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想造世界  作者: 玲音
第五章 新しい出会い
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相性の悪い二人です

「それにしても、あの石村って子、可愛いね」

「はぁ?」


「教室にいる時にも見かけたけど、やっぱり思ったし」


「・・・・だからなんだ?」

「君も、結構驚いてたじゃないか、石村さんの変身ぶりに♪」


そう水斗に言われて、俺は、ゆっくりと水斗の方を向いた。・・・・こいつ、俺達のやりとりをずっと監視してたのか?


「お前・・・・俺達のやり取りを見てたのか?」

「まぁ~ね。でもまぁ、別にいいじゃないか。中々の慌てっぷりで、面白かったしね」


そう言ってウインクして来る水斗の足を思い切り蹴ってやり、俺は、窓の外を見た。パーティーが始まってから結構経ったが、あいつら何をしてるんだろうか・・・・。


凛はきっと、竜の家でハンバーグ食いたいとか言ってるんだろう。あいつ、暇さえあればハンバーグって言うからな。桜木は、多分、そんな凛の暴走を止めてたりするんだろうな・・・・。栞奈は・・・・。


そう考えた時、ふと、学校で栞奈と約束をしていたことを思い出し、俺は、慌てて時計を確認する。時計は、既に七時半を回っており、俺は、一瞬どうしようかと思ったが、電話をして謝ってから、今日はいけないと言うことを伝えようと思った。


俺が栞奈のケータイに電話をかけようとしていると、水斗が俺の様子に気づき、凛と同じような表情をした。言わずとしれている、悪魔の微笑みだ。


「おっ、彼女とのデートをすっぽかすなんて、随分最低な人だね」


「・・・・うるさい。お前は少し黙ってろ。電話口にお前の声が入ったら、色々面倒なことになるからな」


「面倒って、何かな?」

「・・・・俺の恋人って思われたいか?」


俺がそう言ってやると、水斗は小さく息を吸い、無言で首を振って静かになった。


そんな様子を見ながら俺はため息をつくと、栞奈に電話をかける。しかし、何度かけても栞奈が電話に出ない為、留守電をいれることにした。


「もうしゃべっていいぞ」

「ふぅ・・・・危ない間違いをされるところだった・・・・」


「本気にするな。俺だってごめんだからな」

「もしかして、さっきのは、僕を黙らせる為の口実だったのかい?」


俺が黙ってうなずくと、水斗はムッとした表情になって抗議を始めた。


「なっ、本気にしたから、僕は息すらも止めてたのに・・・・」

「バカ正直は、過ぎれば大変なことになるぞ」


「・・・・ひねくれも、過ぎれば恨まれると思うよ?」

「なるほどな、そう言うこと言うなら・・・・」


俺がそう言いかけた時、コツンと言う音がして、上から紙らしきものが降って来た。


「おっ、堕天使から手紙が来たようだね・・・・何々?『そちらがあまりにも遅い為、タイムリミットを設けることにした。こちらとて、暇じゃないのでな。

タイムリミットは十時。丁度パーティーが終わると同時にタイムリミットだ。なお、葉月聖夜はこの建物内にいるぞ。もし、タイムリミット以内に彼のいる場所にたどり着けたなら、君達の勝ちとしよう』なるほどね・・・・ふんふん」


「お前は、その堕天使とか言う奴のことを少なからず知ってるんだろ?なら、何か思い当たる節はないのか?」


「うーん」


水斗は、意味ありげに考え込んだが、即座に答えた。


「ない」

「・・・・じゃあ、考える真似なんて馬鹿げたことはするなよ・・・・」


「しかしだね、このホテル内だと言うことがわかったんだから、それだけで十分じゃないか。それで、どこから捜すんだい?」


「とりあえず、このホテル内のことを詳しく知ることが必要だ」


「なるほどね、このホテル内の構図を把握する必要がある訳だね。そう言うことなら任せてよ」


「まぁ、一パーセントだけ期待しておいてやる」


俺はそう言うと、ぶつくさ文句を言っている水斗を置いて、とりあえず、二十三階を目指す。確か、そこに、このホテル内の構図や施設案内が書いてあった気がするのだ。


「馬鹿にしてもらっちゃ困るよ?これでも僕は、記憶力には自信があるんだよ?」


「それならテストをしてやろう。これから、俺は三桁の数字を何個か言うから、その全てを足して、合計数を答えろ」


「・・・・まぁ、何だか気に食わないけど、計算のスピードを求められてる訳じゃないんだよね、それならいいよ」


水斗がそう言ったのを聞くと、俺は、直ぐに適当な数字を言った。


「333、429、181、572、957、526、756」


俺は、自分で言った数字を全て足して、いくつになるのかを計算した。答えは、3754。そう答えれば、水斗は正しい。


こいつは最初、計算のスピードを求められてる訳じゃないとか何とか言っていたから、計算は苦手なのかと思って、気長に待っていようと思っていたら、結構な速さで答えが返って来た。


「3754!」

「・・・・正解」


「ほらごらん。僕の記憶力、結構いいだろう?」

「・・・・それぐらいなら、俺でも出来るけどな」


「そんな減らず口ばかり言う暇があるんだったら、早く連れて行って欲しいんだけどな・・・・」


「お前も、皮肉ばかり言ってないで、静かにしてくれよ」


俺は、ぶつくさうるさい水斗にため息をついた。しかし、中々記憶力はいいようだ。記憶力の面だけだったら、期待してやってもいいかもしれないな・・・・。


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