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想造世界  作者: 玲音
第五章 新しい出会い
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クリスマスをどう過ごすかは人それぞれであって、こうしなくちゃいけないと言う縛りはありません。

「こっ、これでどうかな?」

「はい、バッチリですよ、栞奈さん!」

「これなら、どんな男の子だって振り向くはずです!」

「そっ、そんな・・・・ちょっと言い過ぎだよ~」


言葉ではそう言うものの、褒められて凄く嬉しかった。今は、六時四十五分。デートに来て行く服の最終確認をしてたんだ。


六時五十分にここを出ないと駅前広場に間に合わないから、後五分でここを出なくちゃいけない。


「本当ですよ、栞奈さん、凄く綺麗です!」

「ありがとう」


「幼馴染の男の子って言うのは、いつもと違う雰囲気の彼女にドキッとするんですっ!ギャップを狙えますよ!」


「う、うん・・・・」


そう言われて、私は全身が映る鏡の方をチラッと見た。そこに映ってる私は、いつもの子供っぽい私じゃなくて、一歳か二歳ぐらい大人に見える。多分それは、いつもしないメイクのおかげだと思う。


妖怪は普通、化粧やメイクの類をしないから、人間界に来て、メイクと言うものを知った時は凄く驚いた。それと同時に、一度でいいから、私もメイクをしてみたいなと思ったんだ。


そのことを鈴香と悠里さんに言ったら、二人でメイクをしてくれたんだ。


「二人とも、本当にありがとね。ここまで綺麗になったのは、二人のおかげだと思う」

「そんなの気にしないで下さい!私は、ただ栞奈さんを応援したかっただけなので」


「鈴香様の言うとおりです!それに、メイクのことだって、ほとんど手なんか加えてませんよ。ちょっとファンデーション塗ったりアイシャドーつけたりしただけでこんなに綺麗になれちゃうんですから、栞奈さん自身がとても可愛いんですよ!」


「うん、ありがとう」


二人は、ドキドキしてる私の緊張をほぐすようにそう言ってくれる。けれど、やっぱり、ドキドキは納まらない。今まで、何回か亜修羅と出かけたことはあったけど、デートって言うのは初めてだからかもしれない。


「あっ、栞奈さん、そろそろ五十分ですよ!そろそろ出た方がいいんじゃないですか?」

「そうなの!?それじゃあ、行かなきゃ!」


私は、慌てて、自分の履いて来た靴を履こうとするけれど、悠里さんに止められた。


「栞奈さん、その格好をしてるのに、普通の靴で行くつもりですか?」

「えっ?だって、この靴じゃないと、歩きにくいんだけど・・・・」

「そうだとは思いますけど、修さんの為だと思って、頑張って下さい!」


そう言われたかと思うと、悠里さんから、かかとの部分の高い靴を渡された。それを見た第一印象は、とてもかかとが高くて、歩きにくそうだなってことだ。


「これを履くの?」

「はい、栞奈さんの持ってる靴だと、ちょっと合わないので、これならいいかな?と」

「うーん、かかとが高いね」

「こう言うのは、あまり好きじゃないですか?」


悠里さんがそう聞いた時、奥の方から鈴香の声がして、五十分になったと教えてくれた。


「それじゃあ、これ、貸してもらうね!」


私は、悠里さんの差し出してくれたかかとの高い靴を履くと、よろよろしながら鈴香の家を出た。









「あ~ぁ、今頃、栞奈ちゃん達はデートなのかな?」

「うーん、そうなんじゃねぇか?」


「はぁ・・・・僕も行きたかったなぁ」

「デートか?」


「デートって言うか、遊びに行く予定だったんだよ、今日。でも、向こうの用事が出来ちゃったみたいでさ、なくなっちゃった」


「ふーん、相手は女の子か?」

「うん」

「どこに行くつもりだったんだ?」


「えっとね・・・・商店街で色々買ったり、ゲームセンター行って遊んだり、ケーキ屋さんでケーキ食べたり、駅前広場のイルミネーションを見に行く予定だったんだよ」


「・・・・それ、女の子が決めたことか?」

「うーん、商店街とゲームセンターとケーキ屋さん以外は、女の子の方から言ってた」


僕の言葉に、竜君が小さく何かを呟いた。あんまりよく聞こえなかったけど、多分「それ、イルミネーション以外じゃねぇか」だった気がする。


「もしかしてその子、お前をデートに誘ったつもりなんじゃねぇか?」

「デート?」

「ああ」


「そんなことないって!遊びだよ、遊び!」

「お前にとっちゃ、デートも遊びなのな・・・・」

「へっ!?」


竜君の呟きに、僕は、大きな声で問い返したけれど、なんでもないと言うような答えが帰って来たから、気にしないことにする。


「なんと言うか・・・・その子が不憫だと言うかなんと言うか・・・・」

「なんだかさ、竜君、勘違いしてるみたいだけど、デートなんかじゃないよ?」

「まぁ、別にいいや。さて、そろそろ飯の準備でもするか!」


そう言って椅子から立ち上がった竜君は、真っ直ぐキッチンに向かって行って、冷蔵庫を開ける。


「そう言えば、水樹君達はどこに行ったのかな?」

「ああ、あいつらな・・・・うーん、誰かとデートでもしてんじゃねぇか?」


「そっか・・・・。うん、クリスマスはカップルの日だね!」

「おう。あっ・・・・」


竜君はそう言ったかと思うと、僕の方を向いた。


「さっき、ハンバーグを食いてぇって言ってたよな?」

「うん、それがどうしたの?」


「材料足りないからよ、ちょっと買いに行ってくれないか?」


「別にいいけど・・・・何を買いに行けばいいの?」

「えーっと、今メモ書くから待ってな」


竜君はそう言うと、スラスラとメモを書いて、僕に渡してくれた。


「じゃあ、頼むぜ!」

「うん」


僕は、お金と材料を入れる袋を持つと、メモを片手にクリスマスの町を歩き出した。


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