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想造世界  作者: 玲音
第五章 新しい出会い
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誰でも、余所行きの自分と素の自分が存在するはずです

「とりあえず、あの公園にでも入りましょうか」


「そうだね。結構色んなものを詰めて来たから

そろそろ重たくなって来たし・・・・」


「凛君が重く感じるなんて・・・・どれだけ持って来たんですか?」

「うーーーん、色々入れてたからなぁ・・・・あんまり覚えてないなぁ」


そんなことを話しながら児童公園に入る。

児童公園の中では小学生ぐらいの子が二人と、高校生ぐらいの子が一人いた。

さすがにクリスマスイブだから、みんな、公園になんか来ていないのかも。


僕達が入って来た途端高校生ぐらいの子が小学生の一人に話しかけた。

何を話してるのかわからないけど、

何だかコソコソと悪口を言っているような雰囲気だ。


「・・・・なんだか嫌な雰囲気だね」

「そうですね。僕達、移動した方がいいでしょうか?」


「うーん、多分これ、僕のせいだと思うんだよね」

「えっ?なんでですか?」


「ほら、この前騒ぎを起こしちゃったじゃない?

それで多分、テレビとか新聞に僕のことが載ってるからさ・・・・」


「あっ、そう言えば・・・・」


やっと思い出したかのように桜っちはポンと手を叩いたけど、

僕はなんだか申し訳ないような気持ちがして、ため息が漏れた。


「どうしたんですか?」


「えっ、だってさ、僕のせいであんな風にコソコソされて、

桜っちに嫌な思いをさせてるでしょ?それがなんだか申し訳なくて・・・・」


そうだ。僕は昔からこう言うことがよくあるから

人からあまり好かれるタイプじゃない。

生徒会長の時の僕は、演技をしてるから本当の僕じゃない。

だから人気者になれるのかもしれない。


本当の素の僕を知ったら、みんな逃げると思う。

面倒なことに巻き込まれたくないから。


「そんなの気にしないで下さいよ!こんなの、嫌な気持ちのうちに入りません。

言いたい奴には言わせておけばいいんですよっ!」


「ちょっ、桜っち、声大きい!」


桜っちが大きな声でそんなことを言うから

聞こえちゃったかと思って、その子達の方を振り向いた。

すると、やっぱり聞こえていたみたいで、

高校生ぐらいの子がこっちに歩いて来た。


「どっ、どうしよう、こっち来たよ!」

「すっ、すみませんっ、僕があんなことを大声で言わなければ・・・・」


「大丈夫だよ、お互い様!っと、それよりも、急いで逃げよう!」

「はいっ!」


急いで荷物を持ち上げると、児童公園から走って逃げようとした。

でも、ギリギリのところで引き止められる。


「おい、ちょっと待ちやがれ」

「はっ、はいっ!」


僕らはビクッとして立ち止まった。言葉が荒々しくて、とても怖そうな人だ。

こんな人に捕まっちゃうなんて、今日はほんとについてないよ・・・・。


「お前、新聞に載ってる奴だろ?」

「えっ、えっと・・・・」


躊躇っている間にその人は僕達の前に回り込み、僕等の顔を覗きこんで来た。

その顔を見て、今度は僕が驚く羽目になった。


「あっ、あなたはもしかして、モデルの竜崎・・・・」

「でけぇ声で言うなっ!」


僕がその人の名前を言おうとすると慌てて口を塞がれた。

桜っちはと言うとあまりピンと来ないようで、

どこかでみたような気がするけど・・・・みたいな表情をしている。


今僕らの目の前にいるのは最近話題沸騰中の人気モデル竜崎琥珀君。

抜群のルックスとスタイルで女の子をとりこにしているけれど、

何せ本人が気まぐれって言うんで、毎週発売されるファッション雑誌なのに

あまりみかけることがないと言う・・・・。結構幻のような人だ。

そんな凄い人が僕の目の前にいるって言うんだから、物凄い驚きだ。


そんなことを考えながら竜崎君を見ていると、

小学生二人がこっちに走って来て、

一人は僕のことを見てもう一人は僕らに謝りだした。


「琥珀!ダメでしょ?そんなきつい言い方しちゃ!

二人とも怖がってるじゃん!

すみません、琥珀が驚かせちゃったみたいで・・・・」


「んなこと言ったってよぉ、こいつ、俺と同じようなにおいがすんだもん」

「うーん、そうなのかな?わかんないなぁ・・・・」

「えっ、どう言うこと?」


小学生の子の一人が二人の話を理解出来なくてそう言っているけど、

よくわからないのは僕らの方だ。

何が同じようなにおいなのかな?


「んーっ、わかんねぇ。でも、こいつは俺と同じ仲間だな。きっと」

「そっ、そうなんですか?」


そう問われるけど、僕等は全く話がわからなくて首をかしげるばかりだ。

なんのことを言ってるんだろう?

同じ仲間とか言われても、

僕はこの子に仲間と言われるような要素はないような気がするんだけどなぁ・・・・。


「おしっ、そう言うことだ。俺の正体バラしていいか?」


「えっ、だっ、ダメだよ!どうせ、また勘とかで決めちゃうんでしょ?

ダメだよ、そんなの。これは重大なことなのに・・・・」


男の子がそう言っているのを聞いて、

僕はこの子達がなんの話をしているのか、なんとなくわかった。


「もしかして・・・・竜崎君って妖怪なの?」


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