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想造世界  作者: 玲音
第五章 新しい出会い
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ある意味、妖怪よりも強いかもしれません

「あれ?桜木君はどうしたんだい?」

「置いてきた」

「えっ?!置いてきたって・・・・堕天使を探すの手伝ってもらうんじゃなかったの?」


「まぁ、あまり細かいことは気にするな。それよりも、早く聖夜を探すぞ。後、残り四十分しかない」


「ええっ!?マジですか!」

「嘘を言ってどうする?」


「・・・・うーん、ちょっと、会場にでも戻ろうか」

「は?なんでだよ?」


水斗があまりにも真剣な顔で言う為、何か重大な何かがあるのかもしれないと思い、こちらも真剣に問いかける。


「寒いからさ!」

「・・・・もう一度聞く。なんで、会場の中に入ろうって言ったんだ?」

「だから、寒いんだって!」


俺は、再び返って来たどうでもいい答えに、とても重いため息をついた。


「どうしたんだい?そんなに重いため息をついてさ?」

「・・・・うるさい。そんなに温かい会場に入りたいなら、今直ぐ一人で入って来い!」


怒りが頂点に達し、ヘラヘラと笑っている水斗の背中を蹴ってやった。本当は、廊下に転がって起き上がれないでいる水斗のことをさらに蹴ってやりたかったが、さっきは結構本気に強い力で蹴ってしまった為、今では、怒りよりも、大丈夫だろうかと言う心配の念が大きくなって来た。


「・・・・大丈夫かよ?」

「全く、君のせいだってことがわかってないのかい?」


「・・・・お前が悪いんだ」


「それでも、謝るのが礼儀ってものじゃないのかい?」

「・・・・」


そんな生意気なことを言っているものの、本当に背中が痛そうな為、俺は、謝ることにした。


「悪かったよ」

「・・・・ふぅ」


「ん?」


「さぁ、行こうか!」

「・・・・」


俺は、笑顔で手を差し伸べて来る水斗のことを思い切り睨む。さっきは思い切り痛そうだったのに、今は、そんな様子さえ見せない。と言うことは、あれは演技だったのだ。俺に謝らせる為の演技だったんだ・・・・。


そう思うと、何だか無償にイラついて来て、今度は歩けなくなるぐらい本気で蹴ってやろうかと思った。しかし、そんな俺の心が読めたのか、水斗が引きつった笑顔を浮かべた。


「いやぁ・・・・痛かったよ?ほんと。死にそうだったもん」

「嘘つくな。もう、騙されないぞ」


「本当だって!抵抗したのにこんなに痛いんだから、本気で蹴られたら、僕、死んじゃうって」


「・・・・抵抗?お前、素直に蹴られてじゃないか。潔い奴だなって思ってたのに」

「潔いって・・・・さっきの君の目を見たら、誰だって動けなくなるさ」


「そうなのか?」


「そうそう。もうさ、本気で殺されるかと思ったからね」

「・・・・」


首をかしげて考える。確かに、あの時はかなりイラついていた。しかし、そこまで本気の目をしていたのか・・・・。


「そうか。本気の目か・・・・」

「そうそう。ほら、早く会場に行くよ!」

「じゃないだろう!早く聖夜を探すんだよ!それに、抵抗ってなんだよ!」


「別に、怒る事ないんじゃないかな・・・・。まぁ、いいや。さっきの言った抵抗って言うのはさ、空気抵抗のことを言ったんだよ」


「・・・・は?」


「だから、僕はね、空気を自在に操ることが出来るんだよ。だから、僕の周りの空気だけを無重力にすることが可能なんだ。さっき言った抵抗って言うのは、僕自身が抵抗をするんじゃなくて、空気を操って、出来るだけ自分に負荷がかからないようにしたんだ」


「・・・・器用な奴だな」

「うん。君はそんなこと出来ないでしょう?」

「人が褒めてやった途端図に乗るんだからな。調子乗るな」


今度は、蹴りはしないものの、思い切り叩こうとした。すると、俺の手は水斗に触れる前に、何かに弾かれて、思わず転んでしまいそうになる。


「なっ、なんだ!?」


「これが、僕の言っていたこと。普通なら、そうやって空気に弾き返されるはずなのに、君の蹴りはそれを貫通して来ちゃったんだからさ、正直、君の力の強さには驚いてるよ」


「・・・・お前も、随分力があるじゃないか」

「さぁさぁ、ツンデレ君、早く温かい会場へ入ろう。僕はもう凍えてしまいそうだよ」

「・・・・今度ツンデレ君って言ったら、本気で蹴り飛ばすからな」


俺がそう言うと、水斗は苦笑いを浮かべ、着替えを済ませると、会場の中に入って行く。俺はと言うと、水斗にはあんなことを言ったが、どうしていいのかわからず、とりあえずは会場の中に入って行く。


「なんだ、どうせお前も来るんじゃないか!」

「うるさい・・・・俺だけ外にいるなんてごめんだからな」


「ちぇっ、全く、なんだって言うんだよ・・・・」

「何か言ったか?」


「あっ、いえ!なんでもないですよっと!」

「ふん」


ため息をつきながら、ふと横を向いた時、桜木と女の姿を見つけて、俺はとっさに後ずさった。その時、水斗の足を踏んでしまったようで、水斗が抗議の声をあげた。


「いったいな!何やってんだよ!」


「うるさい。あいつらの姿を見かけたんだよ。あんな風において来たのに、ここにいることがバレたら大変なことになるんだよ!」


「あいつらって、桜木君のこと?」

「ああ。あいつがどうかしたのか?」


「いやな、ちょっと聞きたいことがあったんだ。どこにいたんだ?」


「ん?あっちだぞ」

「じゃあ、ちょっと待っててくれよ」


水斗はそう言うと、桜木達の方に歩いて行ってしまった為、仕方なく、隅においてあった椅子に座ると、ため息をついた。


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