時には気を休めることも大事なのです
走って外に行くと、番長はあまり進んだところにいなくて、直ぐに追いついた。
「あのっ、待って!」
「・・・・ん?」
番長が振り返って僕の方を見る。そして、不思議そうな顔をした。多分、自分の名前を知っていながら、追いかけて来た人がいないから、不思議に思ったのかもしれない。
「あのね、僕、妖怪なんだ!」
「・・・・は?」
「言葉だけ言われてもわからないかもしれないけど、僕は妖怪なんだ。その中でも、かなり強い種族の族長をやってるんだ!だから、恭介君と一緒なんだよっ!」
「・・・・意味がわからない」
恭介君は、そう言って歩き出そうとしたけど、僕は慌ててそれを引き止めた。
「ちょっと待って!ほら!!」
「なっ、なんだよ・・・・」
「殴って来ていいよっ!」
「は?」
「だから、殴って来ていいってば。証明してみせるよ、僕が妖怪だって」
「怪我するぞ」
「じゃあ・・・・ちょっとついて来て」
僕はそう言うと、空き地に向かって歩き出す。そこの木なら、倒してもいいかなって思ったんだ。恭介君は、訳がわからないと言う顔をしたけど、とりあえず付いて来る。
「よしっ、ここまで来たら、大丈夫かな?」
「何をするつもりだ?」
「今から、この木を倒してあげるよ」
「・・・・馬鹿だろ、お前・・・・」
「馬鹿じゃないよ、これくらいの木なら、普通に倒せるよ!」
「・・・・こんな太いのを倒せたら、俺でも引く」
僕は、そう言われてなんとも言えない気持ちになったけど、大きく息を吐いた。引かれちゃっても仕方ないよね、こんなに大きな木だし・・・・。
そう言って僕が見上げた木は、大人二人ぐらいが手を広げて届くくらい幹の太い木だ。木を粗末にしちゃダメだけど、ここは勘弁して欲しい。
「じゃ、見ててね」
「・・・・怪我してもしらないからな」
「大丈夫だよ」
僕はそう言うと、一発蹴りを入れた。すると、木がグラグラと揺れて、やがてバタンと倒れた。本当は、パンチでも出来るんだけど、蹴りの方が、いいような気がしたんだ。
「ねっ、これでわかってくれた?」
僕がそう言って振り返ると、恭介君の顔は引きつっていて、今までに見たことのない表情だった。それを見て、少し悲しくなるけれど、自分でやったんだから仕方ない。
「君よりも強い人は、この世の中に沢山いるんだ。だから、そんな風に気を使わなくてもいいんだよ。僕なんか、君よりもよっぽど強いのに、誰のことも気にしてない。だから、君も何も気にしなくていい。みんな、嫌だったら自分達から逃げていくからさ。自分から身を消す必要はないよ」
「・・・・」
「みんな、君の表の顔・・・・高徳中の番長としての君しかしらない。だから、怖がるのも無理はない。でも、君の裏の顔・・・・本当は優しくて、人に気を使っている君を知れば、きっとみんな、君を怖がらない。でも、そう言うのって、中々表に出すのって大変だよね。だから、怖がられちゃうこともあると思う。でも、それを君は気にしなくていいんだよ」
「・・・・そんなこと、出来ない」
「僕の友達でね、恭介君みたいな子がいるんだけど、その子も結構周りの子から怖がられてるんだよ。だけど、その子は周りのことは気にしない。そんな子がいるんだから、恭介君だっていいんだよ。でもまぁ、直ぐに変われなんて言わないよ?僕がいいたいのは、自分がいなくならなくちゃって思わなくていいんだよってことだけだからさ。じゃあ、僕はそろそろ水樹君家に戻るよ」
僕はそう言うと、家までの道のりを歩き出した。その途中、雪が降って来て、ホワイトクリスマスだ・・・・とか思いながら、僕は、歩き出した。