表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
想造世界  作者: 玲音
第五章 新しい出会い
249/591

やっぱり、子供にはみんな優しいようです

「はぁ・・・・みんな、浮かれ過ぎだっての」


ため息交じりに呟く。凛も明日夏も族長も、みんなしてクリスマスだぁ~!って叫んで楽しんでいる。


「俺は、凛の言葉に色々考えさせられてるって言うのによ・・・・」


再びため息をつく。そうだ。昨日、凛に言われた言葉・・・・。それが忘れられなくて、ずっとこんな感じなのだ。


そんな風にうじうじしている自分が情けなくて嫌になって来るし、凛の言葉も最もな為、自分ひとりでイライラしているのだ。


何度めかのため息をついた時、ふと後ろから気配を感じ、警戒しながら振り返ると、銀髪の妖怪がいた。


「お前は確か、珀って言ったか?」


「・・・・まあな。なんでこんなとこにいんだよ、お前。聖夜のパーティーに行かないのか?」


「あんまり好きじゃないんだ。そう言うの」


「そうなのか、気が合うな。俺も、そう言うパーティーとかゴタゴタしたのが嫌いでよ、水樹達も参加してるみてーだけど、俺はここで待ってることにしたんだ」


「そうか・・・・。お前も、水樹の護衛みたいなものか?」

「なんでだよ」

「だって、いっつも一緒にいるみたいなことを竜が言ってたからさ」


俺が、「竜」と言う言葉を発すると、途端に珀の機嫌が悪くなった。よっぽど仲が悪いと伺える。


「あいつの言葉はな、全部嘘だ。まぁ、水樹といっつもいるのは事実だけどよ」

「それじゃ・・・・全部が嘘とは言えないんじゃないか・・・・」


俺は、ボソッとツッコミをいれたけれど、聞こえないように、ちゃんと配慮はした。だってこいつ、かなり短気で、怒らせるとめんどくさそうだったからよ。


「と言うことはなんだ?今、俺達がいるこの建物の中に、族長達がいるってことか?」

「みたいだな」

「・・・・なぁ、お前、友達っているか?」


俺がゆっくりと聞くと、珀はため息をついた。きっと、皮肉と取ったのかもしれない。


「別に、そんなのいなくていいんだよ。俺は、水樹を友達だと思ってる。それでいい。お前だって、あのモデルみたいな奴と友達なんだろ?なら、それでいいんだ」


「・・・・なるほどな。わかった」

「は?」


「ん?いや、なんでもないぜ、よしっ、ちょっと族長達のところに行ってみるぜ。ありがとな」


「別に、お礼を言われるようなことはしてねーけどよ、とりあえず、どーも」


俺は、不思議そうな顔をしている珀を置いて、建物の中に入ることにした。パーティーとかは好きじゃないけれど、ちょっと、行ってみようかなと言う気になったのだ。


しかし、どこに族長達がいるのかわからなくて、色んな部屋を覗いていた時だった。ある部屋で、物音が聞こえたのだ。


「ん?」


俺は、閉めようとしていたドアを再び開けて、部屋の中を覗き込む。部屋の中は、倉庫か何からしくて明かりがついていない。しかし、確かに物音が聞こえたのだ。


「誰かいるのか?」


俺がそう問いかけると、部屋のどこかで物を蹴るような音が聞こえて、この部屋に誰かがいるのかもしれないと言うことがわかり、部屋の中に入って行くと、金髪の子供が、手と足、それから口を塞がれて転がっていた。俺が慌ててそいつを助けると、そいつは大きくため息をついた。


「ふぅ、助かった。どうして僕の居場所がわかったんだ?堕天使は、僕が隠れている場所は絶対に見つからないって言ってたのに・・・・」


「はぁ?堕天使?意味わからないんだけど・・・・どういうことだよ、それ?」


俺が聞くと、そいつは俺のことをジーッと見て来て、人違いだと思ったのか首を振った。


「すまない、僕はてっきり、修だと思ったから・・・・」

「修って・・・・族長のことか?ってことは、お前は聖夜って言ったっけ?」

「そうだ。よく覚えてたな。それより、どうして僕の居場所がわかったんだよ!」


「えっ、そりゃ、適当に部屋を覗いてたら、物音が聞こえたってことでよ、そんな難しいことはしてねぇよ?」


「そうか・・・・。とりあえず、修達のところに僕を連れてってくれ。勝負に負けちゃうからな」


「・・・・?」


俺は、全く話がわからないから、思い切り首をかしげるけれど、聖夜に思い切り蹴られて、仕方なく立ち上がる。こいつ、中々暴力的だ。そこも、族長そっくりだぜ。


「そう言われてもよ、俺だって、族長のことを探しててお前を見つけたんだぜ?」

「と言うことはなんだ?お前は、修の居場所がわからないってことか?」


「まあな」

「全く、役に立たない奴だな」


聖夜のその一言に、俺は本気でカチンと来た。そして、族長が妙に疲れていた理由がわかった。こいつの生意気ぶりに長い時間付き合ってたんだ。そりゃ、疲れるかもしれない。


「お前、それを言って、族長に殴られなかったか?」

「あいつに殴られたことはない。その変わり、でこピンされたぞ」

「・・・・族長でも、やっぱり子供には優しいんだな」


「うるさい!僕は子供じゃない!いつまでも子供扱いするな!それに、でこピンだって、結構痛いんだぞ!」


そうやってムキになって言い切る聖夜は、まだまだ子供に見える。しかし、本人は子供と言われるのは嫌なのか・・・・。でも、子供は子供だろ?何が嫌なんだ?


「まぁ、お前の無礼な言葉はとりあえずおいといて、どうしてそんなに慌ててるんだよ?」


「これだ!」


聖夜は、いそいそと紙を取り出すと、俺に見せて来た。そこには、「人質は返す。その代わり、宝石は頂いて行く。残念だったな、エンジェル」と書いてあった。


「エンジェルってなんだ?」

「とにかく、修達にこの事態を伝えて、宝石を取り戻してもらわなくちゃいけない!」


「・・・・意味がわからない」

「とりあえず、探しに行くぞ!」


聖夜はそれだけ言うと、子供とはとても思えないほど強力な力で俺を引っ張って行った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ