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想造世界  作者: 玲音
第五章 新しい出会い
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本当の天才は、案外近くにいる可能性がある

しばらく沈黙が続くと、突然サンシャインの二人が立ち上がって、サングラスを付け始めた。


「そろそろ僕達は帰るよ。夕方だし、それに、今日はクリスマスイブでしょ?だから、これからパーティーがあるんだ」


「そうなんだ・・・・。あっ、でも、僕に用事があって来たんじゃなかったの?」


「ああ、別に大したことじゃないんだよ。気にしないで。それじゃ、僕らは行くね。丘本君、桜木君、伊織君、羅門君、これからよろしくね」


陽君はそう言うと、さっさとリビングを出て行ってしまった。何だか、テレビに出てるような凄い人に名前を呼んでもらえるなんて、そうそうない経験だろうなと思って、僕はとても嬉しかった。


あっ、そうそう。神羅の人間名は、「羅門神慈」って言うんだよ。神羅が即興で決めた名前みたい。最初は僕も驚いたけどさ、なんとなく、神羅らしいよね?


「僕はどうしようかな・・・・」


「月野君は、まだここにいればいいんじゃないかな?多分、竜兄ちゃんの様子だと、これからパーティーやるみたいだしさ、みんなでやろうよ!」


「・・・・うん、そうだね。じゃあ、僕はもうしばらくお邪魔してるよ」

「聖夜、お前はどうすんだよ?」


「僕は、ワイワイはしゃぐのはあんまり好きじゃないから帰ろうと思うけど、家の方がうるさいから、帰らない」


「なるほどな・・・・。おっ、そうだ。水樹達に言い忘れてたことがあんだよ」


竜さんはそう言うと、今まで黙っていた亜修羅と神羅を立ち上がらせて、こう言った。


「これから、俺達の家に住むことになった二人だ。よろしくしてやってくれ」


「えっ!?あっ、ちょっと待って!」

「ん?どうした水樹?何か不満か?」


「いや、不満じゃないんだけど、この二人も、僕達の家にいちゃダメかな?話によると、みんなで一緒に住んでたらしいんだ。だから、この子達も家がないんだけど・・・・いい?」


「おお、別にいいぞ。人は、多い方が楽しいからな」


竜さんはそれだけ言うと、さっさとキッチンに戻ってしまった。


僕は、なんだか信じられないような気持ちだ。あんなにも簡単に泊まることをOKしてもらえるとは思ってなかったんだ。


「ほっ、本当にいいんですか?」


思わず聞いてしまった。あっさりし過ぎて、何か裏があるんじゃないかと思うほどだったからだ。


「なんだよ、嫌か?」


「いえ、そう言う訳じゃないんですけど、四人も上がりこんじゃったら迷惑かなって思って・・・・」


「別に、そんなに気を使わなくていいんだぜ?この家にゃ、気なんか使わない奴がゴロゴロいるからな。例えば、そこに突っ立ってる銀髪とかよ」


「なっ、てめぇ、お前の方が後からこの家に来た事わかってんのか?俺の方が先にここの住人になったんだぞ!ふざけんな!」


「へいへい、食事等を用意してもらってるお前が、どの口でそれを言うか」


竜さんの発言に、珀君は思わず口ごもる。どうやら、竜さんは言葉の争いが得意らしい。


あれ?そう言えば、あんまり気にしてなかったけど、竜さんの卒業校って、城地学園って言ってたような・・・・。


それを思いだして、僕は体が震えるのを感じた。青山学園も結構頭のいい学校だけど、城地学園とは比べ物にならない。


城地学園と言うのは、全国で一番偏差値の高い学校で、全国から沢山人が集って来るけど、一つの県から一人しか入学出来ない為、県内一位を取れないと入れない学校。生まれつきに天才と言われ続けた子でしか入学はままならない。多分、クラスでいつも一番の秀才君程度じゃ、入学出来ないぐらいの競争率だ。そして、この学校の特徴は、半端じゃないほど高い偏差値と競争率の他に特徴がある。それは何かと言うと、この学校は年齢を問わず、勉強が出来れば入学が可能な為、新入生は高校生から小学生と幅広い層がいるのでも有名だ。


そんな凄い学校の卒業生だって!?


僕は、とてもじゃないけど信じられなくて、マジマジと竜さんの方を見ていた。すると、僕の心に気がついたかのように、竜さんはうなずいた。


「ああ、そうだぜ。一応、高三までの勉強は出来るんだ。もともと、俺はそんなところに入るつもりなかったんだけどよ、俺の母親の知り合いに教育委員会の奴がいて、そいつが俺に興味を持ったのが五歳の時。その時にテストされて、その時点で小四までの勉強がわかってたから、城地に入れさせられた。それが、城地に行ったきっかけ。


そんで、小六で高三までの内容を全て終わらせて、これからどうするのかって聞かれたから、俺はやめるって言ったんだ。本当は、大学の勉強も出来たけど、色々めんどそうだったから、高三まで勉強やったし、後は遊ぼうかなと思って、卒業したんだ」


僕は、もう何も言わない・・・・いや、何も言えなかった。小学六年生で高校三年生までの勉強を理解するなんて、普通・・・・いや、超人・・・・神童・・・・どう言えばいいのかすらわからないよ。


「と言うことは、滅茶苦茶頭いいってことじゃないですか!」


「まぁ、そうだな。城地は元々天才が通う学校だって言われてたけど、その中で一番早かったかもしれねぇって言われてっけど、あんまり実感ねぇな。それに、学校の勉強が出来たからって、それ全てが頭いいと言うことには繋がらない。そう考えた方がいいぜ?」


竜さんはそう言うけど、僕は、何も言えなかった。竜さん、僕の頭の悪さを知ったら、今の言葉をきっと撤回しますよ・・・・。


「僕は・・・・はぁ」


僕のため息を聞いてか、桜っちが僕のことを励ましてくれる。


「凛君、元気だして下さい!僕だって頭がよくないんです。上を見れば上がいるんですよ。だから、僕らは僕らなりに頑張って上を目指しましょう?」


「うっ、うん・・・・」


僕はなんとかうなずくと、深いため息をした。


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