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想造世界  作者: 玲音
第五章 新しい出会い
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精神年齢と言う面では、同い年ぐらいです

「ここ、どこだ?」

「俺に聞くなよ!」

「しょうがないだろう。僕は子供だ。地図が読めない」


「でも、俺のことを引きずったのはお前だろうが!」

「お前のせいだ」

「なんで俺のせいなんだよ!」


俺は、凄く滅茶苦茶な聖夜に振り回されてばかりだった。こいつ、俺の言葉も無視して進んでいくくせに、迷ったら俺のせいだと言って来て・・・・生意気を通り越して、心底性格の悪い奴だと思った。こんな子供、生まれて初めて見たぞ。


「子供に付き添っている大人がしっかりしないといけないんだ。だけど、お前はボーッとして、僕にされるがままだった。少しは考えなくちゃいけない」


「お前・・・・」


俺は、短気な方ではない。しかし、こいつの態度には、いくら俺でも苛立ちを隠せなかった。助けてもらったと言うのに、その礼も言わないし、俺のことをお前呼ばわりする。そして何より、命令口調がムカつくんだ!


「命令口調はやめろよ!」

「修だってそうだろ?ならいいじゃないか」


「族長は別だ。年下だけど、優しいところもあるし、それに、族長だからな。でも、お前は、優しいところも何もない生意気な子供だ!」


「僕を子供って言うな!」

「さっきは、自分で子供って言ってたじゃんかよ」


「自分で子供って言う分には構わない。でも、お前に子供って言われるのだけは嫌だ。お前の方が、僕よりも明らかに子供だからな」


「なっ、何!?」


「そうやってすぐ怒鳴るところとか、子供そのままじゃないか。少しは冷静に考えられもしないのか」


「・・・・お前もよ、もっと可愛げのある子供になればいいと思うぜ?そうしたらよ、俺ももっと可愛がってやるのに」


「僕は別に、大人に媚を売るようなことはしたくないんだ。それに、お前に可愛がってもらわなくたって僕は構わない」


「くそ~~~!!」


減らず口を叩き続ける聖夜に、俺は心底ムカついていた。だってこいつ・・・・なんかもう、言い様のない怒りが・・・・。


俺は、聖夜のことを殴りそうになる自身の腕を必死に押さえつけると、ため息をついた。そして、こいつに大人の余裕って言うものを見せてやろうと思った。


「それじゃあ、俺が族長のところに案内してやろうか」

「・・・・どうした?そんなに満面の笑みを浮かべて・・・・。気持ち悪い奴だな」


その言葉に、俺は一瞬だけ眉をひそめるけれど、ため息と一緒に怒りを吐き出す。


「どんなことを言われても怒らないぞ」


「・・・・そうか。なら、是非案内してくれ。今まで僕がリードしたんだ。今度はお前の番だからな」


「それじゃあ、とりあえず、エレベーターに乗るか」

「エレベーター?まだ、この階の部屋を探してないじゃないか」


「護衛をしてるとな、相手がどこにいるのかとかわかるんだよ」


「・・・・ふーん、器用な奴だな」

「・・・・」


聖夜にそう言われて、俺は、大人気ないとわかっていながらも、笑みを堪える事が出来なかった。散々ぱら貶されて来たのだが、今、少しだけ、ほんの少しだけ褒められたのだ。満足しようぜ!


なんだか変な感じになっているけれど、そこは気にしないでくれ。こいつと一緒にいるのはすげー大変だからな、きっと精神が崩れて来てんだ。


「でっ、何回に行くんだ?」

「うーん、二十階」


俺がそう言うと、聖夜がボタンを押し、エレベーターが動き出す。実を言うと、族長のいる正確な階数なんてわからないのだ。さっき言ったことは嘘ではないけれど、それはかなり大まかなことで、何階にいるかとか、そんな細かいことまではわからないのだ。


「・・・・まぁ、あまり期待しないでおいてあげるよ」

「なんか、その言い方ムカつくなぁ・・・・」

「大丈夫だ」

「・・・・何が?」


「僕は、修と違うからな。もし違っても、殴ることはないだろう」

「・・・・ふーん」

「その変わりに蹴るから」

「おいっ!」


俺がそう言った時、丁度エレベーターの扉が開き、聖夜は面白そうなものを見るような目で俺を見た。そして、声を殺して笑いながらエレベーターを降りる。


俺は、どうして聖夜が笑っているのかわからないけれど、あまりいい気分ではない。聖夜に笑われると、どうも馬鹿にされているような気がしてならないのだ。


「まぁ、そんな細かいことは気にするな。さて、この中に入ろう」

「・・・・なんだかんだ言って、お前が仕切ってんじゃんかよ」


「僕も、似た者同士、修のことはわかるんだ。だから、ここにいる予感がする」

「・・・・ふーん」


そう言われて、なんだか俺はつまらなくなった。別に、何かあった訳じゃないけど、なんか・・・・つまらない。


「そんな顔をするな。僕だって、ただの子供じゃない。昔は色々やってたんだからな」

「色々?」

「気にしなくていいんだ。さぁ、入るぞ」


俺は、何だか腑に落ちないけれど、聖夜の言葉を信じてみようかなと思った。


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