まさかの無駄足でした・・・・
「全く、突然あんなことされたら、誰でも驚くに決まってるだろ?」
「それはそうだけどね、君なら理解出来ると思ったんだ」
「は?俺には、こんな柵から飛び降りようとする奴の気持ちなんかわからないけどな」
「じゃあ、お見せしよう」
水斗はそう言ったかと思うと、再び柵の上に立ち、今度は俺が止める間もなく飛び降りた。俺は、慌てて柵に駆け寄って助けようとしたが、その必要はなかったみたいだ。
なぜなら、水斗は落下することもなく、空中を自由に歩いていたのだ。
「・・・・どう言うことだ?」
「これが、僕の能力。空気を操ることが出来るんだ。その為、僕はどこから飛び降りようが、落ちることがない。まぁ、通常の空気に戻したら落ちるけど」
そう言ったかと思うと、今まで落ちて行かなかった水斗の体が下に向かって落ちて行く為、柵から落ちそうになりながら下を見下ろしたが、直ぐに俺の目の前の位置まで上って来た。
「・・・・変な奴だな」
「でも、役に立つ能力だろ?この能力のおかげで、どれだけ怪盗の仕事をやりやすいかと言ったら・・・・」
「そんなことはどうでもいいんだ。で、お前は何を知ってるんだ?詳しく教えろ」
俺が詰め寄って言うと、水斗は小さく息を吐き、肩をすくめると、くるりと身を翻して柵の内側・・・・俺が立っている安全な場所に着地した。
「まずは、どうして聖夜君が誘拐されたことを知ってるのかってこと。それは、ダークエンジェル直々に教えてもらったことだから」
「その、ダークエンジェルって誰なんだ?」
「うーん、僕も、あいつの正体までは知らないんだ。ただ、なぜかしらないけど、僕に恨みを持っているみたいで、よくこう言う悪質ないたずらをしかけて来るんだ。奴の見た目は僕の着ている服とほぼ同じ。ただ、色が白色じゃなくて真っ黒なんだ。そして、悪質な盗みなどをする為、世間からはダークエンジェル・・・・堕天使って呼ばれてる」
「・・・・お前はなんて呼ばれてるんだ?」
俺が聞くと、水斗は、よくぞ聞いてくれました!とばかりに話し出した。
「僕は、世間からエンジェルって呼ばれてる。そう呼ばれる由来は、天使みたいだからだそうで・・・・。あんまり詳しくは知らないけど、白いマントを翻しながら宙を歩く姿が天使に見えたからだそうで・・・・。でも、僕は別に、自分が天使だなんて思ってないんだけど・・・・」
水斗はそんなどうでもいいことを、ひたすらぺちゃくちゃとしゃべり出してしまった為、俺は、途中で言葉を切ることにした。
「俺の元に届いた手紙にはエンジェルと一緒に捜せと書いてあった。お前の話しからすると、エンジェルって言うのは天使とかそう言う意味ではなく、そのままの意味で、お前と捜せってことなのか?」
「多分、そう言うことになるね」
「・・・・そうなのか」
その事実を知って、会場内を歩き回って手がかりを探していた自分が馬鹿らしく思えて、ため息が漏れる。まさか、こいつがエンジェルだったなんて・・・・。
「そんなに落胆しないでよ。僕がエンジェルって呼ばれてることを知らなかったんだから、仕方ないって言っちゃ仕方ないよね」
「・・・・とりあえず、お前は、聖夜を捜すことを手伝ってくれるんだな?」
「もちろん!怪盗エンジェルは、悪事を放っておくような奴じゃあないからね」
「・・・・じゃあ、捜すか」
「了解」
俺は、水斗のことがどうも苦手なのだが、性格面を抜けば頼りになることは確かだろう。そう思いながらも、何だか疲れるクリスマスになりそうだなと感じた。