同じ者達
「もしかして、竜崎君って妖怪なの?」
僕の問いに小学生組み二人がまずいと言うような顔をしたけど、
竜崎君は躊躇いもせずにうなずいた。
その潔さにびっくりしてしばらく言葉も出なかったけど、
僕は慌てて自分も妖怪であることを明かした。
向こうが妖怪だって教えてくれたんだから、
僕達も教える必要があると思ったんだ。
「えっと、実は竜崎君が言ったとおり僕は妖怪なんだ。
僕の隣にいるこの子は人間なんだけど
妖怪に精通していて互角に戦うことが出来るんだよ」
僕の説明にみんなはとても驚いたような顔をしたけど、急に安堵の表情になった。
竜崎君は妖怪ってわかったけど、小学生組みは普通の人間に見える。
そんな普通の人達にそんな表情をされたのは初めてだから
なんとも不思議な感覚がした。
「な?俺の読みは当たったじゃねぇか」
「そっ、そうだね。あっ、自己紹介しなくちゃいけませんね。
この子は、言わなくてもわかってると思うんですけど、竜崎琥珀。
それは人間名で、本名は珀って言うんです。
僕は、新見水樹。青山学園に通っている中学一年生です」
そう言われても、僕は信じられなかった。だって、水樹君はとっても小さいんだ。
多分、150cmないぐらいかもしれない。中学生だって信じられなかった。
そんな僕の思いが伝わったのか、水樹君が説明してくれた。
「信じられないとおもうんですけど、本当に中学一年生なんです。
ほら、青山学園って中高一貫だけど初等部はないじゃないですか。
そう言えば嘘じゃないって信じてくれますか?」
「そうだね。確かに、あそこは初等部はないもんね。うん、理解した!」
「そして僕は、水沢瑠憂!
柏木小学校に通ってる小学四年生っ!特技は、空手と剣道だよ!」
「そうなんだ・・・・。あっ、そうだ。僕らの自己紹介をしなくちゃね。
僕は、凛って言うのが本名なんだけど、人間名は丘本宗介。
桜道中学に通ってる中学三年生。
この子は桜木明日夏。僕と同じ中学校に通ってるクラスメート。
気軽に桜っちって呼んでよ!」
「あっ、えっと・・・・はい」
僕の言葉が腑に落ちなかったのか何かを言いかけたけど、
諦めたようにお辞儀をした。
「ところで、その荷物どうしたんですか?凄い大荷物ですけど・・・・」
そう聞かれて、僕は今までのことを全部話した。
妖怪が襲って来て家を壊してしまった。だから、帰る家がなくなってしまったことを。
すると、水樹君は少し考え込んだ後、まさかの発言をした。
「もしよかったら、その家が直るまで僕達の家に来ますか?」
「えっ!?」
突然の申し出に、僕は思わず変な声を上げてしまった。
それは桜っちも同じで信じられないと言う顔をしている。
普通はそうだよね。
いくら自己紹介をしたと言っても
まだ出会って数分の僕らを家に泊めようだなんて普通は考えないだろうし・・・・。
「えっと、嫌ならいいんですけど、とても大変そうなので・・・・」
「でも、お母さんとかいいの?」
「あっ、両親なら海外旅行中でいないので
家事をやってるのは僕のいとこのお兄ちゃん。
えっと、牧原竜って言うんですけど、その人がやってます。
だから、竜兄ちゃんがOKって言ったら大丈夫です」
「僕も、水樹兄ちゃんの家で暮らしてるんだよ!」
「そうなんだ・・・・」
そこまで言ってくれるなら、その好意に甘えたいなと思った。
でも、神羅や栞奈ちゃん、そして、亜修羅がなんと言うかが問題だ。
それに、人数的にも大丈夫なのかなと言う疑問にいたった。
「えっとね、一応僕ら、五人いるんだよ。・・・・大丈夫なの?」
「多分大丈夫だとは思うんですけど・・・・
とりあえず、こんなところで話すのもあれなんで、僕の家に来ませんか?」
「いいの?」
「はい。それじゃ、行きましょうか!」
そう言うと歩き出すものだから、
僕達はお言葉に甘えて水樹君達の家に上がらせてもらうことにした。