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想造世界  作者: 玲音
第五章 新しい出会い
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その理由は・・・・?

「・・・・そ、そんなに落ち込むなよ」


「あっ、そうだ!まだ、質問の途中だったよ。僕のもう一つの質問は、どうして子供達にプレゼントを配ってたの?条件を満たした子供ってどう言うこと?」


話しを変えようと僕がそう聞くと、竜君はしばらく悩んでいた。よく考えてみると、竜君は僕と同い年で、世間的にはまだ子供と見られている年齢だ。それなに、町中の子供達にプレゼントを配ったりとか、どうしてやってるのか・・・・と言うか、どうやってそのお金を得ているのとか、沢山の疑問があったんだ。


「じゃあ、まずは、どうして子供達にプレゼントを配っているかの答えだ。それはずばり、『子供はみんな、幸せになる資格があるから』だ」


「・・・・へ?」


僕は、竜君の言葉が理解出来なくて、変な声しか出せなかった。「子供はみんな、幸せになる資格がある」ってどう言う意味だろう?それに、子供って言うのは、竜君も一緒な気がするんだけどな・・・・。


「そんで、プレゼントを配った子供達に共通していた条件は、クリスマスと言う日に、家で一人取り残された子供。理由はともあれ、クリスマスの日ぐらい、子供達を幸せにしてやりたいだろ?まぁ、俺がプレゼントを配ることは大して意味ないって言っちゃないんだけどな、少しは嬉しい気持ちになるかなと思っただけだ。だから、毎年やってんだ」


「まっ、毎年っ!?」


僕は、椅子から転げ落ちそうになるところをギリギリで堪えた。クリスマスに一人でいる子供は少なくないと思う。それに、プレゼント一つにしても結構な値段すると思うし・・・・。


「頼まれてやってる訳じゃないんだよね?」

「まあな。当然、プレゼント代を要求する訳でもなし。俺が勝手にやってることだしな」


「でも、なんでそんなに・・・・お金だって結構かかるだろうしさ」


「・・・・まぁ、色々あるんだよ。でもまぁ、さっき言ったとおり、子供は幸せになる資格がある。だから俺は、自分が得をしなくてもプレゼントを配る。成長したら、必ずみんな苦しむんだ。だからせめて、子供の頃だけは幸せに過ごして欲しいんだよ」


竜君はそう言ってため息をつくと、近くにあったリモコンでテレビをつけた。


僕は、何だか不思議な気持ちになった。今の言葉は、子供の言うような言葉じゃない。大人が言うような言葉だとおもう。それなのに竜君は、なんでこんな年でそんなことを・・・・?


「まぁ、あんまり考えなくてもいいことだぜ?そんなこと」

「えっ、あっ、うん・・・・」


僕はそう言って、テレビの方に目を向ける。すると、ニュースをやっていて、小学生の子供を両親が虐待をして逮捕されたと言う報道だった。


「・・・・だから嫌いなんだ。大人なんて、ろくな奴がいない・・・・」


僕は、竜君がそうつぶやくのが聞こえて、慌ててそちら振り返った。その時の竜君は、いつもの竜君と違って、とても冷たい雰囲気が漂っていた。見ていることも躊躇われるほどのもので、話しかけることなんて、絶対に出来なかった。


そんな僕の気持ちを察したのか、竜君が不思議そうな顔をしてこちらを見て来た。


「なんだよ?」

「えっ、あっ、いや、さっき・・・・」


「さっき?なんのこと言ってるんだよ、さっぱりわかんねぇや。まぁ、とにかく、今日はそろそろ寝た方がいいぞ。もう遅いしな」


「うん、わかった」


僕は、ケーキの箱を綺麗に閉めると、両手に手を合わせてお辞儀をした。


「何やってんだ?」


「えっ?何もやってないよ。ただ、『美味しく頂きました』ってお礼を言ってるだけなんだ」


僕がそう言うと、竜君は一回目を丸くした後、笑ってくれた。その時の顔は、いつもの竜君に戻っていて、なんだか訳がわからないけど、とりあえず、いつも通りに戻ってくれたみたいで、とても嬉しかった。


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