頼りになるのは、心強い味方です
「栞奈さん、やけにご機嫌ですけど、どうしたんですか?」
「えっ?う~ん、何でもないよ!」
「鈴香様、きっと、あれでございますよ、あれ!」
「えっ?あれ?」
「ああっ、言わないで!」
「ふふふっ、クリスマスと言ったら、あれしかないじゃないですか!ねぇ、栞奈さん?」
「もっ、もう!」
私は、恥ずかしさで顔が真っ赤になるのを感じた。亜修羅達は、水樹君の家に泊まってるみたいだけど、私は、仲良くなった鈴香の家に泊めてもらってるんだ。
「あっ、もしかして栞奈さん、デートですか!?」
「うっ、うん・・・・」
私がうなずくと、悠里さんと鈴香は二人で顔を見合わせると、キャーッと声を合わせた。それを聞いて、私は余計に恥ずかしくなって来て、ソファに置いてあるクッションで顔をうずめる。
「お相手はどなたですか!?」
「えっ、それは・・・・」
「あっ、もしかして、亜修羅さんですか??」
鈴香にそう言われて、私はクッションに顔をうずめたまま、うなずいた。すると、いまいちピンと来ていない悠里さんに、鈴香が、コソコソと話している。
「なっ、そんなにかっこいいんですか!?修さんは!!」
「えっ、う・・・・うん。そうだと思うよ・・・・?」
「そうなんですか・・・・・。私も、いつかそんなかっこいい人と出会える時が来るといいんだけどな・・・・」
そう言いながら、悠里さんがため息をつく。
あっ、そう言えば、まだ、悠里さんのことを話してなかったよね。悠里さんって言うのは、鈴香の家のメイドさんで、私達と年が近いからかわからないけど、話しのよく合うメイドさんのことだ。
「でも、悠里さんだって綺麗なんだから、きっと、素敵な人が現れてくれると思いますよ!そっ、それに、これは、デートと認識していいのかわからないですし・・・・」
私の言葉に、今までテンションの高かった二人が、不思議そうな顔をして私の方を向いた。
「どうして?」
「私ね、修とは幼馴染なんだけど、いつも、修の目に私は映ってなくて・・・・。だから、今回OKしてくれたのも、デートって認識がないからかもしれないからさ・・・・」
「・・・・片思いは、弱気になっちゃダメですよ、どんなことがあってもポジティブに行きましょう!でなきゃ、片思いで相手を思い続けるのは、とても苦しいことなので!」
「・・・・鈴香、もしかして、好きな人いるの?」
「えっ!?」
私の言葉に、今まで熱弁をしていた鈴香の顔が真っ赤になって、その勢いが失われる。
「図星なんだ~、ねぇねぇ、誰々?私、知ってる人?」
「えっ、それは、その・・・・」
モジモジしている鈴香に詰め寄ると、悠里さんが教えてくれた。
「鈴香様は、水樹様が好きなんですよね?」
「きゃーっ、言っちゃダメ!」
鈴香は、なんとか悠里さんの言葉を止めようとしたけど、ワンテンポ遅くて、今は、クッションに顔をうずめている。
「えっと・・・・水樹君って、あの可愛い子?」
「はい!とても可愛らしい方ですよ!」
「なるほどねぇ~、鈴香のタイプって、ああ言う子なんだぁ~!」
「もっ、もう言わないで下さいっ!そっ、それよりも、デートに行くんです。どうせなら、おしゃれして行きましょう?」
「えっ、えっ??」
「悠里、あの部屋に行くわよ!」
「はい、わかりました!あの部屋ですね!鍵取って来ます!」
私は、訳もわからないまま、鈴香に腕を引かれて、ある部屋の前に連れて来られた。
「何々?どこに連れて行くつもりなの??」
「せっかくのデートなんですから、おしゃれしましょう!だから・・・・」
鈴香がそう言った時、向こうの方から悠里さんが走って来て、硬く閉ざされた扉の鍵を開けて、中へ促してくれた。
私は、何が起こってるのかわからなくて、戸惑いながら中に入ってみて、とても驚いた。だって、かなり広い部屋の中に、沢山の洋服がズラーッと並んでたんだ。
「えっ、これは・・・・?」
「デートに来て行く服、この中から好きなのを選んでいいですよ!」
「えっ!?」
「遠慮しないで下さい!私は、栞奈さんの味方ですから!」
「あっ、ありがとう!」
私は、圧倒的な服の多さに気圧されそうになりながらも、鈴香に心からのお礼を言った。
「私も応援してますよ!」
「悠里さんもありがとう。うん、なんだか、勇気が出て来た!」
「それならよかったです。それじゃ、早速服選びをしましょう!」
鈴香はそう言うと、私の腕を引いて、沢山の洋服の中に入って行った。