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想造世界  作者: 玲音
第五章 新しい出会い
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心を読める人の前では、ツンデレは通用しません

「そう言えば、水樹君や琥珀君は何やってるの?」

「うーん、あいつらのことだから、どうせ遊びに行ってるんじゃねぇか?」

「いつもそうなの?」


「まあな・・・・あいつら、いっつも一緒にいるからな」

「なるほど・・・・」


「まぁ、もうそろそろ暗くなるし、帰ってる頃だとは思うぜ。水樹達に何か用でもあるのか?」


「ううん。今日は休みのはずなのに、見かけないなって思ったからさ」


「まぁ、あいつら、いっつもどっかに行ってるからな。家で大人しくしてるってことの方が珍しいぜ」


「そうなんだ・・・・」


まるで、僕達みたいだなと思いながら竜君の話しを聞く。僕らも、結構外にいることが多いからさ。・・・・って、こんなこと言うと、亜修羅に、「お前に引きずられるから仕方ないんだ!」とか言われちゃいそうだな・・・・。


「修って・・・・ツンデレなんだな」


「ええ、そうです!とてつもないほどのツンデレなんです!前に比べれば、大分言葉はキツくなくなったけど、時々グサッと来るんですよね・・・・」


「でもまぁ、デレがあるだけいいじゃねぇか。俺ん家には、デレもないただのツンツンがいるからよ、羨ましいぜ」


「えっ・・・・誰?」


「琥珀のことだぜ。あいつ、俺が凄くよくしてやってるのによ、つっかかってばっかりで、水樹にしか懐かねぇんだ。ムカつくぜ」


「懐くって、犬みたいじゃん!」

「いいんだ!まぁ、あいつは犬じゃねぇけど、そんな細けぇことは気にしないぜ!」


「確かに、色々考えたらめんどくさいもんね」

「だろ?」


そんなことを話しながら歩いていると、いつの間にか竜君の家に到着していてびっくりした。前を見ないで歩いてたから、よく人とぶつからなかったものだと思うよ。


竜君に鍵をあけてもらって家の中に入ると、朝出て来た時よりも、靴が一個多いことに気づいた。もしかしたら、誰かお客さんが来ているのかもしれない。


「ん?この靴、修のじゃねぇか」

「えっ!?靴でわかるの?」


「まあな。俺、人の心も読めるけど、物の心も読めるんだ。まぁ、今の場合は、物の記憶を見たんだけどな。そんで、修のだってわかった」


「なるほどっ!・・・・と言うことは、ここに来てるんだね!」


亜修羅が来てると思うと、なんだかテンションが上がってきて、走ってリビングの中に入って行く。すると、リビングの椅子に座って、陽君達と話をしていた亜修羅が、うるさそうにこっちを向いた。


「おい、お前が迷惑をかけてないか見に来たのに、早速迷惑かけてるみたいだな」

「何さ、そんなに意地張っちゃって!本当は会いに来てくれたんでしょ!」


「は?なんで会いに来なくちゃならないんだよ?」

「寂しくなったんでしょ?」


僕がそう言うと、亜修羅はなぜか赤くなって反論して来た。なんで赤くなるのかわからないけど、きっと、寂しいとか言われて、恥ずかしくなったんだろうね。


「ばっ、馬鹿!俺が寂しい訳ないだろう!」

「そんなに慌てなくても大丈夫なのですよ~!僕にはわかってますから!!」


「お前は・・・・!!聖夜以上にめんどくさい奴だな!」


「ふふん、僕は、別にめんどくさいって思ってないからいいもんね~」

「全く、口の減らない奴だ。もういい、俺は帰る!」


亜修羅は本気で怒ってしまったのか、コートを持ってリビングから出て行こうとしたけれど、後から入って来た竜君に腕を摑まれて、リビングに連れ戻されてしまった。


「何するんだ!」


「何って、これからみんなでケーキを食うんだぞ、あっ、修は甘いのは苦手か・・・・。じゃあ、コーヒーでも一杯どうだ?」


「・・・・わかったよ」


竜君の言葉に負けたのか、亜修羅はため息をつきながら椅子に座った。少々からかい過ぎたようだ。でも、仕方がないじゃないか!久しぶりに会えて・・・・と言っても、まだ、三日も経ってない程なんだけど、いつも一緒にいる人がいないと、やっぱり寂しくなっちゃうよね?


きっと、亜修羅もそう感じてるんだろうと思ってからかってみたけれど、そう思ってたのは僕だけみたいだ。


「全く・・・・俺は、休憩しにここに来たのに、まるで意味がないじゃないか」

「そんなに怒らないでよ、僕が悪かったからさ!」

「・・・・別に、もう怒ってない。めんどくさいからな」


「ちょっ、それどう言う意味ですかー!なんか、その言葉ムカつくんだけど!」

「それが、俺の気持ちだ」

「ううーーーっ」


僕は、何かと突っかかって来る亜修羅に不満を抱いた。いつもも、そこまでノリがいい方ではないけど、ここまで悪くはない。なんだか変な気持ちがする。


「・・・・もしかして、何かあった?」

「は?」

「いや、だってさ、なんだか変だからさ・・・・」

「気のせいじゃないのか?」


本人はそう言うけれど、僕はどうも納得出来ず、裏の手を使うことにした。


「ねぇ竜君、亜修羅、なんて思ってるのさ?」

「ん?」


「なんだか亜修羅の様子が変だからさ、ちょっと教えてよ」

「んー」


竜君はそう言ってしばらく黙り込んだ後、急に笑った。その笑いに亜修羅が気づいてこっちを向いて来るから、僕は慌てて話しを逸らして、小声で聞いてみる。


「どうして笑ったのさ?」

「まぁ、凛と同じってことだよ」

「・・・・どう言うこと?」


「まぁ、本人はああは言ってるものの、凛に会いたがってたってことだな。まさに、ツンデレだ」


「ほうほう・・・・」


そう言われて、亜修羅の様子がおかしい訳がわかった。


「なるほどねぇ・・・・、うん、満足だよ!」

「は?お前、頭でもおかしくしたのか?」

「いいえ!亜修羅がツンデレだと改め感じただけでございます~!」

「・・・・ふぅ」


亜修羅は、なんだか意味ありげにため息をつくと、僕の隣に座っている竜君を睨んだ。


「お前が言ったんだな?」

「おっ、俺が何を言ったって言うんだ?」

「・・・・これから、覚悟しておけよ」


亜修羅はそれだけ言うと、不敵な笑みを浮かべて立ち上がった。


「あれ?修さん、どこに行くの?」

「もう帰る。休憩は終わりだ」


「そっ、そうなんだ・・・・」

「頑張ってね!」


僕がそう言うと、亜修羅は、なぜか僕の頭を小突いて来た。どうしてかはわからないけど、とりあえず、プラスに考えよう。


「じゃあ、俺は帰るが、竜には迷惑かけるなよ」

「うっ・・・・」


「大丈夫だぜ、修。お前が厳しい分、俺は甘やかすことに決めたからな!」


「・・・・はぁ、子供にはしつけが必要なんだが・・・・まぁ、いいか。せいぜい、俺がいない間、竜に可愛がってもらえよ」


亜修羅はそう言うと、微笑を浮かべながら出て行った。なんだか、本当に保護者みたいで、僕は内心びっくりしてる。


「・・・・ツンデレだな」

「そうだね、とことんツンデレだね」


「でもまぁ、ああは言ったけど、全部を許す訳じゃないからな!」


「・・・・はい」

「でないと、俺が修に怒られるからな」


竜君はそう言って僕の頭をポンポンと叩くと、リビングに入って行った。


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