によっぽど懐いていると思うけどな・・・・。


「とりあえず、パソコン上じゃ見えにくいから、水斗の家に行こう」

「えっ?水斗って?」

「ああ、俺ん家!じゃ、行こうぜ!」


「えっ、あの・・・・私は?」

「来るんだろ?」

「うっ、うん!」


元気にうなずく女を見て、俺はため息が出たが、仕方ないと思い、聖夜達の後をついて行った。


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