類は友を呼ぶとは、本当のようです
「じゃあ、次は僕らが自己紹介をしよう」
そう言って立ち上がったのは、黒いスーツにサングラスの二人組み。どことなく怖い雰囲気をかもし出してた二人組みだけど、声を聞いて、案外僕らと年が近いことがわかった。
そして、二人がサングラスを取った時、僕は再び衝撃を受ける事になった。だって・・・・。
「えっと、僕は、麻倉陽。こっちは、僕の双子の弟、麻倉光。多分知ってるとは思うけど、サンシャインって言うアイドルユニットやってます」
その自己紹介をきいて、やっぱりだ!と思った。サングラスを外した途端にわかった。だって、二人は大人気のアイドルユニットで、多分、知らない人はいないだろうと言うほど人気の二人なのだ。それを知って、更に、水樹君の知り合いって凄いなと思った。人気モデルの竜崎君だけじゃなく、人気アイドルのサンシャインとも仲がいいなんて・・・・。
「えっと、僕らは双子なんですけど、それぞれ特殊能力が違って、僕の場合は魔法。光の場合はサイコキネシスが使えるんです」
陽君はそう言ったかと思うと、近くに偶々あった蝋燭を目の前に持って行った。すると、ボッと火がついたんだ。それには、僕は思わず歓声を上げそうになったけど、慌てて口を塞ぐ。誰もはしゃいでないから、恥ずかしくなったんだ。
「次は、僕が」
光君がそう言って立ち上がると、近くにあったクッションを浮き上がらせると、もてあそぶかのようにクッションを空中で動かしている。もちろん、手を振れずに。・・・・凄いなぁ。
「後は、ワープも出来ます」
そう言うと、急に陽君のとなりから消えて、キッチンの方にワープしたから、突然現れた光君に驚いたのか、竜さんの声が聞こえる。
「なっ、なにやってんだよっ!そんなに急に来られたら危ねぇじゃねぇか!指切るところだったぞ!」
「・・・すみません」
光君はボソッと言うと、再び陽君の隣に戻って来た。凄過ぎて、開いた口が塞がらない・・・・。
「以上で、僕らの自己紹介を終わります」
二人で同時に言った後、仲良く席に座った。やっぱり双子だから、合わせようとしなくてもやることが重なっちゃうのかもしれない。
残るは、金髪の男の子だけだけど、その子は、一人の世界に入ってるようで、パソコンから顔をあげない。
そんな男の子にしびれを切らしたのか、瑠憂君が自己紹介を始めた。
「僕は、水沢瑠憂。柏木小学校に通う小学四年生。僕は、特殊能力と言えるかわからないけど、運動神経が超いいですっ!どれくらいって言うと、百メートル十秒で走れますっ!と言っても、全力で測ったことないけど・・・・」
瑠憂君の言葉に、僕は驚いた。まさか、瑠憂君まで特殊能力を持っているなんて・・・・しかも、全力で走らないで百メートルを十秒で走れるなんて・・・・妖怪並だよ・・・・。
僕は、ただただ瑠憂君の方を見てはため息をついていた。それほど凄いんだ。そう言えば、特技は空手と剣道って言っていた気がする。と言うことは、喧嘩も滅茶苦茶強いってことかな?
「で、まぁ、僕はそんな感じで、ほら葉月!自己紹介しろよ!」
「やだ」
「なんでパソコンばっかりやってんだよ!この状況把握しろよ!」
瑠憂君の口調が突然変わったから驚いたけど、葉月君の態度も驚く。この子は多分、ミニサイズの亜修羅だと思うんだ。だから、中々人の言うこと聞かないような気がしてたけど、やっぱりそうだった。
「うるさいっ!」
葉月君がそう言ったかと思うと、突然瑠憂君の足元に穴が出来て、瑠憂君はそこに落ちていってしまった。
僕は、一瞬目を疑ったよ。だって、何もなかった場所に、突如として穴が出来たんだもん。そして、瑠憂君もその中に落ちてしまった。だけど、もう一回瞬きをすると、その穴は愚か、瑠憂君も元通りの場所に立ってたんだもん。目がおかしくなっちゃったんじゃないかと思って、思わず目を擦っちゃったよ。
「葉月、てめぇ、なにしやがんだっ!」
瑠憂君は、葉月君に摑みかかろうとしたけど、葉月君に近づいている途中で、さっきみたいな穴が出現して、その穴にまた瑠憂君が落ちてしまった。
「静かにしないのがいけないんだ。僕は今忙しい。邪魔するな」
葉月君はとても不機嫌そうな声で言うと、ナイフを取り出した。その途端、空気が張り詰めたけど、その雰囲気に気づいた竜兄ちゃんがナイフを奪った。
「おら、聖夜。人ん家でナイフ投げるのやめろっつったろ?」
「いや、前言われたのは、銃を撃つのをやめろって言われただけだ」
「どっちも同じだって。言うことを聞かないんだったら、そのパソコンのデータ、全部初期化しちまうぞ?」
「・・・・ごめんなさい」
葉月君が素直に謝ると、竜さんは満足そうにうなずいた。そして、慌ててキッチンの方に戻った。凄い、あんな暴走しそうな子を言葉一言で押さえちゃうなんて・・・・僕だったら到底無理かも・・・・。
「えっと、じゃあ、僕が自己紹介するね。この子は、瑠憂君の同級生の葉月聖夜君。家がお金持ちで、凄いんだよね。特殊能力は、今みたいに、幻覚を使うことが出来るんだ。後、戦闘能力も瑠憂君並で、ナイフや銃を使うんだけど、その命中率は百発百中なんだ」
「まぁ、昔は色々とやってたからな」
そう言ったかと思うと、突然聖夜君はパソコンの画面を見たまま、僕の方にナイフを投げて来た。僕は、とっさに避けようとしたけど、ナイフは僕のギリギリ横を掠めて壁に刺さりそうになった。けど、それよりも前に光君がクッションを移動させて、壁に刺さることを防いだ。でも、それも無駄だった。だって、壁にささる前に、ナイフが下に落ちたんだもん。
「竜にああ言われたんだ。傷なんか付けないさ」
聖夜君はパソコンをカタカタやりながら言った。それから、亜修羅と神羅が自己紹介をして、とりあえずこの場は納まったけど、僕の興奮は納まらなかった。
だって、ここにいる人達、下手な妖怪よりも強いと思う。そう思うと、なんとも言えない気持ちになって、興奮するんだ。人間でも特殊能力を持っている人がいて、妖怪よりも強いかもしれないと思える日が来るなんて・・・・。
僕はとりあえず、この興奮を抑える為に深呼吸をした。そして数分後。やっと落ち着くことが出来た。